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【映画感想】数分間のエールを ネタバレあり

※画像の引用元:「数分間のエールを」公式HPより

こんにちは! 水上コウです。
数日前から気になっていた、映画「数分間のエールを」を見たので感想を書きたいと思います。

一言で言うと、「色々刺さるものがあって深くて面白い作品」でした。
そもそも気になったきっかけは、脚本が花田十輝さんだと知ったことです。花田さんの作品といえば「ラブライブ!」シリーズや「宇宙よりも遠い場所」など、今期だと「響け!ユーフォニアム3」「ガールズバンドクライ」も担当されていますが、僕はこれらの花田作品が大好きなので、これは観に行きたいということで映画館に足を運びました。

花田さんの作品は描かれるものとして、「リアリティ」「夢と現実」「挫折」「否定した対象へのリベンジ」「普通の人間と才能ある人間」「大局的にというよりは主人公とその周りの成長や成功が重点的」などの特徴がある印象が強いのですが、個人的にこの映画でもそういった要素が至るところに感じられ、花田さんっぽい映画だな、と期待していたものを見ることができてよかったです。

リアルに刺さる要素が多くて、時には観ている自分が問いかけられる感覚があるというか、ストーリーを通して「君はどうする?」みたいなメッセージを感じて自分の現実を作品と比較して「やめろおおおおお」と吐きそうになったりもします(それが好きだったりするのですが)。今作でも創作という観点からストレートにわかりやすく、でも刺さる要素がたくさんあり、色々自分に重ねて考えさせました。

一つ一つ取り上げると相当な量になるので全部語るのは割愛しますが、特に印象的だったのは、彼方が寝る間も惜しんで頑張って作り上げたMVを夕先生に見せたら良い評価をもらえずMV制作を断られてしまったところ。わかる、わかるぞ……と共感しながら見てました。

あれだけ頑張って、何なら彼方的にはこれなら間違いない!絶対いける!良い評価をもらえる!みたいな自信までついていただろうに否定されてしまったら、そりゃ傷つきますよね……創作をしたことある人の中には、このシーンに心を抉られた人も多かったのではないでしょうか。それでも創作を続けた彼方には拍手を送りたいです。

自分がいくら頑張ってもそれを評価するのは他人であって、良い評価がもらえるかどうかは自分ではコントロールできない。主観的な評価と客観的な評価は違うわけで、だからこそ他人や社会から良い結果や良い評価をもらって認められるには、「ユーザーが求めているものは何なのか?」をしっかりと汲み取らないといけない。つまり「自分はこれが作りたいんだ」だけだとそれはただの自己満でしかなく、それ以前に「求められているもの」を優先してモノを作らないと受け入れてもらえないというわけですよね。

彼方は実際自分の中ではこれだ!と思うものを作り上げたわけですが、後からトノに「お前は夕先生の気持ちちゃんとわかってない」みたいな指摘を受けましたね。あの時まだ彼方の中では「何を求められているのか」という部分が弱かったのかなと思っていたので、最後に先生にちゃんと受け入れてもらえたのは、彼方の成長が見られたようでとても嬉しくなりました。

あともう一つ取り上げるなら、トノの今後がどうなるかがすごく気になりました。挫折したまま大人しく英語の道に……でも彼方がクリエイターとして輝いていくのが眩しすぎて辛いみたいなことがあったらと不安に感じているのですが、特典の後日談を見る感じではトノも美術の道に再帰する可能性あり?と読み取れただけでもよかったです。

先生が彼方に心を動かされたのはもちろん、僕自身も見ていて彼方に心を動かされました。この映画を見た人の中には、衝動に突き動かされて何か創作に関わることをやってみたりする人ももしかしたらいるのかも……? と思っています。

「数分間のエールを」とは彼方が夕先生に数分間のMVを通してエールをおくるという意味でしたが、僕もあのMVによってまさしく”数分間のエールを”おくられたような気がします。

「自分の作ったモノで人の心を動かしたい」
これに限らず響く言葉が本当に多い、そんな素敵な作品でした。

以上、感想でした。

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