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感染症対策にこそ国際協力の必要性

視野を広げる必要性

 緊急事態宣言が発出され外出自粛の中でのゴールデンウィークを迎えた。新型コロナウィルスの話は、日本メディアの特徴でもあるが、国内に関しての報道が中心となり、多くの人が国内対策ばかりに目がいきがちになる。

 だが、こうした感染症対策は視野を広く持たなくてはいけない。その必要性が分かるデータが、国立感染症研究所が4月27日に発表した「新型コロナウィルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査」である。

国立感染症研究所

画像出所:国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/467-genome/9586-genome-2020-1.html

 これを見ると今、国内で感染拡大しているウィルスの経路が、中国・武漢からだけではなく欧州からの影響も大きいことが分かる。ゆえに今後、欧米や日本、シンガポールなどの先進国でのピークが開発途上国へ移り、そこからのより戻しが予測されている第3波、第4波を防ぐためには自国の対策だけではダメなのである。

 ましてやグローバル社会で経済が回っている今、江戸時代の鎖国みたいなことはできないのだから、視野を広くして新型コロナウィルスについて考える必要性があると強く思う。

変異しやすいウィルス

 また新型コロナウィルスはRNA型と言われ、日本ウイルス学会の学会誌「ウイルス」にはRNAウィルスについて“自然界で活発に増殖する RNAウイルスは、突然変異により絶え間なくゲノム情報を変化させる。ゲノム情報の変化は,しばしばウイルスの免疫感受性、薬剤感受性、細胞指向性、宿主域の変化につながり、予防治療効果の低下や新興再興感染症の原因となる”と書かれている。(第55巻 第2号 2005年12月,「RNAウイルスと変異」,佐藤裕徳,横山勝)

 この変化しやすいウィルスが、今後、開発途上国などで感染拡大し変異した形で日本に再度運ばれてしまえば、今以上にマズイ状況になることも考えられるのだ。

 そのためには、前述したとおり視野を広くし、ウィルスの検査や医学的な感染拡大対策がなかなかできない医療体制が脆弱な開発途上国への国際協力は必須なのだ。世界では4月冒頭には新型コロナウィルス対策に関する議論もそうしたステージになっているという。

 もちろん、日本も既にミャンマーやモンゴルへの支援をはじめ有償資金協力の枠を拡張するなど支援を開始しているが、どうしても「自国がままならないのに海外の支援なんて・・・」との意見が強くなってしまう傾向がある。

 日本国内での国際協力への理解はまだまだ乏しいが、今回の世界規模での新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、多くの人が世界に視野を広げながらあらゆる課題について考えて欲しい。 

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