晴る
冷たくてやわらかい肌触り
昨日の色も足音も消えて
白く白く淡い景色が
静かに街に忍び込んでいた
鼻からにおいもない
眼から厚みも見えない
これから凛としたものに
出会う前のひとときのように
揺れることを
忘れずにいた木の枝が
小さな呼吸をしていた白みし頃
水の中にからだを預けたように
じわじわと湿る髪や手が
行くも戻るも漂うように
流れては開いてゆく
だからきょうはきっと冬日和
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真白に包まれた街並み、家並み、木々。
今朝はこちら、濃霧に覆われました。
墨絵のような景色にほおぉとなりました。
霧が晴れると冴えゝとした晴天が広がりました。
少しそわそわし始めたこゝろ。
わたしにできる小さなことは
一番大きなことになるかもしれないな、
晴るるこゝろが見えた気がしました。
濃ゆく深い霧の朝に。
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