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たわむれ

僕はどうして人間なんだろうと考えたことがあるか。
世界はどうして透明なんだろうと考えたことが。
或いは空の色を移したバターの味だとか、それらがトーストの上で溶けていく速度について。
愚かな君と僕の300日後については後で話そう。あっという間の50日を突破して、残りの15日は誰かにあげる計画でもいいな。

夕焼けの燃える世界の意味は。月がわざわざ満ち欠けをして、星がその遺影を夜に残し続けていく意味は。

考えたことがあるか。考えたことがあるか?
何者でもない誰もが朝を迎え夜に眠る意味
人を愛するということ
男と女、虚しさと風穴のどちらが深いのか。遠いのか。やさしいのか。痛いのか。

君は知ってるか。
僕の呼吸は君によってのみ確かに停止できるのだということを。

さぁ早く、ここから助け出して。
なんて、女々しいことは言わないので安心してください。僕が君を守ります。この地球から、地球外生命体から。嘘だっていいんだ。いいんですそんなこと。だから、とにかく、とりあえず生きて。何の意味も無い世界でも、意味の無い自分でも、誰かの特別にもみんなの消費物にもなれなかったとしても。生きて。生きて生きて生きて、いつかその先に死にきってください。僕は君が好きだよ。ひとりぼっちで呼吸を落としてる君。助ける余裕もないのに手を差し伸べる君。無自覚で無責任な最低な君。
君の小さな白い手が僕を殺して、花火の真ん中みたいにぐずぐずに散っていくことを夢に見ている。

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