木の経年変化
木の経年変化はよく味わい深く美しいと言われますが本当でしょうか?
2つのチューリップの違いわかりますか?
写真右のものが新しいもので、左側のものが3年半くらい前に製作したプロトタイプ。
これが木の経年変化で、こうして新しいものと並べるとその差は歴然!
どうですかね?
フレッシュな出来立ての色味と、経年変化で色味が変わっていった姿。どちらが美しいと感じられるでしょう?
私は昔経年変化って言われても、ぶっちゃけ美しいと感じたことがなかったんです。
というのも、私は製作者なので木の加工したばかりの姿を見ることが出来ますし、出来上がった時の木の色味が1番綺麗だなーと感じてました。経年変化はなんか枯れていく感じがして嫌だったんです。だから昔は「木の経年変化って味わい出て良いよね!」みたいな話を見かけると、「そうか?」って思ってました。
でも一方で私は古いもの好きで、ビンテージギターも好きですし、枯れたものといえばドライフラワーも好きです。じゃあなんで、木の経年変化の枯れた感じだけマイナスに見えてしまったのか?
それは・・
正直分かりませんw
もしかしたら、先程書いていた製作者としての視点というものが影響していたのかもしれません。自分が作ったものだから、古くなっていってしまうのが寂しかったのか、自分のものという視点で見ることで、枯れていく姿が劣化のように見えてしまっていたのかもしれません。
今も好きになれなかった理由ははっきりとわかりません。でも自分が改めて「私は古いもの好きじゃないか!ドライフラワーみたいな枯れたものも好きじゃないか!」と意識した時に、枯れることや、古くなることを嫌がっている自分に驚き、「なんてこった!」と思いました。
枯れることは醜いことじゃない。誰かの手にわたって自然とついてきた傷や、使った痕跡は汚いものじゃない。それが私の価値観です。そういう自分に改めて気づいた時に、木の経年変化、つまり時間が経ち変化していった色味に味わいを感じるようになりました。
でも、「美しい」かどうかについては今もわかりません。経年変化した色味は素敵だと思いますが、美しいかと言われると、そこには人それぞれの価値観があるように感じます。
だから、冒頭の
「木の経年変化は美しいか?」
についての答えは
「“私にとって”は美しい」です。
経年変化した色味は素敵です。味わいがあって。そしてそれを私は美しいとも感じます。
一方で、木の経年変化は、本質的には光が原因ですから、考え方によっては時間とは無関係なんです。だから“時間”というものを特別なものとして考え過ぎると、経年変化を崇高なもののように感じてしまうかもしれません。だからあくまで一つの変化として私は好意的に見ている。そんな感じ。
そして、木にはそれぞれの経年変化の仕方があります。濃くなっていくものもあれば、薄くなっていくものもあります。樹種によって木をどのように乾燥させるか?という手法(天然乾燥や人工乾燥)によっても変化の色味が変わるとも言われています。
なので、一旦経年変化というものを特別なものとして捉えるのではなく、一つの変化として自分自身の素直な感覚で評価してみてほしいと思います。
改めて、冒頭の写真どっちが好きでしょう?
どっちも好きですかね?w
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