映画 「オットーという男」
アメリカ映画。
一人暮らしの気難しくて無愛想で怒りっぽくて口うるさい高齢の男性が主人公。日本なら、こういう人を「老害」と言うんだろうなってくらい面倒くさい感じ。
彼は不幸な事故で障がい者となった妻が唯一の家族だったが、その妻を亡くし後を追おうとする。
自死のためにあれこれ画策するのだが、それがどれもうまくいかない様子を描いているので、コメディのカテゴリーに入れられてしまったのだろうが、ストーリーはコメディとは言い難いと思った。
孤独な高齢者が生き直すと同時に、分断していたコミュニティが再生するストーリーなのだ。
主人公の住むタウンハウス(長屋形式の住宅)に若い移民夫婦が幼い子供たちと共に引越してくる。彼らは気難しい主人公に屈託なく(時には無遠慮に)親しみを見せる。
その他にも主人公と同じくらい長くここに住む老々介護するアフリカ系夫婦、セクシャルマイノリティゆえ居場所をなくす貧しい青年など、主人公を取り巻く周囲の人々はまさにアメリカ的。
この地域一帯の再開発を目論む悪徳不動産業者も登場して、日本とも通じる部分も多い。
死にきれない主人公が、移民夫婦をかかわりを持つようになって、少しずつ閉ざされていた心が開き、コミュニティが再生されていく様子はハートウォーミング。
アメリカというと個人主義な国という印象が強いが、住民たちのコミュニティのあり方を描いていて、とてもよかった。
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