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最強合体企業「スクエニ」:ゲーム業界に学ぶ人的資本経営

今は亡き知り合いが、10年近く前に書き残した文章を最近目にした。

ゲーム業界にいた彼は、かつてあったゲーム機のハード戦争で繁栄と没落を見てきた1人だった。その文章からは当時のハード売りやゲーム業界の難しさが語られており、懐かしきCMが思い起こされた。

時代を先取りしていたオンライン対応ハード機器は伸び悩み、2001年、SEGAが家庭用ゲームハード事業から撤退。

同じく2001年に、ファイナルファンタジーを生み出した「スクウェア」もまた時代を先取りした3DCGの映画を公開するも、興行的に失敗し財務状況が悪化。

その流れで、ファイナルファンタジーと双璧をなすドラゴンクエストを生み出した「エニックス」との合併が協議されたと言われている。

個人的にも「スクウェア」と「エニックス」との合併の話は、当時非常に驚いた記憶がある。

さらに時代を遡った1995年、「 F F」と「ドラクエ」でライバル関係にありゲーム業界を盛り上げていた2社が手を組んで作った名作ゲーム「クロノトリガー」が、ドラゴンボールでライバルの悟空とベジータがフュージョンで一時的に合体した「ゴジータ」なら、2社の合併は悟空とベジータがポタラで融合した最強合体戦士「ベジット」のようなものだ。一体どんな企業になるのかとワクワクした。

「スクエニ」こと現スクウェア・エニックスは最強の合体企業、そんなイメージは未だに持っている。

そこから20年以上経った今、すっかりゲームも出来なくなってしまったが、FF14は頭にずっとお花をつけ続けながらストーリーは何とかやっている。
(※しばらくログインせずにいるとキャラの頭の上に花のマークがつきます)

ゲーム内容の良し悪しを語ることはできないが、ビジネス的な側面から世界に影響を与える日本企業の勇者として、スクエニを推したい。

かつて知り合いがゲーム業界にいた事もあるが、他の業界にとっても学ぶべきことが多く、特にFF14を始めとするコンテンツが、世界に影響を与えて、新たな価値を創出しており、世界的に2次的、3次的な広がりを見せていることを日本人として、もっと誇るべきだし、もっともっと活かせるはずだ。

サブスク疲れを起こしているSaaS企業や、国内市場だけで伸び悩んでいる企業にとっては、ゲーム業界やゲームファンのコミュニティはきっとヒントになる。全てが上手く行っているわけではないが、その中でも残り続けているものは学ぶものがあると感じている。

FF14に関しては批判の声も目にするが、事業継続性観点で以下のような点はサービス創りとしてはとても参考になる。

・技術活用した挑戦とリスク管理のバランス
・人的資源の最適化と人的資本の向上のバランス
・顧客との長期的な関係構築と対話
・定期的なコンテンツ発信とコミュニティ運営
・ゲームしていない時間も含めた顧客理解とUX
・顧客視点でのサービス提供とマネタイズ
・海外のローカライズと多様性の受け入れ
・言語の壁を越えたゲームコミュニケーション

また現在、圧倒的なスピードで進化し続ける「生成AI」がこれからどうゲームに反映されていくかも楽しみだ。

そして、ゲーム業界の発展はゲーム提供会社以上にそれらを楽しむユーザー側に委ねられている部分も多いと思う。
ゲームを通じて、人と人が対話し、みんなで一緒に成長して成功したい(ゲームが生み出した場を楽しみたい)といった利他的な感情は、人的資本経営にも通じる大事な何かがある。

かつて「光のお父さん」というドラマや映画にもなり、現在はもう亡くなってしまった有名な「マイディーさん」というFF14プレイヤーも、そんなゲーム以上の何か大事なことを伝えたかったように改めて感じた。

スクエニこと、スクウェア・エニックスはそんな過去に存在したゲーム業界に関わってきた人々の屍を超えて想いを引き継ぎ、ゲームを楽しみたい人々にとっての英雄だと思う。

ゲーム業界の冒険は終わらない。続いていく。
がんばれ!スクエニ!

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