医学を極めた薬王が語る、人としての理想のあり方【教養を深める中国古典のお便り#15】
皆様、こんにちは!
メンバーシップ向け特典記事の「古典のお便り」15通目になります。
こちらのシリーズでは、普段の記事では取り扱っていない古典・史書から、さまざまな名言をお届けします。
前回は『後漢書』からお届けしました。
今回は、『新唐書』からお届けしようと思います。
『新唐書』は中国の正史の一つ。
全225巻で、1060年に欧陽脩らの手によって完成しました。
もともと『唐書』という正史が存在したのですが、出来があまり良くなかったため、北宋の皇帝の発案で編纂されなおしたものです。
そのため、古い方を『旧唐書(くとうじょ)』と呼び、新しい方を『新唐書』と呼びます。
新しく編纂されなおしただけあって、なかなか名文が多い古典となっております。
というわけで、今回は『新唐書』から、とある医学者の名言を見ていきましょう。
記事の最後には、漢文に関する学びも記載していますので、最後まで読んでいただけますと嬉しいです。
『新唐書』に学ぶ
今回取り上げるのは『新唐書』隠逸・遜思邈伝からの言葉。
度胸は大きく持ちながらも、細心の注意を忘れない人でありたい。
知恵は広く融通がきくものの、行いは品行方正で厳格な人でありたい。
という意味。
唐代の医者である遜思邈(そんしばく)の言葉です。
『旧唐書』遜思邈伝にも見え、特に前半部分は「胆大心小」という四字熟語にもなっています。
また、朱子学で有名な朱熹も、実は自著の中でこの言葉を引用しています。
それほどの名言だということですね。
中国史上最高の医学者、遜思邈
遜思邈(? ~ 682年)は唐代の医学者・薬学者で、薬王とも呼ばれています。
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