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美大生 みじかいの詰め合わせ

美大生

 人生のスライドショーにきみが存在しなかったみたいにわたしが笑っていること、たしかに違和があった。きみは私の人生から突然姿を消したことがだれの目から見ても不自然ではなく正解で間違いじゃなかった。だからとても身体に力が入って抜けるような感覚がわたしを襲うのだ、抱えきれない力みがわたしのこころを圧迫するのだ。

 人生のスケッチブックにきみの造形を描き写した跡がたしかに残ったけど輪郭もないデッサンは消しゴムで消せるようで上手く消せない汚いぐしゃぐしゃで破れた紙。

 もっと広い世界を見てね、わたしの呪いから逃げてそうしてもっと世界の愛を、わたし以上の幸せを手に入れてください。これは強がりだよ、笑えるね、気味が悪いくらいに。


幽霊

 愛してる、ねぇ、この世で一番愛していたし、今も愛しているよ。
 砂山のトンネルを開通させるためにふたりで掘り始めた穴だけどわたしの方が掘りすぎて崩壊しちゃったね。鉄製のスコップをぶん投げてあなたはお家に帰ったからまた明日。わたしに明日はないけど。

あの花

 ひとより美しく咲いた花はひとを惹きつけ、毒を隠しもってたくさんのひとに愛されるか/毒をさらけだして敬遠されるかその毒すらも群衆に面白可笑しく都合よく縋られる青写真すらある。きっとそういうやつらはどうやって死ぬのかなんてどうだっていいし自分の愛したい都合のよい側面しか愛さないガラス越しの他人だから目なんてあわせなくていいよ。
 それでも毒を理解して、毒さえ愛し、毒に救われるそれはきっとどこかにいる一番星。

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