マガジンのカバー画像

詩経

15
『詩経』に関する記事をまとめています。
運営しているクリエイター

#毎日note

飲み会は大事かもしれないけれど、自分の健康の方がもっと大事(『詩経』小雅・鹿鳴篇)

今回取り上げるのは『詩経』小雅・鹿鳴篇からの言葉。 鹿が互いに呼び合って、仲良く野のヨモギを食べている、という意味。 「呦呦」というのは鹿の鳴き声のこと。 人々が大事な人と互いに談笑しながら楽しく飲食する様を表した例えです。 この鹿鳴篇は、天子が臣下や客を招いてご馳走を振る舞う様子を歌っています。 天子とは古代中国における支配者のことで、天帝から地上の支配を任された王様のような人のことです。 有名な「鹿鳴館」もこの篇が名前の由来になっています。 各国の賓客を招い

VUCA時代に求められるスキルは中国古典で学ぼう(『詩経』邶風・匏有苦葉篇)

今回取り上げるのは『詩経』邶風・匏有苦葉篇からの言葉。 川が深いときは衣全体をまくり、川が浅いときは裾だけをまくって渡る、という意味。 歴史や時代の流れは川に例えられますが、川を渡るのにも色々な方法があります。 深ければ服が濡れないように気をつけなければなりませんし、浅ければ靴を脱いで裾をまくるだけで良いかもしれません。 いつの時代も、その時々の流れに応じた在り方というものがあります。 つまり、世の中の変化に合わせて適切な態度を取りなさい、ということですね。 今の

自分の心に映る他人は虚像に過ぎない(『詩経』邶風・柏舟篇)

今回取り上げるのは『詩経』邶風・柏舟篇からの言葉。 私の心は鏡ではないのだから、他人の心を推しはかることはできない、という意味。 「もしかして〇〇さん、私のこと嫌いなのかな・・・」 「ちょっと言い方が悪かったかな。〇〇さん気にしてるかも・・・」 繊細な方であれば、相手や自分の言動を気にして悩んでしまうことがあるのではないでしょうか。 ですが、それは自分がそのように思っているだけにすぎません。 自分の心は鏡ではないので、相手の気持ちを正確に映し出す(把握する)ことはで

人はあなたを一面だけで判断するから、長所を見てくれる環境に移ろう(『詩経』小旻篇)

今回取り上げるのは『詩経』小旻篇からの言葉。 世の人々は物事の一面を知って、それ以外の面を知ろうとしない、という意味。 物事を一面で判断してはならない、ということですね。 それと同時に、周囲は物事を一面でしか判断していない、ということでもあります。 物事には色々な面があります。 良い面もあれば悪い面もあり、それをどのように使うか、何に使うかによって評価は変わってくるものです。 これは人間も同じです。 ある人からみたら欠点かもしれないことでも、別の人から見たら長所

誰かじゃなくて、昨日の自分と比べようよ(『詩経』衛風・洪澳篇)

今回取り上げるのは『詩経』衛風・洪澳篇からの言葉。 宝玉を切り出して、さらに形を整えたり、宝石を打って形作り、さらに磨き上げていくかのように、努力に努力を重ねて自分自身を高めていく、という意味。 「切磋琢磨」という言葉はここからきています。 Oxford Languagesの日本語辞書で「切磋琢磨」の意味を見てみると、以下のようにあります。 現代では、どちらかというと「仲間同士互いに励まし合って向上すること」という意味で使われることが多い気がしますが、語源的には「学問

「維新」には古代の人々の前向きな思いが込められている(『詩経』大雅・文王篇)

今回取り上げるのは『詩経』大雅・文王篇からの言葉。 周は古い歴史のある国ではあるが、その天命はまだまだ新しい、という意味。 「維新」という言葉はここからきています。 「これあらたなり」と読むので、ここから新しくしていくぞ!というイメージです。 小学館『日本国語大辞典』にも、「すべて改まり新しくなること」とありますので、現代でも同じ意味で使われていますね。 周というのは殷王朝の後に生まれた王朝です。 元々は殷の傘下にある国に過ぎませんでしたが、前1046年の牧野の戦

中国古典に見るお酒についての教えと伊達政宗の失敗(『詩経』小雅・賓之初筵)

今回取り上げるのは『詩経』小雅・賓之初筵篇からの言葉。 言わなくても良いことは言ってはならない、道理に合わないことであれば人と語ってはいけない、という意味。 お酒の席での振る舞いについて述べたものになります。 口は災いの元ということですね。 そろそろ3月末ということもあり、年度末や新年度に合わせた飲み会が増えてくる時期だと思います。 私はお酒が飲めないので飲み会は正直憂鬱です。。 ですが、同僚や新しい方とお話しする機会でもあるので、勇気とやる気を振り絞って参加し、

気のせいかな?って思った時に限って問題が起こる(『詩経』大雅・蕩篇)

今回取り上げるのは『詩経』大雅・蕩篇からの言葉。 人は初めは慎み深く物事を進めるが、最後までその姿勢を全うできる者は少ない、という意味。 初心の大切さと有終の美を飾ることの難しさを表しています。 ゴールが見えてくると、ついつい気が緩んでしまうことってありませんか? 私はあります。 Web開発ではサービスのリリースや納品の前にテストを行います。 品質が基準を満たしているかチェックするやつです。 昔、そのテストの際にちょっと怪しい挙動をする箇所を見つけました。 普