マネタリーベースを増やせば、景気は回復するか?1
まず、マネタリーベースとは何かを説明します。
マネタリーベースとは日本銀行が供給する通貨のことをいいます。
マネタリーベースはマネーサプライ(世の中に出回っているお金の総額)の基となる通貨という意味です。
マネタリーベースは現金通貨(日銀券、補助貨幣)と民間金融機関の法定準備預金(日銀当座預金)を合計して求めます。
計算式でいうと、
マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「法定準備預金(日銀当座預金)
」
こうなります。
法定準備預金は金融機関に義務づけられている準備預金制度で日本銀行へ預け入れなければならない最低金額の準備金のことです。
それから、マネーサプライを説明します。
マネーサプライとは日本銀行を含む金融機関全体から経済全体に対して供給される通貨の量がどのくらいなのかを見るための指標です。
基本的には「一般法人、個人及び地方公共団体」(通貨保有主体)が保有する通貨量の残高であり、国や金融機関が保有する預金等は対象にはなっていません。
ただし、信託、保険会社等は除かれる一方で、証券会社、証券金融会社、短資会社などは一般法人として通貨保有主体に含まれます。
ここで、時事ドットコムの記事を転載します。
「「銀行の国債買い加速=「カネ余り」が長期金利押し下げ
記事などの内容は2010年8月17日掲載時のものです。
長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが、4日に7年ぶりに1%を割った後もじりじりと水準を切り下げ(債券価格は上昇)、17日には一時前日比0.025%低下の0.92%を付けた。
世界経済の悪化懸念を背景に安全資産とされる国債の魅力が高まり、「カネ余り状態」(大手銀行幹部)と言われる銀行など国内金融機関が買い姿勢を一段と強めているためだ。
日銀の統計によると、国債の残高は3月末で684兆円。
このうち、銀行など預金取扱金融機関の保有分は260兆円と約4割を占め、前年同月末から13兆円超増えた。
4月以降も買い姿勢に変化はなく、日本証券業協会によると、6月には大手行だけで2兆8500億円も買い越した。
「買いたくて買っているわけではない」
あるメガバンク幹部はこう語り、銀行が手元資金を国債に振り向けているのは消去法的な選択の結果との見方を示した。
株価の低迷などから個人や企業の資金が預金として流れ込む一方で設備投資に慎重な企業の資金需要は盛り上がりを欠いたまま。
全国銀行の預金残高は貸出金残高を150兆円前後も上回る状況が続いている。
世界的な自己資本規制強化の流れの中、リスク資産の圧縮を迫られていることも銀行の国債買いを後押ししている。
運用先確保に悩む銀行が国債に資金を集中させる動きはしばらく続きそうだ。
しかし、景気回復や財政悪化をきっかけに金利が急上昇(債券価格は急落)した場合、各行は巨額の含み損を抱え込む恐れもある。」転載終了
まったく、銀行が企業に貸し出しているとか、企業が銀行からお金を借りているという話が出てきません。
銀行が国債を買っている話です。
ここで、注目されるのが銀行の貸出金です。
貸出金を説明します。
貸出金とは金融機関が企業等に貸し付けているお金です。
日本経済が順調に成長しているのであれば、銀行の資産のうち、この貸出金の金額が増えていくことになります。
企業に貸し出された資金は設備投資に回され、国民の生活を豊かにする製品やサービスの提供が行われます。
そうして得た利益を企業は給料として労働者である国民に支払います。
労働者の給料はどこに行くかと言うと金融機関の預貯金へと流れます。
ぐるっと一周している形になります。
もう一つの注目はもちろん、国債にお金が流れていることです。
そこで、考察します。
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