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【作家の名言集めました】創作のモチベーション爆上がり必至!(2018年11月号特集)


モチベーションが上がる編

やる気が起きないときは、プロの心構えや叱咤、具体的なアドバイスがあるとやる気になる。公募ガイドを飾ったそんな名言を集めてみた。

今は、小説を読まないけど小説家になりたいと言う方もいますが、私は本に救われたという過去の経験があり、いわば私の中での恩返しみたいな気持ちがあっての職業選択だったので、その切実な想いなしに、小説家になって何を書いていくんだろうと思います。くさいことを言うと、小説家の世界は、どれだけ自分の人生を賭けられるかというところで仕事をした人間しか残っていかないんだと思います。

村山由佳(小説家)

あなたのことは誰も知らない、あなたの書いたものは誰も読みたがらない、こういう前提を忘れないでほしい。そういう人たちに読んでもらうためにはどうすればよいかを考え、面白いネタを一つ確保することが重要です。孫に囲まれて暮らす幸せな日々とかをただ書かれても響かない。そこにはやはり芸がいる。

林真理子(小説家)

40歳になった頃、文學界や群像の新人賞に応募し始めたんです。でも、二次から先に進めず、一度はあきらめました。それが50歳になったとき、やはり何か書き残したいと、時代小説を書き始めました。人生の哀歓を描く時代小説の世界は、“負けた”経験があるほど有利です。人生経験を生かせるジャンルです。

葉室麟(小説家)

12年間これでもかこれでもかと書いてきたがだめだった。でも、自分が最初に思いつくことは誰でも思いつく、これでは勝負にならないと気づき、自分が凡人であることを受け入れたのが私の転機になりました。だから、今でも最初のアイデアは疑うようにしています。常に自分を疑い続けることが大事だと思いますね。

芦沢央(小説家)

僕は文章が下手くそだという自覚がものすごくあるので、だからこそ直しを何度も精密にやりながら、文章を仕上げようとしています。苦手だからこそ克服しようと頑張ることができる。苦手だという自覚を武器にしている感覚です。苦手だという自覚は武器だと思って、いろいろ挑戦してみてください。

中村航(小説家)

あなたはあなたの森からは出られない。森は常に変化し続けている。地図を鵜呑みにした時点で、あなたは「小説とは何か?」という問いを忘れているのだから、もうすでにあなたが書くものが小説になる資格は奪われている。あなたはあなたの森の地図を自分で作るしかない

(保坂和志(小説家)『書きあぐねている人のための小説入門』)

友人からこんな言葉をもらいました。スランプのときは下りのエスカレーターを上っていくような状況だと。上ろうとしてもエスカレーターは下りていくわけですから、書けば書くほど地獄です。でも、やめずに必死に一歩また一歩と踏み出していたら、いつか平地や上りのエレベーターになることがある。そのときにはものすごい筋肉がついていて、飛躍的にいいものが書けるようになっているわけです。

山田ズーニー(文章表現インストラクター)

最終的に100枚のプロットを書くことをお勧めします。まずは、10枚を目安に5W1Hに沿って書きたいことを整理する。それを肉付けして20枚にし、20枚を40枚にし、具体的かつ精密に作り込んでいく。ここではどんなセリフになるだろう、どう展開するだろうと考えながら作っていく。そうすると100枚なんて軽くいきますよ。

五十嵐貴久(小説家)

選考会という場で大切なのは、可能性のある作品かどうかだけで、あとはすべて二次的なこと。その人の能力をはかるためには、いろいろやってもらわないと。限界までやっているところがないと、その人の基礎体力みたいなものがわからない。
賞の傾向を知るのは大切です。そのうえで、傾向とは真逆の、せまいところに自分から突っ込んでいくといいと思います。それだけで、人目を引くではありませんか。

高橋源一郎(小説家)

〝いい小説〞の前に、目立たないとダメですね。膨大な作品の中から選ばれるには、他と違うインパクトが必要です。しかも、最初の数ページで面白いと思ってもらわないといけない。あとで面白くなっても意味がないんです

森見登美彦(小説家)

完璧にあらすじを考えてしまうと、それで満足してしまうし、実際に書きだすと、そうならない矛盾を抱えてしまってうまくいかない。小説とか文章とかは書いていくうちに新しい組み合わせができていくところが面白いし、そこに読者は反応するので、完璧なプロットなんてクソみたいなもの(笑)。科学という営みだって、やるたびに違う答えが出てくるからわくわくする。脳のつながりなんてわかるわけないので、未定の部分は残るんですよ。

篠原菊紀(脳科学者)

プロットは作っても縛られないこと

上記のプロットに関する名言について補足する。
何か書きたい衝動に駆られ、思うまま書き出して行き詰まる。そこで、それは地図を持たずに山に入るようなものと反省し、詳細なプロット(構成案)を考える。

ところが、プロットどおりに書こうとすると、これがけっこう苦痛だ。筋書きをなぞるだけの作業は面白くもなんともない。
しかも、途中で違うストーリーを思いついてしまい、それでそのほうが面白いとなったら、最初に考えたプロットってなんだったのかと思ってしまうわけだ。
だから、プロットについては、結末とそこに至るいくつかの主要な中継点を決めるぐらいでいいが、上記の五十嵐メソッドは少し違う

こちらは100枚のプロットを書くという方法論。細かなところはどうせ推敲の段階でかなり変わってしまうので、プロットを書く要領でどんどん先に進め、いったん完結させてしまう。

考えてみれば、完成稿から見れば第一稿は詳細なプロットのようなもの。だから、プロットを作らない方法も五十嵐メソッドも、大きくは変わらないと言える。

著名人の名言でやる気を取り戻せ!

アトキンソンという心理学者は、「モチベーションは、期待と価値のかけ算」と言っている。

応募要項を見て、「このジャンルならできそう」「この課題なら書けそう」というのが〝期待〞で、「受賞したら賞金100万円がもらえる」「社会的に認められる」というのが〝価値〞だ。

面白いのは〝かけ算〞と言っているところで、どちらかが0ならモチベーションも0になる。
つまり、入選できそうという期待があっても、やる価値が0だと思えばやる気にはならないし、いくら創作する意義があっても、なんの期待も持てないのならやらないということ。

しかし、今この誌面を見ている人は、創作への期待も価値も0ではないと思っただろう。いや、むしろ、かなり大きな期待をして応募をしたはずだ。
それで期待通りだった人はいいが、そうでなかった人はモチベーションも落ちているだろう。
そこで(過去に組んだ特集の性質上、小説家が多いのだが)、これまでに公募ガイドを飾った著名人の名言を集め、皆さんのやる気を引き出せればと思う。

特集:ボツちゃん脱出計画
公開全文はこちらから!

※本記事は「公募ガイド2018年11月号」の記事を再掲載したものです。

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