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木の葉を見て四季の移ろいを楽しめるような大人になりたい(唐庚『文録』)

今回取り上げるのは北宋の唐庚(とうこう)がまとめた『文録』に掲載されている漢詩から。

山僧解せず甲子を数うるを、一葉落ちて知る天下の秋
(読み:サンソウカイせずコウシをカゾうるを、イチヨウオちてシるテンカのアキ)

唐庚『文録』

山僧は暦を数えることを知らないが、桐の葉が一枚落ちるのを見て、天下が秋を迎えたことを知る、という意味。

『文録』の中で、「唐代のものにこんな素敵な詩があります」と紹介されている漢詩です。

情景が想像できて素敵な詩ですよね。

この記事が投稿されるのは10月中旬。

暦上では、あと3週間ほどで立冬を迎える時期です。

秋分は09月22日、立冬は11月07日となります。

つまり、暦的には秋もそろそろ終わり、ということですね。

一年ってあっという間だなぁと感じます。


さて、この立秋や立冬という数え方は二十四節気(にじゅうしせっき)と呼びますが、実はこの二十四節気は、古代の時代から中国の戦国時代ごろにかけて徐々に整備されてきたものです。

「奇貨居くべし」という名言で有名な呂不韋(りょふい、?~前235年)が編纂した『呂氏春秋』という百科全書があるのですが、その中にはすでに「立春」「立夏」「立秋」「立冬」といった語句が登場しています。

また、前漢時代の淮南王劉安(りゅうあん、前179~前122年)が編纂した『淮南子』になると、二十四節気に必要な要素はすべて出揃い、この頃までには名称も一般化していたようです。

二十四節気という考え方は古くから日本にも導入され、特に農業や旬の行事を楽しむための、より身近な暦として広まりました。

江戸時代の中後期には、常陸国宍戸藩の藩主である松平頼救(まつだいらよりすけ、1756~1830年)が、暦の解説書として『暦便覧』を刊行しています。


せっかくですので、本記事投稿時点での二十四節気を確認してみましょう。

  • 秋分(しゅうぶん):2024年09月22日

  • 寒露(かんろ)  :2024年10月08日

  • 霜降(そうこう) :2024年10月23日

  • 立冬(りっとう) :2024年11月07日

現時点ではちょうど寒露と霜降の間ですね。

あんまり耳馴染みのない言葉かもしれません。

『暦便覧』によると、寒露は

陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也

松平頼救『暦便覧』

と説明されています。

つまり、冷気が強まって露が凍り始める時期、ということですね。

一方の霜降については、

露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆゑ也

松平頼救『暦便覧』

露が冷気で冷やされて霜が降り始める時期、ということのようです。

こういった暦の良いところは、漢字からその時期の情景が想像できるところだと思います。

自然の豊かさを感じられますね。

今年はもうしばらく暖かい時期が続くようですが、朝晩の冷え込みも徐々に厳しくなってくると思いますので、皆さまも風邪を引かれぬようお気をつけてお過ごしくださいませ。

山僧解せず甲子を数うるを、一葉落ちて知る天下の秋
(読み:サンソウカイせずコウシをカゾうるを、イチヨウオちてシるテンカのアキ)

唐庚『文録』

今回は、山僧は暦を数えることを知らないが、桐の葉が一枚落ちるのを見て、天下が秋を迎えたことを知る、という漢詩をご紹介しました。

今年の秋は暑い日が多く、秋らしさを感じられないまま、何だかあっという間に冬になりそうな気がしています。

この間はクリスマスケーキの予約広告を見かけて、時の流れの早さに愕然としてしまいました。

今年も終盤戦ですが、できるかぎり身の回りの四季の移ろいを楽しみながら過ごしていこうと思います。

それでは今回はここまで。

また次の記事でお会いしましょう👋


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