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【短編は書けるけど長編だといまいち…】長編をうまく書けない人が勘違いしていることとは(2018年3月号特集)
5枚~10枚の短編なら書けるのに、長編となるととたんに挫折する。そこでプロの童話作家3名に長編の書き方のコツを聞いた!
長編は木全体を書く。人間を書く。
短編を伸ばしただけでは長編にはならない
長編となると、小学校低学年や中学年では読み切れない枚数なので、読者対象は必然的に小学校高学年以上となる。小学校高学年、中学生、高校生を対象とした長編は一般的には童話ではなく児童文学と言うことが多い。
さて、短編ならうまくまとまるのに、長編になるととたんに行き詰まるひとつの原因は、短編のように長編を書いてしまうから。
短編では断面、局面を書く。この木が人の一生なら人生すべてを書くのではなく、人生のある一瞬を書く。
その人にも経歴、履歴はあるはずだが、それは想像に任せる。
長編で失敗する人は、短編のこの骨格はそのままに、単に文章を増やす人。それをやると話がどんどん間延びし、話の進行を止める長い描写、詳細な説明が増え、読者の前に作者が飽きてしまう。
事件や人との出会いを通じ、人間を描く
長編を書くコツについて、牧野節子先生はこう言っている。
「ごく短い話でしたら―つのアイデアだけで書ける場合もありますが、長編を書くときは、登場人物、舞台背景、時代背景をきちんと決め、構成、構造も考える。つまり設計図をひいてから書くといいと思います。ビジョンが鮮明であれば、途中でつまずくことも少なくなります」
鳥野美知子先生にも聞いた。
「短編は場面の切り取り、一方、長編は人間を描くことだと思っています。長編を書く場合は、一つや二つのアイデアでは間に合いません。人間一人を書き切るためには、さまざまな事件、人との出会い、その環境や成長を書かなくてはなりません」
長編を書く場合は、事前にプロットを作り、そこにさまざまな要素を盛り込むことが必須だ。
長編を書く時の5つのポイント
1. 主人公の目的を明確に
主人公の目的がはっきりしていないと話がまっすぐ進まず、ストーリーがあらぬ方向に行くことも。そうなると、どこを結末としていいかもわからず、途中で行き詰まる。常に「結局、主人公はどうしたいの?」を考えよう。
2.サブプロットを設ける
メインプロットは一番重要な問題で、サブプロットはそれを補うもの。メインだけでは単調。ケンカ中の親子が遭難したら、帰還できるかがメインプロット、和解できるかがサブプロット。長編にはサブプロットが複数ある。
3.敵、ライバルを設定する
物語には主人公とその協力者(味方) 、それから敵またはライバルは必須で、それらは強力なほど盛り上がる。ただし、敵も魅力的に描き、その障害を乗り越えさせる。敵は人物ではなく、目の前にある悩みということも。
4.章立てをする
大人の小説では最後まで切れ目なく文章が続く作品もあるが、子ども向けの場合は章立てを。子どもは章で切って休ませないと息が続かない。思考も整理できず、読むのが嫌になってしまう。この配慮も子ども向けならでは。
5.ときどきまとめる
大人の推理小説でも事件が入り組んでいるときは刑事が話をまとめたりするが、子ども向けの長編ではそれが顕著になる。主人公が「みんな混乱しているから、ここまでのことをまとめてみるよ」と言い出すのは読者への配慮。
長編は寄り道しながらラストへ向かう
石崎洋司先生にも、長編と短編の違いについて聞いてみた。
「短編は一直線にラストに向かっていく。長編はあちこち寄り道しながら、ラストに向かっていく。逆にいえば、長編も短編も、ストーリーラインは1本。イメージとしては
短編:起承転結
長編:起承承承転転転転結
長編では、複数の承や転の中に、ミニストーリーが入っている。そのミニストーリー(章あるいはいくつかの章のまとまり)が、たがいに関連し合って、作品全体の起承転結に関わるようにセットする。
こう書くと難しく感じられるが、この感覚は、連続テレビドラマなどを、構成の面から注意して見ていればつかめると思う。
一回、一回は、それなりにストーリーになっている。
が、必ず次回への「引き」が入っている。
最終回に、大きな意味でのストーリーが解決する。
※「忠臣蔵」などが長編の見本。討ち入りが最終的な目標だが、そこを目指す人々にそれぞれのドラマがあり、全体がからみあって討ち入りの物語が完成する。なので、その一部だけが独立して上演されてもおかしくない。
つまり、長編を書くには、この『寄り道ストーリー』がブロックのように組み合わされて大きなストーリーを構成するという感覚をまず身につけること。
くれぐれも、自分の思いのままに書いたりしないこと。長編では、常に読者の興味を引く仕掛けを考えることが必要」
主人公の目的の実現に向かって、ひとつの大きな流れ(起承転結)があり、各ブロックの1話、2話、3話……の中にも起承転結があって、そこだけでも面白く読める、かつ続きも読みたくなる。それが長編を読ませる秘訣。
特集「童話賞入選への道」
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※本記事は「公募ガイド2018年3月号」の記事を再掲載したものです。