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『学校では教えてくれない 自分を休ませる方法』 〜自分を取り戻すためにできること

こんにちは、ことろです。
今回は『学校では教えてくれない 自分を休ませる方法』という本を紹介したいと思います。

『学校では教えてくれない 自分を休ませる方法』は、精神科医の井上祐紀さんが書かれている一般書です。
この本では学校に通う児童や生徒に向けて、心やからだに不調が現れたときにどうやって自分を休ませたらいいのか、向き合い方をレクチャーしてくれます。
2021年初版なので、コロナ禍での不安定な時期にどう過ごしたらいいのかということも含まれています。
チャプター1~5、番外編で構成されており、「休む」ってなんだろう?、お悩み解決/自分の心と体、お悩み解決/人とのかかわり、お悩み解決/上手な休み方、実践ワーク/休むための第一歩、番外編/大人たちへ伝えたい、となっています。


「休む」とは休息をとってリフレッシュすること。誰にとっても絶対に必要なことであり、自分を休ませるために「学校に行かない」という選択をすることもあります。そのことをこの本では「不登校」と呼ぶのではなく、「自主休校」と呼びたいと言っています。

学校は「病気やけがをしたとき以外は休んではいけない」というイメージがあります。
しかし、安全や健康がおびやかされている場合は、すぐにでも自分を休ませたほうがいいと著者は考えます。
「休むこと」には、自分を苦しめるものから距離をおいて「自分を守る」という大切な意味があります。
「安全」とは、体と心の両方が守られ、安心していられる状態のこと。
「健康」とは、体にも心にも余計な負担がかからず、元気に活動できる状態のこと。

「自分を休ませること」と「学校を休むこと」は、イコールではありません。
ストレスがかかりすぎていない状態なら、学校に通いながらでも体と心を休ませることができます。しかし、学校生活以外にもストレスの原因がある場合は、学校を休んでも全然休めていないということがあるのです。
そんなときは段階を経て、できることを増やしていきます。はじめから毎日学校へ行くことを目標にするのは無茶です。
絶対にできそうにないことは目標として高すぎ、確実にできることは目標として低すぎます。今の自分にあった「やりたいこと」を決め、それが完全にできるようになったら次のステップへ行きましょう。


つらさを感じたときに試してみてほしいのが、「自分を助ける」ために役立つ3つのステップ。「整理する→つながる→対処する」です。
まず「整理する」目的は、自分に何が起きているのかを知ることです。そのうえでどこにつながり、どんな対処をすればよいのかを考えていくことになります。
つらさや苦しさを感じていても、その正体がわからないこともあります。そんなときは「ストレスを感じる場面」と「つらさレベル」を表にしてみます。そして、つらさレベルが高かったものから整理をはじめていきましょう。

自分が何をつらいと思っているのかわかったら、次はそれを整理していきます。整理の仕方の基本は、「起こった」→「感じた」→「どうなった」に当てはめてみること。このとき「起こった」に当てはめるのは実際に起こったことだけ。自分の気持ちや考えとは区別していきます。こんな出来事があると自分はつらくなるんだなと気づくことが大事です。
整理する作業では、向き合うことがつらくなるかもしれません。そんなときは無理をせず、いったん時間をおいてまた気が向いたら再チャレンジするようにしてください。

つらさのきっかけとなる出来事がわかったら、次は「感じた」に移ります。この段階では、「起こった」ことに対して自分がどう感じたか?ということに目を向けていきます。
このときに注意したいのが、感じたこと(感情)と考えたこと(思考)をきちんと区別することです。
この段階で大切なのは、素直な感情をしっかり見つめること。そして、自分の本当の気持ちに気づき、向き合えるようになることです。曖昧な言い方や自分にしかわからないような表現でも大丈夫です。言葉にしにくければ、記号でも絵でも、グシャグシャの線でもいい。大切なのは、自分の感じたことをそのまま書いておくことです。
「整理する」作業を書きとめておくのは、後から自分で見直すことができるようにするためです。だれかに見せるものではないので、自分の気持ちを素直に吐き出してみましょう。

「どうなった」の段階では、その感情によって「以前と変わってしまったこと」を見つけていきます。
まず「起こった」で挙げた出来事より前の生活を思い出してみましょう。それから「今」を見直してみてください。以前と今で違っていることはありませんか?
「どうなった」の内容は、行動でも感情でもかまいません。ポイントは「自分のこと」だけを挙げることです。他人や周りの状況などの変化については、考える必要はありません。大切なのは、つらい出来事によって、あなた自身が「どうなった」かに気づくことなんです。


つらさや苦しさを感じたときは、「自分でなんとかしなければ」とがんばりすぎないように注意しましょう。
自分を悩ませていることに対処し、上手に自分を休ませるためには、だれかと「つながる(=相談する)」ことが必要です。
人とつながる目的は、おもにふたつあります。ひとつめが、あなたの気持ちを受け止めてもらうこと。何があったのかを理解した上で共感してもらえると、心は少し休まります。ふたつめが、「窓口」になってもらうこと。悩みごとの中には大人の手を借りなければ解決が難しいものもあります。そんなとき、あなたを助けるために必要なものや人と、あなたをつなげる役割を果たしてもらうのです。

このふたつの条件を満たす人を、著者は「窓口となる相談者」と呼んでいます。「窓口となる相談者」には、あなたの信頼できる人を選びましょう。理想的なのは、身近な大人です。親はもちろん、学校の先生やスクールカウンセラー、習い事や趣味の活動など学校以外の場で関わりのある大人などが候補として考えられます。どうしても大人の相談相手が見つからない場合は、友達の中から探してみましょう。
また「窓口となる相談者」は、リアルな知り合いであることも大切。ネットの友達などは避けたほうが安全だと思います。どうしても良い相手が見つからない場合は、専用の相談窓口を利用して専門家に相談すると良いでしょう。

「窓口となる相談者」には、安全な相談者と距離を置くべき相談者がいます。
つながる相手を選ぶときの第一条件は、「あなたに害を及ぼさない」こと。それを見極めるためのポイントは、①結論を押しつけない、②あなたの気持ちを否定しない、③自分よりあなたに多く話させてくれる、の3つです。この全てを満たす人が「安全な相談者」です。反対に、どれかひとつでも欠ける場合は、距離を置くべき人と考えましょう。


最後に「対処する」ですが、つらいことで頭がいっぱいになっていると、毎日嫌なことしかないような気持ちになりがちです。でも、ちょっとしたことに目を向けてみると、「いやじゃないとき」もあるものです。たとえばおいしいものを食べたときや好きな音楽を聴いたとき、最高!とまでは言えなくても「まあまあ悪くない」気分になっていませんか?
実はその状態こそ、「もともとの自分」なんです。
今のあなたが「もともとの自分」と違っているように見えても、「もともとの自分」はいなくなったわけではありません。見えづらくなっているだけなんです。
「対処する」段階のねらいは、今の自分を「もともとの自分」に近づけていくことです。「もともとの自分」を思い出せたら、今の自分の気持ちや行動に影響を与えている嫌な気分やつらい考えを「観察」してみてください。観察しようとするときに一歩引いて見ることで、つらさの渦の外に出られることもあります。

そのほかにもたくさん書かれていますが、ここでは割愛。ぜひ実際の本を読んでみてほしいと思います。
「もともとの自分」を思い出す方法、リラックスするために役立つこと、ネガティブな思考に対抗するには、などなど「対処する」方法がいくつか書かれています。


チャプター2〜4では、具体的な出来事を取り上げて「起こった」→「感じた」→「どうなった」のお手本を書き、そのことに対して解説をしてくれています。
たとえば、私が気になったのは「眠れない&寝ているのに眠い」「食欲がない&食べるのがやめられない」「ゲームがやめられない」「自分の外見が気になる」「目標としていた行事がなくなった」「親と一緒にいるとイライラする」「休んでいることをどう思われるか気になる」「親から勉強や手伝いをしなさいと言われるのがいや」などなど……
それぞれに対して、どうしてそうなってしまうのか、何が起きてるのか、どうすればいいのかなど丁寧に説明してくれます。ここから読んでみるのもアリかもしれません。

チャプター5の実践ワークでは、「今ココ呼吸法」「ふたりの自分の意見交換」「大人の自分との会話」「自分を守るキャラバトル」「よいことノート」の5つが取り上げられています。応用なども書かれてあり、実践しやすいものばかりです。

番外編の「大人たちへ伝えたい」では、大人が子供に対して「3つの期待」をしてしまっていることを指摘します。
ひとつめが、休まずがんばること。
ふたつめが、文句を言わずにがんばること。
みっつめが、ひとりでがんばること。
これ、子どもだけでなく大人に対してもありませんか?
大人でさえ心やからだの不調に気づかなかったり、気づいたとしても会社を休めなかったり、適切な対応ができなかったりします。実践ワークなどを利用して自分と向き合うことも、苦手な人がいるでしょう。
子どもの場合でも、休むのは難しいのです。
大人が気がついて適切に対処してあげられれば良いのですが、そううまくいかないのが子育てです。
大人がどんなに反対しても、最終的には子ども本人が判断し、休まないといけません。「休むための主導権」を子どもの手に委ねることが必要なのではないか?と著者は言います。
しかし、私自身も経験したことがあるのですが、休むことと怠けることの見極めが難しく、大人が管理したくなる気持ちもわからなくはありません。
ですが、やはり子どもと真剣に向き合い、子どもも真っ直ぐに心を開いてくれるとき本当に休めることができると思うので、子どもを管理しようとはせず観察して寄り添うことが大事だと思います。


いかがでしたでしょうか?
この本は、子どもや親に対して書かれた本ですが、大人が読んでも参考になることが多いと思います。
もしくは、子どもの頃のことを思い出して読んでみるのもいいかもしれません。
周りの子どもが何か悩んでいるようだったら、この本を勧めてみてください。
きっと何かの役に立つはずです。
願わくば、ひとりでも多くの子どもが心から安全で健康で、しっかりと休めますように。

ではまた、
次の本でお会いしましょう~!

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