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【公募に応募するあなたへ!】挫折しない計画の立て方(2019年2月号特集)


1.年間スケジュールを組もう

公募ガイドを見て、応募していくものを順次決めていくのもいいが、念願の賞、大きな賞は計画的に攻めていこう。それが攻略の第一歩。

最優先したい【軸公募】を決める

年間の応募計画を立てるときは、軸(最優先で応募したい公募)を決めることが肝心だが、その数は公募の難易度による。
たとえば、標語や川柳などを中心に応募している人は10件選んでも応募できる。しかし、長編小説、シナリオなどになるとそうはいかない。
初めて挑戦する人なら1編、慣れた人でも数編だろう。

長編を最優先項目とした場合、おそらく寝ても覚めてもこの長編のことで頭がいっぱいになるので、気分転換に何かに応募するとしても短いエッセイ程度になる。長編2編を同時進行で書くようなことは難しい。 ただし、春までに長編が1編書けた場合は、次の長編を書く前に短編を挟んでもいい。短編向きの作品もあるし、結果待ちの状態が多いほうがモチベーションも高まるからだ。

予定はずれるもの、余裕をもって

スケジュールを組むとき、注意する点が2つある。
1つは、あまり欲張って詰め込まないこと。
予定通りにいかないのが予定で、だいたい遅れる。それを見越して計画する。突発的な事情で書けない期間ができても、それを吸収できる予備期間を設けておこう。

それに、ネーミングやシンボルマークなどはその年だけ行われる単年度開催のものがかなりあるので、そうした公募の中に応募したいものがでてきたとき、余裕がないとあきらめざるを得なくなる。流動的に入ってくる単発公募を受け止める余裕を作っておきたい。

もう1つの注意点は、公募は春から秋に開催が集中すること。同じジャンルで同じ締切の公募もある。制作に時間がかかるものの場合はどちらに軸足を置くかを決めて、一兎をも得ずとならないようにしよう。

2.目標実現のプランを考えよう

目標を立てるのは誰でもできる。問題はそれを具体的なプランにして、日々実行していくこと。その方法について考えてみよう。

抽象的な目標を具体的にする

標語や川柳、あるいはイラストやデザインでも、日頃作り慣れている場合は、改めて創作のプランを考える必要はないが、少しハードルが上がると、目標だけ掲げてもなかなか作業にとりかかれない。

たとえば、「自分史をまとめたい」という目標を掲げたとしても、お題目だけ唱えて、具体的に何をすればいいかを明確にしておかないと何も進まない。
目標を持つのは大事だが、目標自体は抽象的なものであることが多いので、もっと具体的で小さなタスク(作業)に分けよう。そうすれば何をすればいいかが見えてくる。

目標実現のための3ステップ

1.目標を決める
まずは1つ、公募に関して、「今年実現したい目標」を挙げる。自分の実力の120%ぐらいの目標が、一番やりがいがある。

2.大タスクを挙げる
「○○賞に応募する」では漠然としている。「作品を作るためには何が必要か」を考え、事前にやるべきことを3~5つ挙げる。

3.小タスクに分ける
上記で挙げた3 ~ 5つの大タスクを、さらに細かく分ける。この細かく分けた小タスクはとりかかりやすい。ここから順次始める。

課題を挙げて一つずつクリア

目標というよりは、より夢に近いような大きな目標を実現する方法に、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が高校時代にやったマンダラートがある。

まず、81マスの中心に、目標を書く。次に、この目標を取り囲む8つのマスに、目標実現に必要な大タスクを書く。
さらに、この8つの大タスクを実現させる具体的行動である小タスクをそれぞれ8つ書く。
あとは、64の小タスクを順次実行していくだけだ。

公募版 夢実現のためのマンダラート

3.計画するだけではダメ! ドロップアウト防止策

「○年以内に受賞」のように期限を切る

「いつかやる」は「やらない」と同義語で、「いつか」と言っている人がいたらやる気がないのだと思ったほうがいい。創作も同じで、「いつか書く」「いつか応募する」では、その「いつか」は永遠に訪れない。
一番いいのは、期限を設けること。「今年中に長編を書く」とか、「3年以内に受賞する」のようにリミットを設定する。

それでも、「やりたいとは思うが、きっかけが」という人もいる。そうした場合は、どんなかたちでもいいから手をつけてみようとしか言えない。
落書きしているうちにその気になるかもしれないし、その気にならなかったとしても、やれば面白さもわかるし、不足しているものも見えてくる。
とにかく、行動あるのみ!

これが最後だと思ってみよう

あなたが眠りにつくのを見るのが/最後だとわかっていたら/わたしは もっとちゃんとカバーをかけて/神様にその魂を守ってくださるように/祈っただろう

『最後だとわかっていたなら』(ノーマ コーネットマレック作・佐川睦訳・サンクチュアリ出版)

これは10歳の子を失った女性が書いた詩。
「いつか」があると思うから予定を先延ばしにするのであって、「これが最後の応募」だとわかっていたら、「いつか」なんて言わない。「これが最後かも」と思おう。

刺激を与えてくれる仲間、同好の士を

常に目標のことを思い出させてくれる何か、自分に刺激を与えてくれる何かがあると、「気づいたら日々の生活に流され、あっというまに1年が終了」ということもなくなる。

その何かとは、まずは仲間、同好の士。たとえば童話が好きな人がいて、会えばどこそこの童話コンテストに応募した、入選した、今度表彰式があるといった話を聞かされると、いやがおうでも刺激される。

見知らぬ他人でも、「あの人がライバル」という相手を見つけるのもいい。負けじ魂に火がつく。
とくにそのような相手はいないという人は、公募ガイドを刺激物として利用する手もある。

発奮する装置を作る

1.人に公言する:「○○賞に応募する」と公言すれば、会う人会う人、「○○賞には応募した?」と言われ、目標を思い出すきっかけになる。

2.同好の士を求める:「今、書いている」「最後の仕上げ中」などと言われると、競争原理が働き、「負けてはいられない」と尻に火がつく。

3.悪い未来を創造する:悔しがっている自分を想像するのも手。先には立たない後悔を先にしてしまえば、そうはなりたくないと思って奮起する。

計画は無理ないか、計画通りか

期限を切って目標を決めても、モチベーションが高くても、計画自体に無理があるというのでは挫折するのは見えている。

たとえば、締切が1か月後に迫っているのに、「500枚の長編を書く」なんていう目標を立てても、意気込みだけでは到底終わらない。
事前の準備は終わっていて、あとは書くだけだったとしても、アマチュアなら1日平均5枚ぐらいにしておいたほうがいい。
つまり、500枚なら50日かかり、さらに推敲にも何週間かはとっておいたほうがいい。

計画に無理がないとしても、計画を立てっぱなしではだめ。計画どおりに進んでいるか、ときどき進捗を確認しよう。
できれば、手帳かカレンダーに「予定/結果」を書いて、毎週日曜日に確認するなど、定期的に進捗をチェックしよう。
遅れていればペースアップしないといけないし、それが無理なら、別の手段(たとえば、推敲の時間を削るとか、仕事を休むとか)を使って、創作の時間を確保する。

忙しい人は、時間を無理やりにでも作る

「計画は立てた。無理はない。だけど時間がない」という人もいる。本当に時間がないのかどうかは別として、「平日は朝6時起床、夜9時帰宅。週末はボランティア活動でつぶれ、夜は晩酌」というような人は、なかなか創作の時間がとれない。
このような人の場合は、思いきって習慣を変えるしかない。

たとえば、朝活。「前の晩に構想を練っておき、朝5時から6時に執筆する」とか、「夜は必ず1時間、本を読む」とか、「通勤時間の1時間は構想を練る時間にする」とか。習慣を変えて1日1時間を捻出すれば、年間365時間確保できる。
とくに30〜40代は家庭でも仕事でも中心になることが多く、時間がとりにくい。だから習慣を変え、無理やりにでも時間を確保するしかない。

毎日筋トレのような基礎トレーニングを

これも習慣に近いが、「毎日30分でも創作につながる何かをする」というのも目標実現に一役買う。
このルーティンワークは、創作全般の基礎トレーニング的なもの。毎日ジョギングをしたり筋トレをしたりすることに近い。

たとえば、文章をコンパクトに要約するのが苦手という人なら、毎晩、その日にあったことを俳句か川柳にする「1日1句」をするとか。あるいは、空想的な話を作るのが苦手な人なら、「何がどうしてどうなったか」あらすじを書く「1日1話」を実践してみるとか。
こうした毎日の積み重ねによって実力がつき、実力がつくと創作する気もわくし、創作へと自分を向かわせるきっかけにもなる。

受賞のコトバに見る本気の出し方

私にとって映画を撮るチャンスはこれで最後になるかもしれない。(中略)撮影の期間中は大げさだが本当に、「今だけは絶対に死ねない」と毎日思った。

PFFアワード2018受賞、工藤梨穂さん

計画を立ててそれを実行してきたこと、二度や三度ではめげずに繰り返してきたことが、気づかぬうちに頂への地図を私に授けてくれたのかもしれない。

第64回江戸川乱歩賞受賞、斉藤詠一さん

落選の現実を前に思ったのは、ここで諦めてしまえば他の誰かの夢が叶うだけで、それではいつまで経っても自分の夢は叶わないのだ、ということでした。

第13回小説現代長編新人賞受賞、神津凛子さん

何度もくり返し自身に問うたのは、「なぜ私は書くのか?」ということでした。小説なんか書かなくたって、別に生きてはいけるのに、と。(中略)そうやって様々な出来事を反芻してみて、ああ、やっぱり書きたいな、と改めて気づいたのです。

第59回講談社児童文学新人賞受賞、水野瑠見さん

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※本記事は「公募ガイド2019年2月号」の記事を再掲載したものです。


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