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お寺とAI活用 〜伝統と革新の融合を目指して〜


はじめに

今日は仏教の話ではなく、AIに関するお話をさせていただきます。
皆さん、AI使っていますか?
この放送を聞いているお坊さんの中では、AIを使っているイメージは少ないかもしれません。

実は私、最近いろいろなお寺の仕事でAIを活用していまして、これが本当に面白いんです。
効率化はもちろん、新しい発想を得るためのツールとしても重宝しています。
今日はその具体的な活用例をお話しできればと思います。

栃木県宗務所とは

私は栃木県の曹洞宗のお寺を管理する組織、栃木県宗務所でお手伝いをさせていただいています。
ここは、たとえば新しく弟子を取った時の申請や、法要の報告など、栃木県内の曹洞宗寺院から提出される様々な書類を取りまとめる場所なんです。

言わば、地方行政のようなものですね。
各お寺から集まってきた書類を確認し、まとめて曹洞宗宗務庁へ送る。
そんな橋渡しの役割を担っているわけです。

業務の課題と改善のきっかけ

これまでの業務では、Excelを使って作業をしていたんですが、正直なところ、かなり非効率的でした。
たとえば、同じような入力作業を2箇所、3箇所でしなければいけない。これが日常的に発生していたんです。

もちろん、先輩方が作ってくださったシステムなので一概に否定はできないのですが、Excelの機能を十分に活用できていない状態だったんですね。
そこで、私のサラリーマン時代の経験を活かして、この状況を改善できないかと考えました。

AIを活用した業務効率化への挑戦

そこで登場したのがAIです。
ただし、すべてをAIに任せるわけではありません。
むしろ、相談相手として活用する方法を選びました。

たとえば、
「この業務をこういう風に改善したいんだけど、どうしたらいいかな?」
とAIに相談すると、
「では、こういう方法はどうですか?」
という提案が返ってくる。
その提案を実際に試してみて、また新たな課題が見つかれば、それについても相談する。
そんなキャッチボールを繰り返していったんです。

Excel作業の改善プロセス

具体的な例をお話ししましょう。
Excelには「関数」という機能があります。
あるセルに数字を入れると、その数字を自動で計算して別のセルに表示してくれる。
そんな便利な機能なんですが、これを効果的に使うとなると、それなりの知識が必要になります。

私は、AIとの対話を通じて、必要な関数や効率的なマクロの設定方法を学びながら、システムを改善していきました。
以前なら2、3週間かかっていた改善作業が、わずか3、4時間で実現できたんです。これには本当に驚きました。

戒名作成における新しい取り組み

さらに面白い活用例として、戒名作成の話をさせてください。
従来の戒名作成では、遺族の方からお話を伺い、それをメモし、過去の事例や辞書を参照しながら考えていました。

でも今は、こんな風にしています。
まず、遺族との会話を録音させていただき、それをAIで文字起こしします。

そして、その文字起こしした内容をもとに、
「この方の人柄や生き方を表現するのに相応しい漢字や仏教用語を提案してください」
とAIにお願いするんです。

すると、AIがいくつかの案を出してくれる。
それを見ながら、
「このお言葉とこの文字を組み合わせたらどうなるかな」
なんて相談しながら、5、6回やり取りを重ねていくんです。
そうすると、これまでになかった新しい視点での戒名が生まれてくるんですね。

実は、人間って知らず知らずのうちにパターン化してしまうものなんです。私も、これまでつけてきた戒名の傾向があって、似たような言葉や語感になりがちでした。
でも、AIと対話することで、そこから抜け出せる。
新しい発想が得られるんです。

AIがもたらす可能性と展望

お寺の仕事って、実は本当にたくさんの可能性を秘めているんです。
たとえば、先ほどお話した戒名作成以外にも、お亡くなりになった方への追悼の言葉(引導法語)を考える時にも、AIとの対話が役立っています。

自分の思いをAIに伝えて、それを膨らませてもらう。
違う角度からの提案をもらう。
そうやって作り上げた言葉は、これまでより深みのあるものになっているように感じます。

特に素晴らしいと感じるのは、AIとの対話には疲れというものがないこと。何度でも、細かい部分まで相談できる。
人間同士だと、同じことを何度も聞くのは気が引けますよね。
でも、AIならそんな心配はいりません。

おわりに

このように、伝統あるお寺の仕事にも、AIは想像以上に馴染んでいます。
大切なのは、AIに任せきりにするのではなく、相談相手として、アイデアの源として活用すること。
そうすることで、伝統は守りながらも、より良いサービスを提供することができるんです。

私たちお坊さんにとって、AIは決して脅威ではありません。
むしろ、私たちの仕事をより豊かにしてくれる、心強い味方になってくれると確信しています。
これからも、伝統とテクノロジーの調和を探りながら、より良いお寺のあり方を模索していきたいと思います。

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