外孫、内孫⑥

祖父の最期の時に間に合わなかった従兄弟が、泣いていた。それを見て、3歳にも満たないはとこが「ごめんねごめんね」と謝っていた。
そのあとどうしたかなんて全く思い出せないのだけれど、お葬式が終えた頃私は両親に嘘をついた。

「今日夢におじいちゃんが出てきて、『みんなよくやってくれた』って褒めていたんだ」って。
それは瞬く間に親戚に広がった。
我ながらいい嘘だったと思う。そうして、また嘘を重ねた。「そんなこと言ったっけ?」と。
私は夢の話をしたのを忘れたという嘘だった。

初めて死に直面した私は小学生になる前で「どうして私の晴れ舞台を見てくれないのだろう」と思った。そして、その言葉は口から出てしまった。1番喜んでくれたであろう人が、私の晴れ舞台を待たずしていなくなることがあるだろうか。

祖父が他界し、ようやく落ち着きを取り始めた頃、祖母はだんだん身の回りのことができなくなった。

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