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北海道コンサドーレ札幌 補強診断〜チーム別補強診断#1〜

こんにちは。
Jリーグも開幕してから数ヶ月が経ち、すでに10試合以上のリーグ戦が行われています。
そこで、今回から始まる「チーム別補強診断」シリーズでは、2022シーズン開幕に向けた各チームの補強に関して、現時点までの成績などを踏まえ評価を行っていきたいと思います。
その上で、各選手の補強診断を『S』から『D』の5段階で評価をし、最後はチーム全体の総括も行おうと考えています。

これまでのシリーズ同様、上位カテゴリーから、北から行います。

第1回となる今回は、北海道コンサドーレ札幌編です。

なお、すべての情報は5月5日時点となるので、ご了承ください。
また、試合出場などのスタッツは、transfermarktを引用します。

補強動向

改めて、今オフのコンサドーレ札幌の補強動向を振り返っていきましょう。

なお、この表は以前の記事『2022Jリーグチーム別考察#1 ~北海道コンサドーレ札幌編~』に記載されている表になります。

なお、この表に入っていない情報として以下の移籍がありました。

<IN>
 松原修平  ←京都サンガF.C. (完全移籍)
 西大伍   ←浦和レッズ (完全移籍)
<OUT>
 阿波加俊太 →鈴鹿ポイントゲッターズ (完全移籍)
 柳貴博   →アビスパ福岡 (期限付き移籍)
 ガブリエル →未定 (契約満了)

試合結果

選手個人個人の試合での出場データなどをみる前に、まずはチームとしてのここまでの成績を見ていきましょう。

J1リーグ

https://www.transfermarkt.jp/hokkaido-consadole-sapporo/spielplan/verein/16032

順位:11位
勝ち点:14(2勝8分1敗)
得点/失点/得失点差:9/11/-2

ルヴァンカップ

個人スタッツ

それでは、ここからはオフの移籍市場で加入した選手をポジション順に(GKから)見てきましょう。

①松原修平(←京都サンガF.C.)

試合スタッツ

移籍が発表されたのが3月31日ですので、それ以降の成績を見ていきます。

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 開幕の時点では、GKの序列は菅野選手→中野選手→大谷選手→阿波加選手という順番でした。しかし、3月29日に阿波加選手がJFLの鈴鹿ポイントゲッターズへと完全移籍することが発表されており、GKが3人体制となっていました。
 負傷など有事の際に2人体制となってしまうことを懸念してのあくまで、「控え候補」としてのGKの選手層に厚みを持たせるための獲得であったと言えます。
 また、年齢的な面を見ても、菅野選手、大谷選手は30歳を超えるベテラン、中野選手は大卒で加入して数年と比較的若い選手であり、「20代後半」という年齢層はある種ギャップになっていました。そういう面でも29歳の松原選手の獲得は、選手の年齢分布をならす上でも理にかなった獲得と言えます。

考察

 リーグ戦での出場がないということやベンチ入りをしていないということは決して「期待はずれ」というわけではないと思います。
 現時点で、GK陣に怪我人などが出ていませんが、今後、天皇杯などが開催されることを踏まえると、出場機会を得ていく可能性も十二分にあると言えるでしょう。

評価

 松原選手に関しては、チームから与えられた役割は全うしていると思います。その上で、今後、カップ戦も含め試合に全く絡めなくなれば『C』や『D』でしょうし、レギュラー争いに絡むなどという活躍があれば『S』や『A』というのが妥当な評価ではないでしょうか。

②西大伍(←浦和レッズ)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 西選手は、コンサドーレ札幌の下部組織出身の選手で、約10年ぶりの帰還ということになります。
 そもそもは、昨季、浦和レッズに移籍をしたばかりで、昨季もリーグ戦25試合に出場し、1ゴールを決めていましたが、年明けの1月12日に契約満了のリリースがなされました。
 某週刊誌で記事が出てしまったことなど、素行面での問題もあった上での契約満了であったと思いますし、時期的にも兼ねてから想定されていた「契約満了」かと言えばそうではないのではないでしょうか。
 その上で、キャンプから古巣である札幌が練習参加を許可し、2月4日に正式に加入が決定しました。
 西選手は、右サイドバックを本職としながら、センターバックやディフェンシブミッドフィルダーでプレー可能なポリバレントな選手です。このポジションの選手が退団したというわけではないので、選手層に厚みを加えるという意味での獲得と言えるでしょう。

考察

 現状は、なかなかリーグ戦で出番を得ることができていません。
 そもそも、スリーバックですのでサイドバックは置いていません。右ウイングバックには、実績十分なルーカス・フェルナンデス選手や金子選手が所属しているため、中央(CBやDM)での起用が多くなっています
 リーグ戦では、ここまでに6試合でベンチ入りし2試合で途中出場を果たしています。
 一方のルヴァンカップでは、控え組として臨むことも多く、多くの出場機会を得ています。ここまでの5試合のうち、4試合に出場しておりい3試合はスタメンです。
 この起用方針を見ると、主力級ではありませんが、「選手層の厚さを増す」という面では一定の役割を果たしており、主力級の疲労軽減にはなっています。

評価

 松原選手に関しては、チームから与えられた最低限の役割は全うしていると思います。
 しかし、実績面などを考えると、実力者がいるとは言え、もう少しリーグ戦の試合に多く絡んでいくべき選手だと思いますし、それができる選手だとも思います。そのような意味を込めての『C』という評価にしました。

③檀崎竜孔(←ジェフユナイテッド千葉)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季の前半戦はオーストラリアのチームへ移籍していました。その後、日本に復帰後は、J2のジェフユナイテッド千葉へと期限付き移籍をしており、経験を積みました。
 「獲得理由」というか、なんというかは不明ですが、まあ、要は「復帰」ということです。千葉でも4試合の出場、プレー時間は17分にとどまっており、オーストラリアでは結果を残したとは言え、勝負の年と言えそうです。

考察

 檀崎選手が主戦場とする攻撃的MFのポジションには、駒井選手、金子選手、シャビエル選手、小柏選手などJ1で昨季から継続的に出番を得ていた選手や、実績十分な選手がいます。
 実績面での勝負では負けてしまいますが、チームとしてもまずは「カップ戦要員」として経験を積み、夏場からはリーグ戦に絡んで来ればというイメージではないでしょうか。
 ルヴァンカップでは、ここまで5試合中4試合に出場しているとは言え、スタメン出場は第1節のみとなかなか厳しい戦いが続いています。加えて、目に見える結果を出すことができておらず、カップ戦での出場がリーグ戦での出番につながらないのが現状です。
 中島選手のように一度結果を出すと、継続的に結果を出せる可能性もあるとは言え、現状は「期待はずれ」と言わざるを得ません。

評価

 カップ戦で出番を得ているということは◎です。一方で、リーグ戦では全くベンチ入りすらできていないというのは「期待はずれ」と言えます。
 カップ戦で出番を得ているという点や、元々の期待値から『C』としましたが、かなり『D』よりであると言えるでしょう。

④ガブリエル・シャビエル(←名古屋グランパス)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 「魔術師」の愛称をもつシャビエル選手は、昨季まで名古屋グランパスに所属していました。「止めて、蹴る」をサッカーの真髄とする風間監督が監督を務めていた際には、中盤の要として攻撃のタクトを振るっていましたが、イタリア人指揮官で、強烈なカウンターサッカーを志向するマッシモ・フィッカデンティ監督就任以降は徐々に出番を減らしていきました
 顕著だったのは、2021シーズンで開幕当初は2試合に一度程度はスタメンでしたが、24節から27節まで4試合連続でベンチ外となるなど、終盤にいくにつれスタメンでの出場機会を大きく減らしました。
 秋口には、「契約満了・母国復帰」といった記事がメディアより出ましたが、最終的にはコンサドーレへと移籍しました。
 個人的なイメージとしてですが、金子選手やルーカス選手など既存の選手と一味も二味も違った感性を持っているプレーヤーであるがゆえに、札幌の攻撃に新たな彩りを加えることを期待して獲得したのではないかと思います。

考察

 札幌では、「準主力」と言える起用になっています。
 リーグ戦では、11試合中9試合に出場しており、そのうち6試合はスタメン出場しています。最近は、小柏選手の負傷の影響もあり最前線で起用されることもありますが、攻撃陣の中で「異色の存在」として違いを生み出しています。
 最近は、ルヴァンカップでも出場しており、京都戦で2ゴールを決めるなど、目に見える結果も出してきています。

評価

 名古屋で試合に絡む機会が少なくなっていたとは言え、札幌での活躍で実力が健在であることを見せつけました。前線の選手に負傷者が増えている中でも、得点を決めており、活躍は良い意味で「期待を裏切られた」と言えると思います。

⑤田中宏武(←立正大学)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 田中選手は、レノファ山口FCでプレーする田中渉選手を弟に持つJリーガーで、2022年の大卒ルーキーですが、2021年4月9日に加入が内定されるなど非常に期待値が高い選手です。
 主に、左サイドでスピードを活かしたプレーが得意な選手で、札幌のシステムでは左ウイングバックでの起用が多くなります。札幌の左ウイングバックと言えば、アカデミー出身の菅選手が主力として君臨しており、怪我などもないことから、まずは控えからということを想定しているでしょう。
 しかし、菅選手は23歳、田中選手も23歳と年齢も近いため、「後釜」としての獲得というよりは、レギュラー争いを繰り広げてほしいというイメージではないでしょうか。また、菅選手にオフにC大阪から完全移籍オファーが届いており、夏などでの移籍をするなど有事のためという側面もあるでしょう。

考察

 開幕当初は、リーグ戦でなかなかベンチ入りもできていませんでしたが、ルヴァンカップではコンスタントに出場機会を掴んでいました。グループステージでは、開幕から3試合連続でスタメン出場していました。
 しかし、最近は少し出番を失っており、4戦目、5戦目は途中出場で共に1分の出場のみとなっています。
 リーグ戦で起用をされるためにも、早いうちにゴールやアシストなど目に見える結果が欲しいところです。

評価

 開幕当初からルヴァンカップでの起用が継続的に行われたことは良いことで、『B』評価にしようかとも思いましたが、最近出場機会を失いつつあることなどを踏まえ『C』にしました。が、かなり『B』寄りの『C』であるとは思っています。

⑥井川空(←筑波大学)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 井川選手は、もともとコンサドーレ札幌の下部組織出身の選手で、大学サッカーの名門・筑波大学を経て加入した選手で、得意なポジションは守備的なMFです。
 U16、U17、U18での年代別日本代表にも選ばれており、育成年代から期待値の高い選手であったことが伺えます。アカデミー出身ということも獲得理由の一つではあると思いますが、守備的MFやCBで起用されている宮澤選手が32歳とベテランの域に入っていることもあり、その後釜としての獲得と見るのが妥当ではないでしょうか。

考察

 リーグ戦での出場はおろか、ベンチ入りもなくなかなかポジション争いに絡めていないというのが現状です。同じく大卒ルーキーの田中選手は2試合でベンチ入りしていますので、少し厳しい戦いが続いているといった形でしょうか。
 ルヴァンカップでは、3試合に出場していますが、いずれも本職ではないCBでの起用で、この起用方針も大先輩の宮澤選手に重なるものがあります。しかし、直近ではベンチ入り、ベンチ外となっており、序列の低下が否めません
 後半戦に向けて、ルヴァンカップでノックアウトステージに出場すれば、そこでの結果が大事になるでしょう。

評価

 井川選手は、プロ入り一年目であるということを踏まえて『C』としました。しかし、苦戦はしているようでかなり『D』と迷ったのが事実です。
 まずは、サブ組で臨むことが多いルヴァンカップで絶対的な主力になりたいでしょう。

⑦興梠慎三(←浦和レッズ)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 現在、札幌の監督を務めるペドロヴィッチ監督とは、浦和レッズ時代に共闘しており、しかも浦和での興梠慎三選手は、ユンカー選手の加入などで出場機会を大きく減らしていました。
 秋口の27節から33節までは7試合連続ベンチ外になるなど、ある種「屈辱」の年となった昨季は、リーグ戦で1得点とこれまでの実績を踏まえると大変不甲斐ない成績になってしまいました。
 札幌は、昨夏にもオファーを出していたようですが、ようやく念願かなって、ミシャ監督の愛弟子の獲得に成功しました。獲得理由とすると、昨夏にアンデルソン・ロペス選手が退団しており、代役候補として獲得したミラン・トゥティッチ選手が昨季時点であまり結果を出せていなかったこと。爆発力に期待して獲得したガブリエル選手が正直、使い物にならなかったことが挙げられます。
 絶対的エースの退団はただでさえ痛いのに、今季開幕前には、身体が大きく空中戦に強みを持つほか、前線でボールをためることができるジェイ選手が退団しており、興梠慎三選手の獲得は前線でボールをためることのできる選手という意味で合点がいくと思います。

考察

 開幕当初は、うまく戦術にフィットしておりレギュラーの座を掴みました。スタンドを沸かすような、熟練された技術に裏付けられたプレーも随所に見られましたが、最近は負傷により出場機会を失っています
 負傷は、右膝半月板の損傷という大怪我で、全治は約2~3ヶ月と言われており、夏場での復帰というところでしょうか。

評価

 開幕当初のプレーぶりであれば『A』評価が妥当であったと思います。しかし、負傷により長い間戦線離脱をしているということを考えると、少し落として『B』評価にしました。
 しかし、復帰後の活躍次第では大きく上ぶれることもありそうです。

⑧藤村怜(←モンテディオ山形)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季は、J2のモンテディオ山形へ期限付き移籍をしていました。しかし、6試合の出場とあまり試合に絡むこともできず、所属元であった札幌に復帰をしたというのが獲得理由でしょう。
 中盤から最前線まで攻撃的なポジション出ればどこでもプレーできるオールマイティな選手ではありますが、「戦力値上昇」という意味合いよりは「選手層UP」の意味合いが強く、勝負の年と言えそうです。

考察

 リーグ戦では全く、試合に絡めておらず、サブ組で臨むルヴァンカップでも1試合の出場で、出場時間換算をすると1分のみと、「期待はずれ」と言わざるを得ません。
 この状況が続くようですと、夏に下のカテゴリーに移籍をするということや、シーズン終わりに非情通告を受けるということが現実味を帯びてきています。アカデミー出身の選手だけになんとか踏ん張って欲しいですね。

評価

 評価は『D』でしょう。
 ほぼ全くといって良いほど、公式戦に絡めておらず、22歳という高卒4年目の年齢ということを考えても、ラストチャンスかもしれません。

全体評価

それでは、全選手の評価を振り返っていきましょう。

松原修平 B
西大伍  C
檀崎竜孔 C
ガブリエル・シャビエル S
田中宏武 C
井川空  C
興梠慎三 B
藤村怜  D

以上のことを踏まえた総合評価は以下のとおりです。

 今オフの補強は「可もなく不可もなく」といったところではないでしょうか。
 戦力値の上積みを図った選手獲得は一定の結果を出しており、一方で、「復帰」組や「大卒ルーキー」組が苦戦しています。しかし、特に大卒ルーキーは今後数年かけてプロの水に慣れていく可能性も考えると、『B』という評価にしました。

最後に

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