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4ヶ月の抗がん剤治療。日々を支えてくれた優しいエンタメコンテンツ20選

9月から抗がん剤治療のため、仕事を休み入退院を繰り返しながらの生活を続けている。吐き気や免疫低下によるさまざまな副作用や、更に大きな副作用、未来への不安などと闘いながらの日々。
そんな日々を支えてくれたのが、エンタメだった。

人生が嫌になってしまうくらいなら


治療が始まってから初めの方は特に辛かった。副作用、窓が開かず風のない部屋、聞こえてくる患者さんたちのつらそうな声、薬の匂い。そんな環境でぐるぐると考え続けてしまう、自分の体がどうなってしまうのか。治療の副作用はこれから重くなっていくのか。いつ治療が終わるのか、終わったら復職はいつ出来るのか。

入院する前には、この時間を有効活用しようと色々準備していたが実際治療が始まると全然気持ちが向かず、何もせずに悶々と過ごす時間が多かった。1ヶ月目が終わった頃には気持ちが随分塞いでいて、この過ごし方だとこれからの日々を乗り越えることが出来ない。出来たとしても、終わった頃には人生を楽しむ気力がしばらく戻らないかもしれない。そう思い、日々の目標を「時間を有効活用すること」から、ただ「この日々を乗り越えること」に変えた。

もちろん時間を有効活用出来る人はしたらいいと思うし、そうすることで癒される人もいるのだと思う。実際病気になっていたりすると、生きている時間の大切さを改めて感じることも多い。ただ時間を有効活用しなければいけないのに、出来ていないと調子が悪い中落ち込み続けるのはつらい。

方向転換をしてからは色んな方法を試し、買ったタブレットでドラマや映画を観て、難しい時はラジオを聞くという生活をはじめた。そうしたら日々をつらく、果てしなく感じる時間が大きく減った。

よく時間を無駄にしてしまった時に「時間を溶かす。」という表現をするが、辛い気持ちが止まらなくて、人生が嫌になってしまうくらいなら、時間を溶かしてしまったほうがずっと良いと僕は思う。実感として身体が元気になれば、心も自然と上向いてくることも多いから、今必ずやらなくてはいけないこと以外は、その時の自分に任せれば良いのではないかと思った。渦中にいると未来の自分に期待するのは難しいが、実際僕は今しばらく治療をお休みしていて体調もよく、メキメキと活力が湧いて勉強や色んなことを出来ている。


優しいエンタメ

治療中など、繊細な状況だといつもは気にならないことが気になったり、辛く感じたりと観れるエンタメがかなり限られる。色々と実際に観てみた結果、自分にとって以下のようなエンタメが見やすいことが分かった。

・人生の暗い面よりも良い面に目が向く。
・みんな頑張っているのに自分は…のような卑下が生まれにくい。
・精神的、身体的に暴力的な描写、大きな音が少ない。
・登場人物に優しい人が多い。
・とにかく面白い。時間を忘れる。
・食の魅力的なシーンが出てくる。

少し疲れている時、ほっとしたいとき、ただ時間を忘れたい時。そんな時におすすめな作品を20つ紹介したいと思います。

サブスク(映画、ドラマ、アニメ)

すべてPrime video、もしくはNetflixにて見ることが出来る作品です。

「僕の姉ちゃん」

益田ミリさん原作のドラマ。原作が好きだったので、ドキドキしながら見たが、期待以上に素晴らしい作品になっていた。日々、色んなことに気持ちを振り回されたりしながらも、チャーミングに、機嫌よく生きていく姿に元気が出る。ファッションもインテリアも音楽もよく、2人が美味しそうにお酒を飲みながら話すシーンも印象的で、なんとも幸福感に溢れた作品。また姉ちゃんはもちろん、素直で優しい弟がとてもいいなあと思い、自分も素直でありたいと思いました。

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

Netflixでおすすめの作品はありますか?と聞いたら多くの方がおすすめしてくださった作品。とにかく映像が美しく癒される。優しい登場人物が多い。
辛い過去をもっていたりと色んな状況の登場人物が登場する感動的な作品なので、人によっては見ていてつらくなるかもしれません。僕は入院中一番副作用がつらかった時期に観て活力をもらうことが出来ました。映画も良かったです。

「パンとスープとねこ日和」

映画「かもめ食堂」と同じチームで作られたドラマ。間違いないキャスト。久々に見返したら、前には気づかなかった名言もあって、心に優しいしみじみといいドラマだった。

「リトル・フォレスト」

好きな映像は?と聞かれたら、「リトル・フォレストの料理シーン」と答えるほどに好きな作品。もう何回も通しで見ている。映像が美しい。そして料理シーンがとにかく魅力的。ロケーション、映像の色、音楽、つくられる料理、橋本愛さんの声。すべてが相まって素晴らしい映像になっている。入院中はごはんを美味しく食べれないのが辛いが、観ていると退院したら美味しい料理をつくって食べるんだ!と活力が湧いた。
孤独のグルメや、webドラマひとりごとエプロンなど、主人公の心の声が中心になっている作品って好きなんだよな。

「東のエデン」

おすすめしてもらった作品。とてもワクワクした作品!日本の作品だが、海外ドラマのようなお洒落さとスケールの大きさがある。浮世離れしているので、観ていて辛くなるようなこともなく、夢中になって観ることが出来た。

東のエデン Netflix

「水曜どうでしょうClassic ユーコン160キロ~地獄の6日間~」

早く外に出たい。。という気持ちを紛らわせてくれた作品。最初はクセのある感じに苦手感があったが、段々とツボにハマっていった。壮大な景色と、ホームビデオのような温かさに癒されて、ずっと観ていられる。原付ベトナム縦断1800キロも良かったです。

水曜どうでしょう Netflix

「孤独のグルメ」

入院の後半になると副作用で病院食を食べるのが辛くなってくる。僕の場合は食事制限がなく、病院内のコンビニで今口に出来そうなものを買って食べることを許可されていたが、何も食べたいものが浮かばないし、コンビニに行くのも面倒だと食事をとらないことも多かった。そんな中、ふと孤独のグルメを見たら、じわじわと食欲が湧くことに気づき、食事の時間の前には孤独のグルメを見て食欲を湧かせて、コンビニに行ってごはんを食べるというのがルーティンになった。何ともいえない魅力がある作品。

「映像研には手を出すな!」

ドラマも良かったけどアニメ版が好きです。女子高生がアニメをつくる作品。妄想の世界が広がり、現実になっていく感じがとても良い。いわゆる女子高生が主人公の作品とは全く異なる、静かな熱さと高揚感のある作品でおすすめです。

「ゆるキャン△」

とにかく優しい世界。気のいい優しい人しか出てこない。どこも実際にある場所が舞台で、自然の描写も美しく、キャンプと旅がしたくなる。

「ワンピース」

しばらく離れていたワンピース。1000話になったということで、ワノ国編を観てみたらとんでもない作画の綺麗さと、相変わらずの作品としての面白さにハマってしまった。話数も多いので、ハマることが出来ればたくさんつらい時間を溶かしてもらえます。

「王様ランキング」

話題のアニメ。キャラクターデザインがかわいい。ちょっとダークな部分もありますが、優しい物語です。とにかく面白いので、あっという間に時間が過ぎます。こちらは今放送されているので、毎週の放送を楽しみに出来るのも嬉しいポイントです。


Tver

ラジオもテレビ番組も、内容はもちろんだけど、とにかく人が魅力的であれば観ていたくなる。

「バナナマンのせっかくグルメ/バナナマンの早起きせっかくグルメ」

自分はごはんが食べれない割に、人が美味しそうなものを食べている描写をとにかく見たくなる。バナナマンの2人のことはとても好きなこともあって、2人が美味しいものを食べているだけで何だか満たされた気分になれました。


「あちこちオードリー」

若林の人への純粋な興味から生まれる会話で、人が弱さやこだわりを話すのが面白い。なによりもうすっかりオードリーのファンなので、オードリーの2人が仲良い人や尊敬する人と楽しそうに話している姿を見れるのが嬉しい。芸能人をここまで好きになることは無かったので、他の番組でも2人が出てるだけでちょっと楽しい気分になれて、推しがいると生活に張りが出るというのは本当だったんだ…と実感できました。

「家事ヤロウ!!!」

メインキャストが全員面白く、人として好きで見ていて安心する。病院の非日常の空間の中、料理や生活の情報を知れるのはなんだか心がやすらぐ。


ラジオ

入院中、療養中と一番相性の良いエンタメがラジオだと思う。体調が悪い時は起きて液晶を見るのも難しいが、ラジオならイヤホンをしてボタンを押せば、どんな体勢でも楽しめる。
ラジオの中でも僕は、芸人の深夜ラジオにとても救われた。

周りの音が気になって眠れない夜。他の患者さんの辛そうな声や、治療に関係する器具の音を聞いていてつらくなってしまったとき。そのラジオから流れる好きな人たちの面白い話にどれだけ辛い時間を乗り越えさせてもらったか。

「オードリーのオールナイトニッポン」

深夜ラジオにハマったきっかけとなった長寿ラジオ。魅力は筆舌し難いが、とにかく2人がそれぞれに魅力的な人であることが大きい。そして12年培ってきた、日々の気づきや違和感、面白い出来事を言葉にする力の強さがある。このラジオからオードリーにハマり、若林のエッセイや山ちゃんとのユニット「たりないふたり」のライブなどに大きく精神的な影響を受けた。最近のスペシャルウィークで、昔一緒に芸人をやっていたモンキーチャックが辞めた後どのように今の仕事についたかなどを話した会も、とてもエネルギーをもらったな。

出会えて良かったラジオ。


「マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0(zero)」

深夜ラジオにハマってから放送が始まったので聞いてみたらハマった番組。テレビでは気づけなかった2人の人としての魅力に惹かれてしまった。まず、野田クリスタルはとてもフラットでピュアな感覚を持っていて好感しかないし、村上の話の聞き方、膨らませ方が面白く心地よい。あとリスナーとの掛け合いがとても面白い。どの番組を聞いてても思うけど、深夜ラジオリスナーさんって本当にすごいよな…いつも想像つかない角度から面白いコメントが届く。関係ないけど、去年のキングオブコントのネタも好きだった。


「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(zero)」

「あちこちオードリー」「ゴットタン」などを手がけるフリーランスのテレビプロデューサーの番組。とにかくエンタメが大好きで、映画、ラジオ、お笑い、演劇、さまざまな分野のトークを聞くことが出来る。お笑い番組を手掛けるプロデューサーなだけあって企画もトークも面白く、ゲストが来た時の話の聞き方の心地よさがすごい。仕事の話も多く、笑えるだけでなく大好きな分野で生き生きと働く大人としての話にエネルギーをもらえる番組。


「ハライチのターン」

深夜ラジオといったらオードリーのオールナイトニッポンかハライチのターンというほど人気な1時間番組。ずっと面白く、小気味が良いテンポで進むので、いつもエンディングが来て「もう1時間経ったのか!」と驚くほど。深夜ラジオ特有の内輪ノリや、ある種の暗さみたいなのがなく、とても気軽に聞くことが出来るので多くの人にお勧めできる番組。


「アルコ&ピース D.C.GARAGE」

段々と癖になってくる番組。最初は何週かに1回ペースで聞いていたが、段々と2人の他の多くの芸人とは異なる独特の空気にハマっていった。なんだか安心感のあるラジオ。


「チャポンと行こう!」

こちらは深夜ラジオではないが、とてもお勧めの番組。北欧、暮らしの道具店で働く佐藤店長と、社員のよしべさんのインターネットラジオ。リスナーからのメールを中心に、2人の切実な暮らしや生きていく中で気づいたこと、考えていることなどを話をする短い番組。
悩みがとにかく、共感出来るものが多いので聞いていて面白い。そしてフラットで真面目で、チャーミングなお二人の感覚がとても好きで、いつも新しい気づきをもらったり、こんな素敵な大人になりたいなあと元気をもらえる。入院中聞きながら、退院したらこんなことを大事にしていきたいな、なんてことをポジティブに考えることが出来て良かった。


本当に多くのエンタメに、辛い時間を乗り越えさせてもらいました。番組、作品に関わった方すべてに感謝の想いと尊敬の気持ちを伝えたいです。
僕もみなさんのように、誰かの力に、日々の糧になれるような仕事を少しでもしたいなと思います。


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