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今こそ、営業経験者から「ナラティヴ・アプローチ」を実践しよう。 | 宇田川元一さんの『他者と働く』を読んで。
営業という行為は、正に「お客様と橋をかけていく」行為だなぁと、宇田川元一さんの著書『他者と働く』を読んで感じました。
宇田川さんの提唱される対話の手法「ナラティヴ・アプローチ」については、以前のエントリーで少し触れましたので、こちらをご覧ください。
宇田川さんは、人と人とのわかりあえなさを、“ナラティヴの溝”と表現されてらっしゃいます。
人は立たされている立場も、持っている価値観もそれぞれ違う。そんな人と人との間に存在する溝を埋めるのでは無く、橋をかけて行こうと説かれています。
思えば、私が入社依頼担っている営業という仕事は、買い手と売り手という利害が相対する立場の間に存在する“溝”を埋めていく行為だなと気づきました。
うまく受注に結びついた商談を振り返ると、担当のお客様との間にうまく橋がかかり、その橋が強固なものに築き上げられた結果だったとわかります。
相手の置かれているナラティヴの理解が進み、相手にとって必要だと思われることを提案に盛り込むことで、この人なら任せても大丈夫だと思ってくれたことが勝因だったと感じます。
実際、後にお客様から、「御社に決めたのは営業担当が◯◯(私の名前)さんだったからです」との営業冥利につきる言葉もいただくこともあります。
私のみならず、多くの営業経験者は知らず知らずのうちに「ナラティヴ・アプローチ」を実践しているものと思います。
しかし、一歩社内に戻ると、何故か自分のナラティヴに囚われてしまう人が殆どです。
上司と部下。営業と開発。親会社と子会社。等々…。
途端に自分のナラティヴに則った言動を行います。どちらも同じ人間なのに、です。
組織という枠組みには、人をナラティヴの枠に縛りつけてしまう魔物が潜んでいるようです。
自分の立場を守ったり、肩書きに拘ったり。皆が皆、自分の正義を貫くことに必死になります。
気がつけば、社内はナラティヴの溝だらけ…
そんな溝に橋を架けていけるのは、やはり営業経験のある者だと思うのです。
営業経験のある者が、お客様に対して行ってきた事を同じように社内でも実行すれば、会社の中の人と人との関係性が変わり、組織全体も変わることができる。そう思います。
以前、社内の開発関係の人から、営業しては腰の低い人だ、と言われたことがあります。
いや、私は至って普通に仕事のお願いをしていただけでしたが、その発言から、他の営業がいかに一方的に要求をだしているのかがわかりました。
その時の要求に答えさせる為に、時には圧力をかけてでも動かそうとしていたのだと思いますが、仮にその時は自分の要求通りに相手を動かせたとしても、また同じような機会が来た時に、その相手は快く対応してくれるでしょうか。
違う会社の人であれ、同じ会社の人であれ、自分から見たら「他者」であることは変わりません。
そもそも人と人は分かり合えない、という考え方からスタートする宇田川さんの理論。
今こそ、営業経験者から実践するべき時だと思います。