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読書感想文【成功への情熱】稲森和夫著

こんにちはコウカワシンです。

稲森和夫(いなもり・かずお)さんの著書【成功への情熱】を読みました。

この本も大谷翔平選手の愛読書で、前から気になっている本でした。

稲盛さんは、京セラ、KDDIの創業者で、一時経営破綻した日本航空の再建にリーダーシップを発揮するなど、日本経済に大きく貢献したことで有名です。

後に続く経営者やリーダーを養成するために「盛和塾」を開かれ、後進の指導も精力的にされていた人です。

その稲盛さんは著作も多く、本書は「人生」や「ビジネス」において成功するには何が必要かということを説いた一冊です。


人生やビジネスの成功のために必要なこと

成功のための方程式

稲森さんは、成功における方程式を次のように示しています。

人生の結果=考え方×熱意×能力

「能力」とは、自分自身の健全な肉体や才能、持って生まれた適性です。「熱意」とは、どうしてもこうありたいという強い思いです。

「考え方」とは、どういう心構えで人生を送り、仕事をするかであり、これこそが成功において大きな決定力を与えます。

この3つをかけ合わせることで、前向きの姿勢で熱意に満ちた努力を重ねれば、たとえ才能に恵まれてはいないにしても、素晴らしい人生を送ることができるのです。

たとえ優れた才能もつ天才であっても「考え方」が間違っていたら犯罪者になってしまうことだってあります。

つまり、考え方がネガティブであれば、結果もすべてネガティブになってしまうということです。

極楽と地獄は紙一重

「考え方」というのは、本当に大事なことであり、それが結果に大きく作用します。

本書で面白い話がありました。

ある修行僧が老師に「地獄とはどのようなところですか」と尋ねたら「地獄には、大きな釜の中にうまいうどんが煮えていてそれを食べるには、長さが1メートルもある長い箸を使うしかない」と老師は答えました。

続けて老師は「その周りにはたくさん人がいてその長い箸を使ってうどんを食べようとするが、箸が長いため口に入れることができない。みんな自分が真っ先に食べたいから争うことになり、うどんは飛び散り、誰も食べられない」

修行僧は「では極楽とはどのようなところですか」と尋ねたら「極楽も同じで大きな釜の中にうどんがうまそうに煮えている。地獄と違うのは、人々はうどんを長い箸でつかむと、釜の向こうの人に食べさせてあげるのだ」と老師。

続けて「先に食べさせてもらった人は、それをありがたく受け、今度は自分がうどんをつかんで相手に食べさせてあげる。そうすることで全員がうまいうどんを食べることができ、永遠の至福を楽しむことができる」と言いました。

【成功への情熱】から「極楽と地獄は紙一重」より

つまり、自分のことのみを考えるのか、それとも周りを含めてお互いに思いやりを持って接するかによって、その状況が極楽にも地獄にもなるということですね。

稲森さんはこれを「利他の心」として大事にされています。

成功するということを考えても、自分ひとりで大きな成果を得ることは至難の業です。たいていはまわりの協力があってのことでしょう。

成功を手に入れたいなら、常に思いやりを持った態度でのぞむべきですよね。

強い熱意さえあれば、今日不可能なことでも明日には実現できる

成功する人と、そうでない人の差は紙一重だと稲森さんは言います。

これは責任感がないからではなく、一定の誠意も熱意もあり、仕事熱心であるにもかかわらず明暗を分けることになります。

違いは、粘り強さと忍耐力です。

成功しない人は、壁につき当たったときに、突破できないものと、はじめから決めてかかるのです。言い換えれば、努力はしてみるものの、あるレベル以上はしないのです。

成功をする人は、たとえ実現不可能に見えるようなことであっても、やり遂げるために粘り強く、まじめに努力を続けます。

たしかに不運ことが重なったり大きな障害があるかもしれませんが、それらを乗り越えたときに人生が大きく切り開かれるということを著者は自らの経験からこのように語ります。

そして、もし最初からもっと良い仕事や環境に恵まれていたなら、今日の自分はなかったとまで言うのです。

このことから、どのような壁でもあきらめない粘り強さと忍耐力、つまり強い熱意さえあれば、今日はできないことでも明日には実現できる可能性があります。

この強い情熱こそが自分の未来を開くということです。

成功をつかむために大切なこと

強い願望

先ほども強い情熱が自分の未来を開くといいましたが、それには強い願望を持つことが大事です。

たとえば、新しい事業を始めるなら、どんなことがあろうとも、この事業をやり遂げるという強い願望を持たなくてはいけません。

そして目標を達成するために、しなければいけない事柄も明示した計画をつくるべきです。

予期せぬ多くの難問や難題が出てくるかもですが、それを成功させるためには、自分自身を信じ、強烈な願望を抱いて目標を追い続けるのみです。

稲森さんはこのようにして、数多くの事業を成功させてきました。

たしかに勝算を問われ、その場では適した答えを出すことはできないかもしれませんが、創造の世界をつかさどるのは、統計数字ではなく、それを創り出す人間の情熱と意志だと稲森さんは言います。

常に生活に反省を

熱意も大事ですが、「反省」することも欠かしてはいけません。

毎日さまざまな判断をしていく中で、それが果たして人間として正しかったかどうかをたえず真剣に反省し、常に自分を戒めながら生きていくことが必要だと著者は言います。

もし自分勝手で少しでも卑怯なふるまいをしてしまったことに気づいたら「自分だけのことを考えるな」「正しいことを行う勇気を持て」と、自分に言い聞かせるのです。

こうして反省を繰り返すうちに、間違いを犯す前に、そのような自分の心に気づけるようになり、誤った判断をしなくなるのです。

自分に対する厳しいなまでの反省は、しだいに自分の心を高めていくことにつながります。

筋を通す

英語で「道理にかなっている」という言い方は、日本語で「筋が通っている」と表現され、人が判断する際に使うものごとの正しさ、あるいは「フィロソフィ」を指します。

「フィロソフィ」とは「人間として何が正しいか」とか「人間は何のために生きているのか」という根本的な問いに真正面から向かい合い、様々な困難を乗り越える中で生み出された仕事や人生の指針です。

稲森さんはこのフィロソフィこそが京セラを今日まで発展させた経営哲学だとしています。

ものごとに筋が通っているかどうかを判断するためには、単に論理的に矛盾がないかということだけではなく、それが人としてとるべき道に照らし合わせて、不都合がないかということの確認が必要です。

頭の中だけで軽々しく判断するのではなく、人間のもっとも基本的な思考にまで立ち返ってみて、真剣に判断すべきなのです。

そうでなければ、他者に認められる価値あることを達成することはできないと著者は言います。

なぜなら、その人には自分の判断基準となる正しい原理原則がないからです。

稲森さんは「フィロソフィ」を持っている人は多くのことを達成できると言います。

というのも「フィロソフィ」は自分自身を正しい方向へ導く羅針盤となるからです。

自らの内にある「フィロソフィ」こそが正しい意思決定へと導いてくれます。

どのようにして成功をつかむ?

健全なる精神、健全なる肉体

「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」とは、古代ローマ時代からの格言ですが、現代においても深い意味を持ちます。

リーダーを志すなら、自分の健康を維持する努力が必要です。なぜなら、グループの長として判断するとき、自分の健康状態でそれが左右されるようではいけないからです。

たとえば健康がすぐれないときは、肉体的なスタミナや耐久力を必要とする判断を避ける可能性があります。この影響が軽率な判断につながり、やがてはたくさんの人たちを不幸にすることになりかねません。

そして、リーダーは公正、公平でなければならず、利己的ではなく全体の利益を第一にして判断することができなければなりません。

ということで、リーダーは健全な心にふさわしい健全な身体を養う努力を払うべきなのです。

土俵の真ん中で相撲を取る

「土俵の真ん中で相撲をとる」というのは「余裕を持つ」ということです。

学生さんなら、試験で良い点を取るために余裕をとって早くから準備を始めるべきだし、ビジネスにおいても行動するのに充分な時間や余裕があるので、リラックスして対応できます。

ですが多くの人は、土俵際にまで追い詰められて、慌てて行動を起こすのです。

たとえ、余裕が十分にある状態であっても、ある程度の危機感を持ち必要な行動を起こしましょう。これが安定した事業の秘けつだと稲森さんは言います。

「PASSION」

著者が本書で伝えたい概念が「PASSION」です。

つまり、「情熱」です。

情熱と呼べるほどの強い思いこそが成功への鍵であるとまで言います。

この「PASSION」という7文字は、経営を行う上でもっとも重要な7つの言葉の頭文字でもあるそうです。

  • PROFIT「利益」

  • AMBITION「願望」

  • SINCERITY「誠実さ」

  • STRENGTH「真の強さ」

  • INNVATION「創意工夫」

  • OPTIMISM「積極思考」

  • NEVER GIVE UP「決してあきらめない」

PROFIT「利益」とは、売り上げを伸ばし、経費を最小限に抑えるということです。大事なことは利益ばかりを追うのではなく、利益は後からついてくると心得ることです。

AMBITION「願望」とは、潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つことです。

SINCERITY「誠実さ」とは、商いの相手の身になって行動することです。

STRENGTH「真の強さ」とは、決して卑怯な振る舞いをしないということです。

INNVATION「創意工夫」とは、自分の創造性を発揮して、昨日よりは今日、今日よりは明日と、常に改良改善を続けることです。

OPTIMISM「積極思考」とは、常に明るく前向きに、夢と希望を抱いた素直な心を持つことです。

NEVER GIVE UP「決してあきらめない」とは、誰にも負けない努力をすることです。地味な仕事であっても、一歩一歩堅実に、努力を怠らずにやり遂げましょう。

成功を勝ち取るためには、何よりも「PASSION」(情熱)が必要であり、加えて、人間として正しいことを追求すれば、人間は自ずと成功する。


本書を読み進めていけばいくほど、前日に読んだ中村天風(なかむら・てんぷう)さんの運命を拓くの内容がドシドシと花開くイメージを持ちました。

さすがに稲森さんは中村さんとは違い、強烈な文章で畳みかけてはいませんが、言いたいことは中村さんと同じです。

厳しいけどソフトな印象というところでしょうか。

つまり、何かを成し遂げるには、成し遂げる意欲と成し遂げるために必要な思考を持ち合わせていないといけないということです。

それが、「PASSION」と人間として正しいことを愚直に遂行するということでしょう。

これは、社会人はもちろんのこと、日々いろんなことにつまづき悩む学生さんにもぜひ読んでいただきたい一冊だと感じました。


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