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まちの生き物図鑑:タスクフロッグ

……人々の想像が創り出した町、加美原町。
この町の住人は発想を広げることが好きだ。
今日も「これから」を考える一日が始まる。

◆ この町には、さまざまな生き物がいる。

彼らは、人の考えや気持ちを映し出す。
人々の思考と対話が、生き物を育てるのだ。
「これから」を考える人の考えや気持ちをエサに、
生き物たちは元気に活動を始める。

今日は、「タスク処理」を映し出した生き物がひょっこり顔を出した。

◆ 本の紹介『カエルを食べてしまえ』

(最速まとめ)
・「カエル」とは、困難で時間がかかる仕事・タスクを表す
・重要な仕事は、難しいものから取り掛かること
・速やかに取り掛かり、一度に一つずつ終わらせること
・優先順位をつけて最後までやり抜く力は鍛えられる
【著者:ブライアン=トレーシー/ 出版:ダイヤモンド社】

◆ 町が発展して、人々が少し忙しくなってきた頃、そのカエルは現れた。

最初はかわいらしいオタマジャクシだった。
「これから」を考える人は新しいことが好きだから、
オタマジャクシを可愛がって増やした。
オタマジャクシが増えていくのを喜んだ。

しかし、ある時から世話が大変になってきた。
ほどよい飼育数があることに後から気付いた。
今になって無理に減らすことは難しかった。

「生き物は大切に」
「飼い始めたなら最後まで」
オタマジャクシの可愛らしさもあって、
人々はなかなか飼育数を減らすことができなかった。

そういうしているうちに、オタマジャクシはどんどん大きくなった。
やがて、あまり可愛くない、どっしりしたカエルに成長した。

こうなると、飼育するのが嫌になってくる。
人々は成長したカエルをそのままほったらかしにした。
残念ながら、それでカエルがいなくなるわけではなかった。

多忙デスク

◆ カエルはますます大きくなった。

体つきも、鳴き声も、どんどん大きくなった。
家族で出かける時もズッシリした姿をあちこちで見かけた。
家でゆっくり眠る時もゲコゲコと鳴き声が響き渡った。
カエルはどんどん重くのしかかる存在になっていった。

放置したカエルが邪魔で、家族や職場から不満が漏れることも増えた。
「あのカエルはいつになったら駆除してくれるの?」
「カエルをどうにかしてくれないと、こっちも仕事が進まないんですよ」

周りの人に迷惑がかかっていることを申し訳なく思って、
ようやく何人かの人たちがカエルの駆除を始めた。
すっかり大きく膨れ上がったカエルは、1日では処理できなかった。
「これは……1週間はかかりそうだな」

一度でどうにかしようとするのをやめ、
部位を細かく区切ってカエルを処理するようにした。

今日は右足、明日は左足、明日はお腹……
順序を決めて一つずつ取り掛かることで、
カエルの処理は少しずつ動き出した。

仕事

◆ 始めてしまえば、意外と楽しいことがわかってきた

処理は、取り掛かる最初が一番乗り気しなかった。
でも、早めに始めてしまえば、処理は楽だった。
放置して大きくなるほど、大変になっていくのだ。

おまけに、処理されたカエルの肉は、ちょっぴりおいしかった。
手際よく、繊維に沿って切り分けられたお肉は、鮮度も弾力もよかった。
若いカエルほど味がよかったから、処理の技術を磨く人も出てきた。
こうして、カエルの育て方や処理のしかたが探求されていった。

今ではすっかり、カエルを飼いならす知恵が共有されている。
オタマジャクシが可愛いからといって、飼いすぎてはいけない。
適度な数を、適度に育てていくことが大切だ。
そして成長してカエルになったら、早めに処理することだ。

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◆ 上手に飼えば、カエルは飼い主の評判を高めてくれる

放置すると、ただひたすら大きくなって邪魔になる。
手に負えなくなる前に、処理を始めよう。
そもそも、飼うオタマジャクシの数を決めよう。

彼らは決して邪魔者ではない。
「これから」を考え、形にするための、
大事な食料なのだ。

今日もオタマジャクシとカエルは、
人々の「タスク」をエサに元気に動き回っている。

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