【エッセイ】「いいね」に導かれて打ちのめされた話

 良いと思った投稿に伴う白いハートに赤色をつける。この動作を人間が習慣として始めてからどのくらい経過したのだろうか。「いいね❤️」の起源を私は知らない。この「いいね❤️」を巡って私は大学の授業を受けることがままならなくなってしまった。
 noteを始めて1ヶ月が経過した。ここ1ヶ月で投稿した作品は10件。それぞれ大体10いいねくらいをつけてもらった。大変ありがたい。嬉しい。頑張れる。
 一般的にいいねを押せるのは1人一回又は1アカウント一回だ。そしてそのいいねの質と重みに差はなく一票に格差はない、極めて平等な制度である。はずだった。なのにだ。
 私はある1人の人からもらった「いいね」にだけすごく動揺をしてしまったのだ。
 私はnoteに投稿した作品にいいねを押してもらえたらその方のプロフィールに飛ぶ。一度見渡し、興味のそそられる記事があれば一つ読んでお礼を兼ねていいねを押している。今日も午前中に投稿した作品にちらほらといいねがつき始め、大学の休み時間にいいねを押してくれた人のアカウントに遊びに行った。そこで、ある人のプロフィールに目を奪われた。
 その方はフォロワーが5000人超えでなんと「第一回創作大賞」の受賞者様、藤原華さんだったのだ。https://note.com/hana_heya/portal 
 
そのプロフィールを見て、なぜにこの私の投稿にいいねを?と疑問に思ったが、そんなことは一瞬で吹き飛んだ。次に目に飛び込んできたのは固定されているトップ記事のタイトル。「なぜあなたのnoteは読まれないのか」https://note.com/hana_heya/n/ne2a951d3bba6 。なんて魅力的な興味をそそるタイトルなのか!気づいたらその記事を開いていた。そしてまんまとやられた!と悔しくなった。だって「タイトルに9割の全力を注ぐ」とでっかく書いてあるのだから!クリックしちゃったじゃんか!血走った目で限られた休み時間に読み進める。本文の書き方について書かれている。ふむふむ。なるほど。わー確かに!急いでいるけど全部すんなり理解できる文章。ありがてえー!となっているとまたすごいことが書かれていた。
 「文章ってさ、インクで書くんじゃないんだよ。血だよ。血で書くんだ。」

ぐっさりと私の心臓に刺さった。そんなつもりじゃなかった。ちょっと覗いてみよーっていう気軽な気持ちだった。真正面から刺されてしまうなんて思ってもいなかった。
 結局、意識朦朧としながらも私はその記事の虜になっていたのでチャイムがなっても齧り付いてやっとの気持ちで読み終えた。
 文章を書くことに心血を注いでいる人の真髄を見てしまってここから自問自答が止まらなくなる。
 「おい、私、すごい世界に足を踏み入れてしまったみたいだぞ。そんな覚悟してたか?」「見えない読者をどれだけ意識していた?」と。
 そして人間とは愚かなもので傷つくのはわかっているのに他の記事にも手を出してしまった。
 『「たった一人に向けて書く」ことで他の誰かを傷つけてるかもしれない』https://note.com/hana_heya/n/n158a7040d5fa など気になる記事にいくつか目を通した。
 勢いに圧倒された。読者に届けたい!誤解はないように!誰も置いて行かないように!文字から気迫が飛んできた。
 「ダメだこりゃ。」
 と思ってしまった。私がやってるのって自己満じゃん!そしてこのスタンス変えれそうにないんだけど!だって心地いいから!
 本来、文章は身を削って「血」で書かないといけないらしい。無理だ。だって私、日頃ついた傷を止血しようっていう甘ったれた思考で書いている人間なんだから!自己否定が続く。
 ただ、私も最後の思考力が残っていたらしくパッとこんな考えに至った。
 「あんなにタイトルに厳しいお方にタイトルを見てクリックしていただけたの?信じられなーい。」
 「え?待って。こんなに文章に命かけてる人からいいねもらえたってこと?やるじゃん私。」
 でも自己肯定もここまでで、再び変な思考が出現する。
 「いいねって押す人によって質も重みも違うよね。。。ってことは私が大好きなあの人に届けたいいねも尊敬してやまないあの人に届けたいいねもこんな凡人で無価値な私から発せられたものならほぼ無価値じゃん!」
 こんな思考である。勿論、今回藤原華さんに届けた私のいいねもほぼ価値なし。
 「マジかよ。今まで何件に無価値いいね飛ばしたと思ってんだよ。」
 驚きだ。一件のいいねでこんなところまで辿り着く私の脳はどうなってるんだ。素直に受け取ればいいものを。減点方式の人生からやはり抜け出せない。(今回藤原さんにいいねを頂いた私の記事は「加点方式で送る人生のすゝめ」という作品で減点方式から抜け出そうと踠いている私を綴った。)https://note.com/kou_aomi/n/n5c6ad3fbb35f
 とまあ、ここまで「打ちのめされた」とか「心臓に刺さった」とか「自己否定」とかマイナスなことをほざいていたが実は意外と楽しんでいる自分がいるのを私は知っている。これが作品に触れる醍醐味だし自分が生み出す側になったことで知り得た知見であるのだ。他者のアドバイスを参考にしつつも私は私なりの文章を紡いでいきたい。そしていつか誰かに価値のある「いいね」を届けられるようになりたい。そう心に誓った夕陽が眩しい教室だった。
 

 他者様の作品を引用するのっていいのですか?無許可なのですが。初の試みで緊張!
 悪いようにはしてないはずですが問題があればすぐ消します。


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