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鹿島アントラーズ 補強診断〜チーム別補強診断#2〜

こんにちは。
Jリーグも開幕してから数ヶ月が経ち、すでに10試合以上のリーグ戦が行われています。
そこで、「チーム別補強診断」シリーズでは、2022シーズン開幕に向けた各チームの補強に関して、現時点までの成績などを踏まえ評価を行っていきたいと思います。
その上で、各選手の補強診断を『S』から『D』の5段階で評価をし、最後はチーム全体の総括も行おうと考えています。

これまでのシリーズ同様、上位カテゴリーから、北から行います。

第2回となる今回は、鹿島アントラーズ編です。

なお、すべての情報は5月6日時点となるので、ご了承ください。
また、試合出場などのスタッツは、transfermarktを引用します。

補強動向

改めて、今オフの鹿島アントラーズの補強動向を振り返っていきましょう。

なお、この表は以前の記事『2022Jリーグチーム別考察#2 ~鹿島アントラーズ編~』に記載されている表になります。

試合結果

選手個人個人の試合での出場データなどをみる前に、まずはチームとしてのここまでの成績を見ていきましょう。

J1リーグ

ルヴァンカップ

個人スタッツ

それでは、ここからはオフの移籍市場で加入した選手をポジション順に(GKから)見てきましょう。

①キム・ミンテ(←北海道コンサドーレ札幌)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨年末の移籍市場に目を向けると、センターバックのレギュラーであった町田選手と犬飼選手が移籍をしたことで、鹿島アントラーズのCBは補強が急務になりました。新外国籍選手を獲得した場合には、コロナウイルスの水際対策で入国が遅くなることが想定されるため、開幕戦からということを考えると、「日本人選手の獲得」あるいは「日本でプレーしている外国籍選手の獲得」という選択肢が残っていました。
 若手の関川選手がだんだん試合に絡めるようにはなってきており、「関川+○○」という形でのCB陣を構成することを考えていたと想像できます。その上で、関川選手はまだまだ経験面では浅い選手ですので、ある程度日本で経験がある選手の即スタメン候補を獲得すべきでした。
 しかし、鹿島アントラーズのスタメン候補というのは、他のJクラブであってもスタメンレベルの選手です。つまり、他クラブのスタメン選手を獲得するためには多額の資金の投入が不可避でした。
 一方で、キム・ミンテ選手は札幌から名古屋へと昨季後半戦は期限付き移籍しており、札幌では構想外となっていたことからオフに完全移籍することが濃厚でした。鹿島は、名古屋を上回る金銭的条件(移籍金ではなく年俸)を選手に提示すれば、獲得できる可能性が高かったこともあり、キム・ミンテ選手獲得に動いたのだと思います。

考察

 「即戦力候補」として獲得されたキム・ミンテ選手は開幕当初はCBの主力として3試合連続フル出場を果たすなど期待に応え続けました。一方で、その後3試合出場機会をなくすと、リーグ戦でのスタメン出場の機会を失っています
 最近は、関川選手と本職がボランチの三竿選手がコンビを組む機会が増えており、このコンビで結果が出てきている以上、なかなかチャンスが回ってこないのが現状です。
 一方で、ルヴァンカップでは、2試合にフル出場するなど一定レベルの出場機会を得ており、「準主力級」といえる働きぶりを見せています。

評価

 評価は『C』としました。
 開幕当初は期待通りの活躍を見せており、もう少し上の評価が妥当であるとは思いましたが、最近はあまり試合に絡めていないことなどを考えると、『C』評価が妥当ではないでしょうか。
 しかし、今後天皇杯も始まる中で、さらなる出場機会を積むことで上振れする可能性は十二分にあります。

②小田逸稀(←ジェフユナイテッド千葉)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 小田選手は、完全移籍での獲得などではなく「復帰」です。
 東福岡高校から鹿島に加入した後、J2の町田ゼルビア、ジェフユナイテッド千葉で経験を積みました。昨季のJ2千葉では42試合中24試合に出場し、実戦経験を多く積めたということは事実です。
 昨夏に安西選手がポルトガルより加入したサイドバックですが、杉岡選手が今季も湘南ベルマーレでプレーするということがあり、頭数が一つふえているわけではありません。そして、今オフには主力であった永戸選手が横浜Fマリノスに移籍をしてしまったことにより、頭数がひとつ足りなくなってしまったということもあり復帰させたということではないでしょうか。
 安西選手が離脱した時などの主力候補として期待された復帰だと思います。

考察

 ポルトガルから昨夏に加入した安西選手が、良いパフォーマンスを見せておりリーグ戦ここまで全11試合に先発出場しています。序列的には、左サイドバックの2番手であるとは思いますが、なかなか出場機会をつかめていません。
 安西選手、広瀬選手といった所属している選手が両サイドでプレー可能な選手であることがあり、ルヴァンカップでもなかなか出場機会をつかめていません。
 安西選手が離脱した時などの主力候補として期待された復帰だと思いますが、このままだと、「左・広瀬、右・常本」になってしまい、いずれにせよ出場機会を掴めないままな気もします。

評価

 広瀬選手の存在もあり、「左サイドバック2番手」から「左サイドバック3番手」になってしまいました。開幕当初に期待された役割を100%遂行しているとは言い難く、『C』評価にしました。

③溝口修平(←鹿島アントラーズU18)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 溝口選手はユースから今季昇格した左サイドバックで、年代別日本代表経験が多い選手です。
 「トップチームの選手層が薄いから昇格」などというわけではなく、将来性を買っての昇格であると思います。

考察

 トップチームには代表経験のある安西選手やJ2で出場経験を積んできた小田選手が所属しており、1年目から出場機会を積むことはあまり期待されていないでしょう。そして、「常勝軍団・鹿島」である以上、ルヴァンカップは全部若手でのぞむなどということは行いにくく、なかなか出場機会を得にくい状況にはあると思います。

評価

 現状、公式戦で全くメンバーに入ることができていない状態です。鹿島の選手でいうと、佐々木選手(千葉所属)も昇格後に育成型期限付き移籍をして出場機会を積んだという例もあるため、夏などに移籍をする可能性もあるでしょう。
 ただ、現状出場機会がないのは、ある種想定内ですので『B』としました。

④仲間隼斗(←柏レイソル)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季、アカデミー時代を過ごした柏レイソルに帰還し、リーグ戦24試合に出場しましたが、後半戦に行くにつれスタメンの機会が少なくなり、シーズン中盤には13試合連続ベンチ外など、期待された活躍ができたかといえばそうではありません
 今オフの鹿島の動向を見ると、長い間鹿島で活躍した遠藤選手がチームを去っており、頭数がひとつ足りない状況でした。その後釜として獲得したと考えるのが妥当ではないでしょうか。
 ただ、遠藤選手の移籍はあくまで「主力級の移籍」ではなかったため、仲間選手も「即戦力」という意味合いよりは、「準主力」としての獲得と見るのが妥当です。

考察

 開幕からコンスタントにメンバー入りし、スタメン出場の機会は少なかったですが、交代で違いを生み出す選手として起用されました。「準主力」としてルヴァンカップでもコンスタントに出場機会を積んでいましたが、練習中に右膝を負傷してしまい、現在は負傷離脱中ですが、おそらくこの記事が出ている頃には復帰しているとおもいます。

評価

 「準主力」としての期待された役割はシーズン当初には果たせており、決して「期待はずれ」ではないと思います。負傷離脱は多少ー要素ですが、それでも負傷前はコンスタントに出番を得ていたということを考えても『B』評価ではないでしょうか。

⑤名古新太郎(←湘南ベルマーレ)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 名古選手は、昨季、同じくJ1の湘南ベルマーレに期限付き移籍をしており、今季は契約期間満了により復帰しました。
 中盤センターであればどのポジションでもプレー可能な選手ですが、シーズン終盤は左腓骨筋腱亜脱臼の故障によりチームから離脱していました。8月に受傷しましたが、保存療法で完治に至らず12月に手術を行い、手術日より全治3ヶ月というリリースが出ているので、開幕には間に合っていなかったともいます。
 「負傷中」ということもあっての復帰だとは思いますが、このままメンバー外が続くようだと、今年限りかなという印象も受けます。

考察

 前述したように、負傷からはおそらく復帰をしているとは思いますが、依然としてメンバー外が続いています。年齢的にも26歳と決して若手ではない年齢に差し掛かってきており、今季は勝負の年だとは思います。

評価

 負傷中に開幕をむかえたということもあり、『C』にするか『D』にするかは悩みましたが、『D』としました。
 開幕後数週間で負傷自体は治癒しているはずで、ルヴァンカップを含め一度もメンバー入りできていない現状は、少し「期待はずれ」と言わざるを得ません。

⑥中村亮太郎(←ヴァンフォーレ甲府)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 中村選手は、J2のヴァンフォーレ甲府で昨季までプレーしていた選手で、ボランチを本職としている選手です。
 今オフの鹿島の移籍動向を見ると、ボランチはチームの功労者であるレオ・シルバ選手と永木選手が移籍しており、頭数が2つ少なくなってしまったということもあり、後述する樋口選手とこの中村選手を獲得したと言えるでしょう。
 今季はCBでプレーする機会が多い三竿選手ですが、開幕前はボランチの絶対的レギュラーと考えられており、J1の鳥栖で主力であった樋口選手は「主力候補」での獲得であったとは思いますが、中村選手は「準主力候補」としての獲得であったと考えるのが妥当ではないでしょうか。

考察

 ここまでに、出場試合数だけ見れば約半分の試合に出場しており「準主力」としての役割を全うしているというべきかもしれませんが、最近はベンチ外となる試合も増えてきており、現在は「メンバー入りの当落線上」と考えるのが妥当でしょう。
 一方のルヴァンカップでは安定して出場機会を掴んでおり、「ボランチ4番手」というのが序列ではないでしょうか。

評価

 先述したように、「ボランチ4番手」は準主力であり「期待はずれ」などというべきではないと思います。その中で、今後はリーグ戦での出番を増やすことができれば『A』など上振れする可能性も十二分にはあると思います。

⑦樋口雄太(←サガン鳥栖)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 中村選手と獲得理由は被りますが、ボランチはチームの功労者であるレオ・シルバ選手と永木選手が移籍しており、頭数が2つ少なくなってしまったということもあり、前述した中村選手と樋口選手を獲得したと言えるでしょう。
 今季はCBでプレーする機会が多い三竿選手ですが、開幕前はボランチの絶対的レギュラーと考えられており、J1の鳥栖で主力であった樋口選手は「主力候補」での獲得であったとは思いますが、中村選手は「準主力候補」としての獲得であったと考えるのが妥当ではないでしょうか。
 鳥栖時代は、サイドやオフェンシブな位置でのプレーが多かったですが、開幕当初よりボランチで起用されることが多いです。

考察

 ここまでのリーグ戦11試合、ルヴァンカップ5試合と公式戦16試合を戦っていますが、そのうち15試合に出場しており、リーグ戦では第4節の神戸戦をのぞき全試合でフル出場と「絶対的主力」となっています。
 今季は、ボランチが本職の三竿選手がセンターバックで起用される機会が多いことから、ボランチの絶対的レギュラー、核になっています。

評価

 評価は文句なしで最高評価の『S』ではないでしょうか。
 今の鹿島に欠かせない選手になっており、夢、目標と語っていた「日本代表」に関してもカタールワールドカップ後の現実的な目標として捉えていると言っても問題ないでしょう。

⑧鈴木優磨(←シント=トロイデン)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ルヴァンカップ

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 鈴木選手は海外移籍する前にも鹿島アントラーズでプレーしていました。その後は、ベルギーのシント=トロイデンで主力として、欧州一部リーグの主力がそのまま日本に帰ってきたということです。
 まあ、一言で言えば実力は「チート級」といって過言ではないでしょう。

「ユウマ・スズキは2年半でSTVVを退団し、本人の希望で日本に帰国する。このストライカーは昨夏、シャルケへの移籍が間近に迫り、クラブ・ブルージュやアンデルレヒトとの移籍交渉を望み、チームでのプレーを拒否する姿勢を見せた。だが、結局残留した今シーズンは2ゴールしかなく、昨シーズンの姿はなくなってしまった。

 聞けば、ルーベン戦の後、チームには別れを告げていたようだ。欧州のトップリーグではないが、彼は鹿島アントラーズに戻る。当初からスズキはホームシックに悩まされ、特にコロナ禍において渡航禁止令で母国に帰れなくなった時は、大変苦労したという。STVVはその穴を埋める補強を今冬に求められるだろう」

『Het Laatste Nieuws』

 上の引用はベルギー現地紙の情報です。
 元々は、2021年夏にチームを去ろうという意志を見せていたことに加え、コロナ禍で母国に帰れないのが嫌だということも踏まえ、古巣の鹿島に移籍したということでしょう。
 役割としては、上田選手、エヴァラウド選手と強力なFW陣を構成する中で、新エースとしての活躍が求められるでしょう。

考察

 開幕戦より主力として活躍しており、得点も4得点と相棒の上田選手と共に得点を量産しています。
 少し荒っぽいところがあり、プレー面以外の面が話題になることもありますが、プレー面に限定すれば、素晴らしいプレーを見せており、期待には十分に応えられていると言えるでしょう。

評価

 「得点」という結果ももちろん大事だとは思いますが、鈴木選手がいることで相手DFが上田選手と共に重点的に警戒すべき選手が一人増えたという面を考えても、素晴らしいプレーであると言えるでしょう。
 評価は、こちらも文句なしで『S』ではないでしょうか。
 一部では森保日本代表監督との不和も噂され日本代表には久しく呼ばれていませんが、今後は代表にも呼ばれるかもしれません。

全体評価

それでは、全選手の評価を振り返っていきましょう。

キム・ミンテ C
小田逸稀 C
溝口修平 B
仲間隼斗 B
名古新太郎 D
中村亮太郎 B
樋口雄太 S
鈴木優磨 S

以上のことを踏まえた総合評価は以下のとおりです。

 今オフの補強は「可もなく不可もなく」といったところではないでしょうか。
 特徴としては、想像以上の活躍を見せている選手が複数名いる一方で、期待値以下のプレーにとどまっている選手も複数名いるということでしょう。
 しかし、仲間選手、中村選手などが今後出場機会を伸ばすことができれば総合評価も『A』や『S』になりそうです。

最後に

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