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人生を豊かにする中国古典の名言#63

【今日の名言】

其の無私なるを以てに非ずや、故に能く其の私を成す
(読み:ソのムシなるをモッてにアラずや、ユエにヨくソのシをナす)

『老子』七章

私利私欲を持たないからこそ、むしろ自分らしさを貫くことができるのだ、という意味。

聖人と呼ばれる人々がどうして活躍することができるのか、について述べた言葉になります。

つまり、私利私欲のために動くのではなく、もっと自分の純粋な気持ちを大事にして、自分軸を貫いていきなさい、ということですね。


皆様は自分軸を大事にできていますでしょうか?

私はぼちぼちといったところです。

普段は自分らしさを大事にできるのですが、仕事上の付き合いなどが絡むと、どうしても忖度してしまい、自分を犠牲にしてしまいがちです。

もっときっぱりと断ることができれば良いのですが、これがなかなか難しいんですよね……。

ですが、老子の言う「聖人」のような立派な人物になるためには、自分軸をもっと大事にしていかなければなりません。

老子は以下のように語っています。

天地の能く長く且つ久しき所以の者は、其の自ら生ぜざるを以て、故に能く長生す
(読み:テンチのヨくナガくカつヒサしきユエンのモノは、ソのミズカらショウぜざるをモッて、ユエにヨくチョウセイす)

『老子』七章

天地が永遠の存在であり続けられるのは、天も地も生き続けようとはしていないからであり、だからこそ長く存在し続けられるのだ、という意味。

要するに、大自然の存在は決して無理せず、いつも自分軸に従って生きているからこそ、永遠に存在し続けられるのだ、ということですね。

私たちも同じです。

仕事仲間やご近所さんとの付き合いは大切ですが、自分の気持ちを無視して相手に引っ張られすぎてしまうと、自分のやりたいことができなくなってしまいます。

自分の気持ちや願望を犠牲にして過ごすことは、とても辛いことです。

ストレスを抱えて生きることになると、次第に心身の健康を損なってしまいます。

それでは、健康的に長生きすることはできませんよね。

そういった点からも、自分軸に従って生きることはとても大事になってきます。


『論語』で有名な孔子も、「人への教育を通じて天下に安寧をもたらす」という自分軸に従って生きていました。

当然、周囲から認められなかったり、祖国から亡命しなければならなかったりと、色々な困難も経験しています。

ですが、彼は決して諦めませんでした。

地道な活動の結果、やがて孔子は祖国で大臣に取り立てられます。

彼のひたむきな活動が認められたのです。

当時は春秋戦国時代だったということもあり、その後も様々な苦難が降りかかった孔子ですが、「人への教育」に対する熱量は最後まで変わりませんでした。

黙してこれを識し、学びて厭わず、人を誨えて倦まず。我に於いて何をかあらん
(読み:モクしてこれをシルし、マナびてイトわず、ヒトをオシえてウまず。ワレにオいてナニをかあらん)

『論語』述而篇

黙々と覚え、学んで飽きず、人に教えて嫌にならない。
こういったことは自分にとってはなんでもないことだ。

と孔子は語っています。

私利私欲にとらわれず、自分の純粋な思いを大事にして生きてきた孔子だからこそ、今でも多くの人の心を打つのでしょう。


自分らしさを貫くことはなかなかに難しいことですが、ひたむきに活動を続けていけば、やがて評価してくれる人が増えてきます。

周囲と比較して不安になることもあるかもしれませんが、そこは「他人は他人、自分は自分」と切り離して考えましょう。

安易に周囲に流されると、せっかくのあなたらしさを失うことになってしまいます。

自分軸に従い、自分らしさを大事にして、自分だけのコンテンツを発信していきたいですね。


今回ご紹介した言葉は、以下の回でも取り上げています。

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凪平コウ@古典・歴史愛好家
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