新プロジェクトX/「後始末」としての文章/小室直樹「経済学をめぐる巨匠たち」/アニメ「怪獣8号」が面白い/「ふつうの軽音部」の新展開/岸田首相のスピーチライター
4月14日(日)晴れ
だいぶ暖かくなってきて、当地でも桜が咲き始めている。金曜日に母を病院へ連れていった時、桜の木のある道をなるべく通ったのだが、まだ満開とはいかなくて少し残念だった。しかしここのところ日和がいいので、おそらく一気に咲くだろう。また天気がいいせいでかなり花粉が飛んでいるらしく、私は若い頃のように重度の花粉症は出てはいないのだけどちょっと緊張したりするとくしゃみが出たり咳き込んだりするくらいには影響を受けるのでまあほどほどにやっていこうと思う。
とりあえずやることが結構こなせた感じがあってちょっと安心してそのせいで気分的にローになったりした感じがあったが、いろいろ見えてなかったことも見えるようになった部分もあり、割と前向きにはなっているかなと思う。心の中にとても慎重な部分があって、私は心を開きすぎると本当に開きっぱなしになってそれで痛い目に遭うことも多いので、心の開き具合はそれこそほどほどにして楽しめるものから楽しもうという感じだといえばいいか。
昨日は仕事の方もまあまあうまくいったのでそういう意味での良かったという感はある。まだまだ経済的にこれでOKというほどのところまでは届かないが、いろいろな面で工夫してなんとかしていきたいと思う。
ご飯を食べながらテレビをつけたら「新プロジェクトX」をやっていて、見ると話に見ていたが、SHARPとJ-PHONEの弱小コンビが「カメラ付き携帯」という今やグローバルスタンダードになったモデルを初めて開発したということを知り、これはかなり感銘を受けた。私はまだガラケーも使っていて、それはSHARPの機種なのだが、この時に開発された技術が受け継がれてこの携帯のカメラになっているのかと思うと、携帯で写真を撮りたくなった。ブラタモリが終わってがっかりしていたが、同じ枠で始まったこの番組は結構見がいがあるなと思ったのだった。
なかなか忙しくて物を片付けたりするのがどうしても後回しになってしまっているのだけど、桜井章一さんがいうところの「準備、実行、後始末」の「後始末」がちゃんとできていないからすぐに動けないということが自分の場合多いなとこの年になってよく思うようになってきたので、いろいろな後始末をちゃんとしていくようにしようと思う。感情的にも、割と楽しんだ後にそのままにしておくと後で結構変なことになることがあるので、その辺を整理する、例えば文章に書いたりするのもある種の後始末なんだなと思ったりはした。
自分も含めて兄弟たちが東京に出、祖父母が亡くなり、父が亡くなり、母が施設に入って私は結構大きい実家に一人でいることが多いのだが、部屋数が多いしかたづいていないのでせっかくの部屋数が全然いかせていないから、その辺も整えて使えるようにしていきたいなと思ったりした。
昨日はそんな感じで今使っていない部屋で少し仕事をしていたら、本棚に父の本で小室直樹「経済学をめぐる巨匠たち」(ダイヤモンド社、2004)というのを見つけ、少し読んでいたら面白く、さすが小室直樹だなと思った。経済学の要諦というか、経済学に対して素人が不思議に思っていることを一つ一つ順々に説明してくれているのだけど、それが歴史的経緯を踏まえての話で数字とかを使ってないのですごく納得しやすい感じがあった。
この考えはどういう過程を経て生まれた物なのかとか、まあ私が歴史専攻でなんでも歴史的な形で理解すれば理解した気になるというところがあるせいもあるのだと思うが、一般に専門外の人にはそういう人も多いだろうと思う。まだ読み始めたばかりだが少しは私の経済理解も進むといいなと思っている。
20年前の本だがいまだに絶版にならずに売られていることがわかり、それもすごいなと思った。
夜11時からテレビ東京で「怪獣8号」のアニメが始まったのでこれもなんとなく見ていたが、ものすごく出来が良くて感動して途中からかなり気合を入れて見ていた。制作会社はタツノコプロ系のIGというところだったと後でわかった。怪獣が死ぬ時瞳孔が開く描写とか、ちょっと思いつかなりリアルさ。全く間断の無い展開で、ラストのオチまで一気に持ってかれた。EDの後(Cパート?)に緊迫要素を持ってくるのも巧み。
この作品で主人公の日比野カフカに取り憑きカフカを怪獣8号にしてしまう謎の幼獣が出てくるのだが、この声がTARAKOさんの最後の仕事だった、というのも昨日判明してしみじみ感が漂った。
カフカのキャラ造形が本当に典型的ないいやつとして描かれてて、これじゃ生意気な後輩のレノも慕って当然という感じだった。マンガ原作よりドライブ感が出ててすごく引き込まれ、今シーズンは「忘却バッテリー」と並びジャンププラスのアニメがかなりいいシーズンだなと思った。
ジャンププラスのアニメ化が実現したものといえば今のところ私が読んでいる(読んだ)作品の中では「SPYxFAMILY」「終末のハーレム」「地獄楽」などが思いつく。これからどんどんアニメ化されているとは思うが、制作会社が力を入れてくれる作品であるとありがたいなと思う。
いつもはジャンププラスは寝て起きてから読むのだが、昨夜は待ちきれなかったので0時まで起きていて「ふつうの軽音部」の更新、第18話「地雷をしかける」を読んだ。
ここはほぼインディーズ連載の時の17話に当たるのだけど、だいぶインディーズ版(ファンの間では「原作」あるいは「原典」「旧約聖書」などと呼ばれているらしい)とは違う要素が付け加えられていて、その辺がどう展開していくかという新しい楽しみが生まれてきた。
これも原作にはないのだが、陰キャ友達の矢賀ちゃんがバイト後で疲弊したはとっちに会いにきてモンスターエナジーの白色をくれる場面があるのだが(モンエナというものは初めて知った)、矢賀ちゃんが陰ながら応援してくれる感じがいいなと思った。全体に、そういう細かい部分に「なるほど!」という納得感があり、はとっちが頑張り屋だということが伝わってきてとても良い。先の展開がさらに楽しみだ。
昨日描いた岸田首相の演説だが、スピーチライターがケネディやレーガンのスピーチも担当したジェームズ・ヒュームズ氏だという話があり、もしそうだとしたら1934年生まれなので今年90歳ということになる。話の骨格は岸田さんが大体出しているだろうけど、それをまとめるのはアメリカ人のライターに任せるというのはなかなか面白い考え方だなと思う。アメリカ人の琴線に触れるポイントを見つけられるのは、やはりアメリカ人なのかなとは思った。しかしあそこはとても良かったと思う。
少し前にウクライナのゼレンスキー大統領の演説が話題になったが、岸田さんもそれに匹敵するくらいの演説ができたかなと言う感はある。紛争当事国でもないのにこれだけアメリカを理解し力づけてくれたらアメリカは嬉しいだろうなと思う。
ヒュームズ氏の著書に「リンカーンのように立ちチャーチルのように語れ」と言うのがあるようだけど、これはかっこいい言葉だなと思う。しかし逆にいえば、これはリンカーンもチャーチルも同じ人間なんだから「あなたにも」できないことはない、と言う励ましがある言葉だなとも思った。
この言葉を「チャーチルのように立ちリンカーンのように語れ」、と逆にしてみるとちょっとチャーチルは失敗したり我が強かったりするところが目立つ(その辺イギリス人ぽい)わけだが、リンカーンのように語るのはやはり英雄的なので、結局リンカーンがかっこいいと言うことなのかなと思ったり。まあかっこいいんだけど。
でも自分がなりたいかというとリンカーンのようにはなれないしなりたいとも思わないけどチャーチルのようになれたらいいなとは思うわけで、まあかっこよさと好みというものは必ずしも一致しないわけである。
日本は個人主義を前面にプッシュした社会ではないからリーダーシップのあり方も欧米とは違ってくるから、こういうタイプのリーダーになりたいという例はなかなか思いつかないのだけれども、貴族趣味と茶目っ気があるようなリーダーはいいなと思うところがあって、やはりチャーチルとかボリス・ジョンソンなどはいいなとは思う。日本では全然タイプは違うように見えるがやはり漢詩を書いて見せたりした田中角栄も本当はそういう風でありたかったのかなという気もする。安倍さんもいたずらっ子みたいなところがあったしそういう茶目っ気は(まあトランプが人気があるのはそういう部分もあるだろう)天性のものという部分もあり、眩しい感じはするなとは思った。
そういうわけで、今日は平和な日曜日になるかと思ったら、イスラエルからのイラン大使館に対する攻撃に対し、イランがドローン攻撃を仕掛けたようで、「第三次世界大戦」というような気の早い文字がトレンドに出ていたりするが、イェルサレムへのドローン攻撃によりイランは「報復は終わった」と宣言したらしい。エスカレートへの意思はイスラエル、ネタニヤフ政権の方にあるということなのだろう。他国が安易に巻き込まれないことを望みたい。