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愛は形を変えて生き続ける



はじめに

みなさん、こんにちは。今日は、たった今体験してきたことを、まだ胸が熱くなる想いとともにお話ししたいと思います。

「愛は形を変えて生き続ける」

なんだか映画のタイトルみたいでちょっと照れくさい感じがしますよね。でも、今日参列した法要で、まさにその言葉がぴったりな出来事に触れたんです。

突然の別れ

今日は私の友人であるお坊さんの七回忌法要でした。
私もお坊さんの端くれとして、ご焼香だけでなく、実際にお経を上げ、儀式を進行する役目を務めてきました。

この友人のお寺は、代々続く由緒あるお寺なんです。
お父さん(現住職)が病気で活動できない状態だったため、私の友人が副住職として寺の活動全般を担っていました。

たとえば、お葬式の執行やお檀家さんとの対応、法事の際のお経上げ、そして境内の管理まで。
実質的な寺の運営のすべてを任されていたんですね。

そんな彼が、6年前のちょうど今頃、突然この世を去ってしまいました。元々少し持病があったそうで、おそらくその病気が原因で発作が起き、帰らぬ人となってしまったのです。まだ40代半ばという若さでした。

残された家族の姿

訃報を聞いた時のことは、今でもはっきりと覚えています。
信じられない気持ちと大きな悲しみの中、急いでお寺に駆けつけました。
でも、私の悲しみなんて、きっと残されたご家族の深い悲しみに比べれば、本当に小さなものだったんだと思います。

特に印象に残っているのは、奥様の姿でした。
まるで魂が抜け出てしまったような、そんな風情で。
涙も涸れ果てて、ぼんやりと虚空を見つめているような状態でした。

それはそうですよね。
最愛の人を失い、さらにお寺を支える大切な人もいなくなってしまったのですから。
「これからどうしよう」という不安と、「なぜ」という問いが、きっと心の中でぐるぐると回っていたことでしょう。

当時、お子さんは3人いて、みな小学校低学年。
お父さんが亡くなったという現実を、まだ十分に理解できていないような様子でした。
笑顔で走り回る子供たちを見るたび、周りの大人たちの胸が締め付けられる思いがしました。

奥様の決断

それから1年ほどが経った頃、驚くべき知らせを耳にしました。
なんと奥様が、夫の後を継いで出家を決意されたというのです。

私たち曹洞宗では、出家の際に髪を剃るという厳格な決まりがあります。
これは単なる形式ではなく、世俗との決別を表す大切な儀式なんです。
また、それまで普通の主婦として生活してきた方が、突然仏教の道に入るということは、並々ならぬ決意が必要だったはずです。

仏教の勉強から始まって、作法や読経の練習、お寺の運営に関する知識など、学ばなければならないことが山のようにありました。
そして何より、これまでの生活スタイルを大きく変えなければならなかったのです。

愛が形を変えるとき

この大きな決断の背景には、様々な形の愛が存在していたと感じています。

まず、亡き夫への深い愛。夫が命をかけて守ろうとしていたお寺を、同じように守りたいという想い。

そして、長年お世話になってきたお檀家さんへの思いやりの愛。
お葬式や法事、人生の節目節目で関わってきた方々との絆を途切れさせたくないという気持ち。

何百年も続くお寺という場所への敬愛の念。
この歴史ある建物と、そこに込められた先人たちの想いを守り継ぐことへの使命感。

そして何より、残された子供たちや家族への愛。この場所で、みんなで力を合わせて生きていこうという決意。

新しい道のり

現在、奥様は寺の中心となって活動されています。
この6年間の歩みは決して平坦ではなかったはずです。
きっと、涙を流す夜もあったでしょう。それでも、一歩一歩着実に前へ進んでこられました。

たとえば、最初は不慣れだった読経も、今では立派な声で響かせています。
お檀家さんとの会話も、少しずつ自信を持って行えるようになってきました。
子供たちも成長し、お寺の手伝いをするようになっています。

生きる力としての愛

この体験を通じて、私は改めて「愛」という力の大きさを実感しています。
愛は、形を変えても決して消えることはないんですね。
むしろ新しい形となって、より多くの人々の心に届いていく。そう感じています。

たとえば、悲しみに暮れる人の前で読経をする時。
亡き夫がそうしていたように、真心を込めてお経を読み上げる。
その行為自体が、愛の形なのかもしれません。

お寺に訪れる人々の話に耳を傾け、共に考え、時には励ましの言葉をかける。
それも、愛の表現なのでしょう。

おわりに

私たち日本人は、「愛」という言葉を使うことに少し照れくささを感じます。
でも、きっと誰もが心の中に、大切な人やものへの深い愛を持っているはずです。

その愛は、時として私たちを強くしてくれる。
困難に立ち向かう勇気をくれる。
そして時には、まったく新しい人生の道を示してくれることもある。

今日の法要で見た光景は、まさにそんな愛の力を教えてくれました。
この話を読んでくださったみなさんも、ぜひ自分の中にある「愛」という力に気づいていただければと思います。
それは、きっとあなたの人生を豊かにしてくれるはずです。

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