#60 「教える」を仕事にした決意 10分チャレンジ

有給消化をしていたら1週間が経っていた。
今日は私がはたらく意義を見出せた最初の瞬間を、
記憶をたどりながら書いていく。

「教えることを仕事にしたい」と最初に思ったのは
大学生のときにしていた家庭教師のアルバイトだった。
ただ、当時はなんとなく「向いているかもしれない」という程度だった。
私が一生を捧げようと思ったのは、きっとあの時だ。

当時社会人1年目で、OJT担当の先輩からは無視に近い状態だった。
特に2人きりで喫煙所にいるときは地獄のようだった。
話しかけても相槌程度の返事しかもらえない。
「教育の場でこんな人がいるんだったら、もう辞めようかな」
そのくらいストレスが溜まって、体調を崩した。

夏期講習の前半戦、1年で一番忙しい時期に1週間休んだ。
復帰するのも辞めるのも、どちらも私にとっては恐怖でしかなかった。
社会人になって半年、流石にこれで辞めてしまうと次がない。
そう考えて、重い足取りでなんとか出社した。

出社すると、校舎の入ぐりで久しぶりに会った生徒から
「先生!!!もう大丈夫なん?」
と声をかけられた。
正直、生徒に声をかけられることすら怖かった。
「うん、ちょっと体調崩してもたわ。弱いよなー」
そう苦笑いをしながら返すと、
「でも先生、めっちゃ頑張ってたやん。
 私、先生の数学の教え方、一番好きやで。」
と真顔で返されたのだ。

出社してそうそう泣くかと思った。
そのくらい私の心に染み渡っていったのだ。
「あぁこんな私でも、誰かの役に立てているんだな
 少なくともこの子の役には立てていたんだな」

あの瞬間に、私は教えることを一生仕事にしようと思ったのだ。
もしかすると、教えることや育成以外にも、
もっと私に向いている仕事があるかもしれない。
ただ、一番最初にはたらくことの意味を教えてくれた、
この仕事を一生やっていきたいと思ったのだ。

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