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最低賃金が上がり、仕事・働き口が無くなる、という話 −従来型ビジネスの引き際−



この投稿には明確な主張や結論はありません。あまり期待せずに読み進めてください。


「人件費を払っていると割に合わないから、自分で店を回す」


今日、アルバイトの稼働を減らす判断をされた、飲食店経営者の方と話をした。

年々最低賃金が上がっていることで、手残り(利益)が少なくなっているから、いよいよ決断されたとのことだった。

今は、平日の営業日のうち2日、店主がワンオペで回している。年内には平日の全日をワンオペに切り替える予定とのことだった。

この飲食店は、席数はあまり多くはない。平日であれば多少混雑してもワンオペで回すことは可能らしい。
さすがに土日祝のワンオペは難しいため、土日祝のみアルバイトを勤務させるが、その人数も減らす判断をされた。

「さすがにしんどいんじゃないですか?体力勝負になりますよ」
というと、
「だから、この店を先々どうするか考え始めた。もう少し考えを進めたら話を聞いてほしい。」
という言葉が出てきた。
これにはさすがに驚いた。


最低賃金を巡った議論・意見の中では、
「最低賃金も払えない企業は潰れても仕方がない」
「給料が上がらない会社は潰れていい」
という声も上がる。

そういった意見も理解できる。
持続性が無いビジネスだと言われて、的確に返す言葉がない。
ある意味、今が引き際なのかもしれない。


ただ、地域のコミュニティの場となっているような喫茶店やレストランに対して、そのままの言葉はとてもじゃないが伝えられない。
地域コミュニティ型ビジネスの多くは、消費者や従業員、地域の期待に応え続けて、今のビジネスのあり様になっているのだと思う。
そのような事業者に対して、どのように助言すべきか、向き合って、自分ごとのように考えたいと思う。


また、雇われる側である労働者にも、雇う側の目線に立って、少しでも考えてみて欲しい。立場が違えども、同じビジネス上に身を置くのだから、交わる点はあるに違いない。


最低賃金は、ただ上がるだけではなく、とても複雑で、複雑なことだ。




変化は最低賃金だけでなく…


今の日本では、どのようなことが起きているか。

  • 人口減少・流出

  • 消費低迷

  • 原材料・エネルギー費の高騰

  • 円安

  • 物価高

  • 最低賃金上昇、労務費の増加

  • 採用コストの増加

ざっと、上記のようなことが起きている。
抽出した項目は、中小企業支援に身を置いている目線に寄っているかもしれない。

このような変化に対して、対応策を取らなくてはならない。


経営側:一般的な対応策


冒頭に挙げた、アルバイトの稼働を減らした飲食店は、いくらか対策を取った上で、決断をされている。
ただ漫然と経営をしていたのではない。

一般的には、どのような対応策が考えられるか。

  • 価格転嫁

  • 仕入・調達の見直し

  • 省エネ

  • 海外販路の開拓

  • インバウンド向け販路の開拓

  • 省力化

  • ビジネスの変革

ざっと、上記のような対応が考えられる。いわゆる抽象的な対応方針のようなもので、具体的には各ビジネスに合わせて検討が必要である。


正直、王手をかけられている。


「価格転嫁をすれば…」

「そんなもん、とっくにやっとるわ!!!」


そう、
すでに対策している。
商品・サービス価格の相場も上がってきており、かつてない値上げ許される感があった。
鳥貴族が370円なんだから、そういうことだ。

価格転嫁については、程度感の問題はある。値上げ幅が適切かどうか、という議論も必要だ。


仕入・調達コストの見直し

についてはどうだろうか。

あくまで、町の飲食店や菓子店でイメージして欲しい。

カフェの場合はどうか。
コーヒー豆・カカオ豆の価格高騰に、イチ事業者が対策できるだろうか。
今日より明日の方が高いと考え、前もって仕入を多くする程度が限度ではないか。

菓子店の場合はどうか。
やはりカカオ豆の価格高騰に、イチ事業者が対策できるだろうか。
和菓子でも同様、多くの材料が満遍なく価格が上がる中で、どのような対策ができるか。

パン屋はどうか。
イタリアンはどうか。
定食屋はどうか。

個別具体的にみても、影響のない・儲かりそうな商売は、地域コミュニティ型のビジネスにおいて存在しない。
そう言っても過言ではない。

……何かありますか??


省エネはやればよい。

それまで対策を疎かにしていればいるほど、効果は高い。
ただ、ここまで例示している飲食店などの光熱費の比率は、一桁%に留まることが一般的で、コスト低減のインパクトは劇的ではない。

海外販路・インバウンド対策もやればよい。

もし、海外関連のウエイトが大きくなれば、それはもう別のビジネスとも言える。
地域コミュニティ型のビジネスではない。


【省力化】

省力化とは、一般的に、

作業の効率化や負担軽減を目的とした取り組みで、人が行う工程の無駄を省き、作業量や業務量を削減すること

という意味で語られる。

一人で二役・三役もできる
人じゃなくて設備やロボットが代わりに作業をする

というようなことだ。

今は2024年。昨今の中小企業支援においては、
人手不足への対策、という文脈で使用される言葉だ。
「一人で2人分できるなら、一人いらないよね」ということではない。
従来2人でやっていた作業に1人しかおらず、その改善のための設備投資、というニュアンスだ。

※中小企業省力化投資補助金においては、労働生産性の向上目標・賃上げの目標によって、結果的に人員削減につながることを防止している。

また、
手が空いたなら、他の利益を生む業務をしよう、ということでもある。

どうすれば手が空くか
利益を生みやすい業務は何か

を考え取り組むことが、省力化だ。

しかし、コスト高の影響が大きくなりすぎると、健全な意味での省力化に取り組み続けられない事業者も出てくる。

冒頭の例示は、その一例だ。


【ビジネスの変革】


上手くいかないのであれば、ビジネスのあり様を変えてしまおう、ということ。
手は尽くしたが、もう引き際だと判断すること。

順を追って考えていくと、
従来型のビジネスを変えるしかないのではないか、と思う。

だから、
「最低賃金も払えない企業は潰れても仕方がない」
「給料が上がらない会社は潰れていい」
という言葉は的を射ている。

正しくは、
「世の中の変化に対応できない企業は潰れても仕方がない」
か。


はぁ~~

変わる体力がない企業もあるからなぁ…

潰れるのにも金と労力がいるからなぁ…


あなたの職場は、変化に対応しているか


そんな視点で考えてみて欲しい、と強くは言わないけれども、
「自分の働いている会社が~」「バイトしてる店が~」とか、
これからいろいろ起こると思う。

新陳代謝なんだろうけれども、
変化の過程はとても複雑で大変だと思う。


どう変わっていくのか、を考えるときに、最近読んだ本を思い出した。

コーヒーチェーンの話が出てくる。
DXを追求した他店にスタバが追いやられて、でもスタバが盛り返して、という話。


この本を呼んだときにも、
「中国には町の喫茶店とか、そういうのはないのか?」と思った気がする。

きっとあるんだろうけれども。どうなんだろうか。

日本だって、スタバとかゴンチャとかだけで、お茶したりバイトしたりするんか?ん?


引き続き、考え続けよう


あーだこーだ言っても、それぞれ決断して動くしかない。

ケースバイケースで、一緒になって考えて行きたいと思う。


引き際、リセットもやむなし

人気店、続いている店の秘訣についても学ぶ


ということが大事だと改めて実感した一日でございました。

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