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条件世界{三章、魂の力}
「はぁ〜だりぃ。」
俺は新野貴智。高校二年生だ。
俺は生まれつき霊が見える。
だから世間で言われている霊の話が嘘か本当かどうかは大抵嘘だと知っている。
まず霊の性別とか容姿がはっきり分かるとか言ってる奴。
すぐに病院に行ったほうが良い。
霊に性別なんてない。
そもそも霊は霊なんて呼べるほどはっきりとしたものじゃない。
霊は現象の一つに過ぎない。
ここで写真に映り込む霊について言及しておくと半分は本当だ。
はっきりと顔がうつったり顔のように見えるやつは合成写真だが、写真の中で雰囲気や空気が何となく違って見えたりオーブがうつりこむというのは霊と呼べるだろう。
つまり霊なんていうのは〝霊〟と呼べる程はっきりしたものではないのだ。
またこういった普通に生きていれば見えない存在というのは霊の他に妖や仏、神、天使、悪魔など様々な呼び方をされているが皆一様にして絵や伝承などでしかその存在を確認出来ていない。
この時点で本当にいるのか疑問に持ちたくもなる。
何でこんなに色々と話に出てくるのに姿は一向に見えないのか。
絵ならば描いてしまえば〝ある〟ことに出来る。
また伝承ならば話を作れば〝いる〟ことに出来る。
そして極めつけが神の御使いが何故か全て動物を模していること。
神は人間に姿を見せてはならない・・・という人間側の勝手な解釈が神を存在として扱い安易に触れてはいけないという暗黙知によって高尚な存在として引き上げている。
悪魔の証明とはよく言ったものだ。
大体神話や伝承というのは人の勝手な考えや解釈の連続が入り混じったリアリティを持つマジックみたいなものだ。
ないものを如何にあるように見せるか。
しかしその存在や伝承に人々は古くから縋って生きてきた部分もある。
俺も最初からその存在を疑っていたわけじゃない。
しかしある時からその存在・・・いや、現象を経験してからまるっきり物の見方が変わっていった・・・。
~~~~~
俺がいつものように霊という現象を感じながら空を見上げて登校していた時。
明らかに明確な存在として確認出来る者が目に入った。
「(何だ・・・⁉あれ・・・。)」
「(君。僕が見えるのかい?)」
「(・・・。)」
「(そう警戒しなくても良い。会話なら心の中で話してくれればこちらで拾う。)」
「(・・・歩きながらでいいか?)」
「(構わないよ。)」
「(おまえは・・・霊なのか?)」
「(霊って言うより悪魔かなぁ。)」
「(悪いんだが今学校向かってるから授業中とかに再度俺のところに来ることは出来るか?)」
「(構わないけど・・・歩きながらじゃダメなのかい?)」
「(今色々と頭の中がパニックでな。それに落ち着いたところで話したい。)」
「(成程ね。じゃ、様子を見てまたくるよ。)」
「(まて最後にもう一つ。おまえの存在は他の誰かに見えるのか?)」
「(見えないよ。)」
「(分かった。)」
俺は早足で学校へと向かった。
~~~~~
俺は学校に着くなり普段ロクに見ない教科書を広げさっきの悪魔と名乗る存在を心の中で呼んだ。
「(おい、近くにいるんだろ・・・?出てこい・・・‼)」
「(出てきたよ。)」
「(いきなりで悪いんだがお前は何者なんだ?)」
「(さっきも言ったけど悪魔だよ。君たちの中ではね。)」
「(君たちの中では?どういう意味だ。)」
「(君たちは目に見えない存在を霊だの妖だの色々と呼称を変えているね?)」
「(変えている・・・っていうか違う存在だと思っているからね。)」
「(成程ねー。でも、本質的には同じなんだよ。憑き物という意味ではね。)」
「(へぇーそうなんだ。)」
「(君たちは悪魔と天使も呼び分けてるけどあれも本質的には同じだ。君たち人間が僕たちを勝手に善悪に分けて呼んでるだけでね。)」
「(・・・本質的には同じか。)」
「(人間だって本質的には悪魔や霊、妖と同じなんだぜ?)」
「(俺たちが悪魔や妖と同じ⁉どういうことだ?)」
「(君たち人間は魂と肉体で構成されているだろ?人間は肉体という入れ物に魂を入れている存在に過ぎないのさ。そして入れ物である肉体が壊れることを〝死〟と呼ぶ。だけど入れ物がなくなっただけで中身はまだ健在だ。この中身の部分が魂でありその魂の種類が天使だったり悪魔だったり霊や妖なんだ。)」
「(・・・つまり俺たち人間の魂も本質には何にも変わらないと?)」
「(その通り。全て神の創造物。この魂を入れ物に入れるには魂をまっさらな状態にしてからじゃないと入れられない決まりになってる。新生児だね。でも稀にまっさらにしなくても入れられる場合がある。これは前世の記憶なんて呼ばれてるのかな?まぁ正確には前世じゃなくて普通に元々その魂が持ってる記憶なんだけどね♪)」
「(・・・この世の新事実をペラペラと並べていくな。)」
「(僕らにとっては新事実でも何でもないからね。)」
「(僕ら?お前の他にもいるのか?悪魔が。)」
「(いるよ♪僕以外に五人。)」
「(五人か。)」
「(ああ。オルゴにビランチ、グラント、フェア。それにフォールだ。)」
「(ん⁉何か、神話で聞いたことがある名前なんだけど・・・気のせいか?)」
「(気のせいじゃないよ笑。軍神オルゴ、最高神ビランチ、眠れる破壊の女神グラント、言葉を司る女神フェア、最強神フォールだろ?人間界で有名だよね♪)」
「(有名も何も世界史の教科書で必ず出てくるよ!・・・もしかしてお前も有名だったりするのか?)」
「(さぁ?どうだろうね?)」
「(・・・ちなみに名前は?)」
「(イプノだよ。)」
「(邪視の始祖イプノじゃないか・・・‼)」
「(笑。驚いた?)」
「(当たり前だ。で、そのイプノ様が人間界に何で来てるんだ?)」
「(俗世見物さ。人間界は相変わらずだね。いつ来てもつまらない。)」
「(そりゃ済みませんね。)」
「(君が謝ることじゃない。それに君は他の人間と違って面白い。)」
「(俺が・・・?)」
「(うん。話が出来て姿が見えるからね。)」
「(他に話が出来る奴って人間界にはいないのか?)」
「(ソロモンより後は君が初めてかな。前なら結構いたんだけど・・・やっぱり血筋かな。)」
「(血筋・・・おっと、悪い。次の問題先生に当てられた。)」
「(そっか。そしたら僕は消えるよ。また機会があったら会おうね。)」
「(お、おう。)」
それ以降イプノは暫く姿を見せなかった。
~~~~~
そして2週間程経ったある日。
俺はイキりまくっている不良たちに絡まれた。
少し俺の学校について説明しておこう。
俺の学校は少し・・・ほんの少しだけ、治安が悪い。
窓ガラスが割られている教室が時々ある少し治安の悪い学校なのだ。
その学校の廊下で不良の2・3人から今、カツアゲを受けている。
「おいお前。金貸せや。」
「え?誰だよあんた。やだよ。」
「あ?貸せったら貸せや!ゲーセンで遊ぶのに使うんだよ‼」
「なんでお前の遊興費を俺が出さないといけないんだよ・・・。」
「お前、置かれてる立場が分かってねーみたいだな。」
「お前らいてまえ‼」
「ふざけんな‼」
俺は廊下を全力疾走で逃げた。
その時背後から見知らぬ声が聞こえた。
「(何故逃げる必要がある。)」
「⁉、誰だ!」
「(俺は・・・オルゴだ。今から後ろの3人をシメる方法を教えてやる。よく聞け。)」
「(え⁉あ、ああ。)」
「(先ずは振り向きざまに1番近くにいるやつに裏拳を喰らわせろ。)」
俺はオルゴに言われた通りに相手に裏拳をやってみた。
そしたら思っていたよりかなり上手く決まり一撃で一人目の相手は卒倒した。
「(そしたら裏拳をした方の拳をそのまま後ろに引きつつ姿勢を低くし二人目と三人目が一直線上になる位置から突っ込んで踏み込みと同時に拳を鳩尾に当てろ。)」
俺はまたオルゴに言われた通り二人目を殴ると二人目が吹っ飛び綺麗に三人目を巻き込んで三人とも気絶した状態になった。
「(やってしまった・・・!)」
俺はとりあえず屋上に逃げるように向かった。
~~~~~
「オルゴ‼いるんだろ?返事してくれ!」
「なんだそんなに騒いで。さっきからお前の後ろにずっといるぞ?」
「わぁ!そこにいたのか!・・・とりあえず助けてくれたこと、礼を言う。」
「ああ。」
「だけど少し疑問が有るんだが聞いてもいいか?」
「なんだ?なんでも聞け。」
「最初の裏拳と二回目の鳩尾妙に綺麗に決まった気がするんだけど・・・もしかして・・・オルゴ何かした?」
「鋭いじゃないか。少しばかりお前の体を借りたぞ。」
「借りたって・・・道理で綺麗に決まったわけだ。」
「お前の話イプノから聞いたぞ?俺たちが見える人間がいると。最初聞いた時はいつものホラかと思ったがまさか本当に見えるとはな。それに加えて俺たちの力を自我を失わずに使えるとは。」
「・・・凄いことなの?」
「・・・本来あり得ないことだな。俺たちの力を使役するなど。」
「でも、イプノはソロモンは俺みたいに話が出来たりしたって言ってたけど?」
「ソロモンだって人間界じゃ使役していた・・・なんて語り継がれているが実際はあいつの体を俺たちが借りている時あいつの自我は眠っていた。起きているとひどく体調を崩すからな。だがお前は一瞬とは言えまるで歩くのから走るのに切り替える感覚で俺たちの力を使った。これは完全に使役してると言って良い。」
「凄く恐れ多いんだけど・・・。」
「まぁそう萎縮するな。お前のように特殊な力を持つ人間は時々いる。昔と言わず現代にもいる。何故かお前の住む地域に集中しているがな。」
「え?俺の他にもいるのか?能力者。」
「ああ。全知全能の神の全知の力を持つ人間たち。また神が作り出した自然神の力を扱う一族。他にも俺たち悪魔や天使を己の身体に憑依させて力を扱うソロモンやお前のような人間。様々な印や紋章を出現させることにより限定的ではあるが憑依とは違った形で悪魔や天使の力を扱う者。あとはこの世に一人しか存在しない全知全能の神の全能の力を宿す人間くらいだな。」
「全知全能の神って・・・ビランチのこと?」
「ビランチは人間界では神らしいが人間の神話に出てくる神は全て天使だ。真の神は俗世には出てこない。というより今は・・・色々あって力は使えない。」
「神様が力を使えない?どうして?」
「・・・今はまだ言えないな。」
「タブーなの?」
「ああ。世界の歴史に関わることだ。」
「・・・もしかしてさ、俺たち能力者の先祖が神様の力を奪ったから神様の力が使えない・・・とか?」
「貴様・・・何故それを‼」
「やっぱり・・・。」
「新野!お前鎌をかけたのか‼」
「ち、違うよ汗。今までの話を聞いて人間が人間らしからぬ力を使えること。能力が全て神だったり天使だったりで力の出所が集中してること。この事実から神が力を使えないって聞いて神が力を使えなくなるってことは何等かの理由で制限されてるか力自体が失われているか二つしかないだろ?それでふと思ったんだ。力の出所が神様から人間にうつされているんじゃ無いか?って。こう仮定すると人間が人間らしからぬ力を使えるのも神が力を使えないことも全て一応筋が通る。だからそうなのか聞いてみたんだ。」
「・・・鎌をかけたことは違いないだろう。」
「・・・悪い。でもこれが事実だとすると昔は宗教も名声だけじゃなく本当に神の力を使えたことになるよね・・・?」
「まぁその通りだが・・・正確には力の出所が変わったんじゃない。力の主導権が変わったんだ。下界でのな。昔神は天界だろうと下界だろうと何者にも干渉されることなく力を行使した。しかし神は人間たちが世界を作るために一時的に力を使えるよう下界での力の主導権を渡したんだ。7日間という限定付きでな。その際世界が形作られた暁にはその主導権を最初に作られた祠に皆で触れて返すように。この約束のもと渡された。しかし7日目の最後の日。その力が返されることはなかった。当然俺たち天使は罰を与えようとした。しかし神は人間が自発的に返すまで待つことを決めたんだ。それが人間の成長に大きな価値を生み出すと言ってな。そして最初は俺たちが見える人間に声をかけて力を返すように促していたが徐々に俺たちの姿はおろか声すら聞こえなくなる始末。ソロモンに会った時はもしやと思ったがソロモンの時代はさらに人間同士の関係が複雑化していた。さらに能力者たちは神の力を使い争いに明け暮れていた。その後も何人か声だけは聞こえるが姿は見えない者。逆に姿は見えるが声が聞こえず話が出来ない者。色々と苦労して今に至るのさ。」
「・・・。」
「だがお前は俺たち天使の声が聞こえて話もでき使役も出来る。加えてソロモンの時代にはバラバラだった能力者たちは嘗てない程密集している。そこで頼みがあるんだが・・・その能力者たちを探し出して神の力を返す手伝いをしてくれないか?」
「・・・俺には特に断る理由はないけど一つ条件がある!」
「条件・・・?何だそれは・・・?」
「さっきみたいに俺がピンチの時は助けてくれ‼これが無理なら協力は出来ない‼」
「何だそんなことか笑。それならお安い御用だ。」
「笑い事じゃないぜ。俺にとっては死活問題なんだからな。」
「悪い悪い笑。まぁ兎も角これで契約成立だな。」
「ああ‼」
「お前のピンチはお前を天使の寄り合い所にして対処させてもらう。」
「サンキュー!」
「じゃ、とりあえず俺は消えさせてもらう。」
「分かった。」
そう言うとオルゴは消えていった。
~~~~~
俺は家に帰ってから神の力を使う能力者をどうやって探すか考えていた。
「能力者を探すって言ったって・・・今まで他にも能力者がいるのを知ったのも初めてなのに・・・まぁ良いか。天使がいる時に探せば。あいつらなら能力者がどこにいるか知ってるだろ。」
「イプノとオルゴから話は聞いたわよぉ。」
「誰?」
「ビランチよ。よろしくねぇ。」
「最高神ビランチか・・・‼話が早いな。突然なんだけどさー能力者を探し出すって言っても誰が能力者か分からないんだけどどうすればいいのよ?」
「その点は心配ないわぁ。能力者の存在は私たちが知ってるし何処にいるかも分かるから。でも私たちが知ってても能力者の方が神と天使の存在だったり能力の起源についてもこちらの事情も何も知らないからそこであなたの出番というわけ。あなたには私たち天使と人間の仲介役になってもらいます。それで最終的には神に力を返してくれれば私たちは文句ないわ。勿論力を返す為に必要な知識なり方法は私たちが逐一教えていくから。」
「そっか。それを聞いて安心したよ。」
「それじゃまず今いる能力者の全容を整理しましょうか。」
「頼むわ。」
「まず今存在している能力者の種類から説明するわね?最初が神から全知の力を借りた一族の末裔である如月一族。全盛期は100〜200人程いたのだけれど今では5人にまで減っているわ。」
「如月?確か隣のクラスにそんな名字の女子がいた気がしたんだけど・・・。」
「下の名前は早苗かしら?」
「そう!そうだよ‼ビランチ知ってるの⁉」
「だから知ってるって言ってるじゃない。バカねぇ。」
「じゃあ能力者が俺の隣のクラスにいるのか・・・‼」
「あなたの隣のクラスと言わず学校全体ならその早苗って人間の姉妹に三葉と千って名前の人間がいるわ。」
「・・・確かに集中してるな。能力者。」
「・・・あと5人いるからね?あなたの学校に。次が神が世界を作る際に創造した5種類の自然神の力を扱う一族。それぞれ水、土、火がまず神により作られその三神よりさらに雷、風を司る神が作られたの。神が第一階級神とすると水神、土神、火神を第二階級神。風神、雷神が第三階級神ね。この神たちの力を借りてる一族の末裔がそれぞれ水の檜河、土の城堂、火の毘之、風の須羽、雷の建候と呼ばれているわ。」
「確か隣のクラスに檜河無水と城堂風太って奴がいたが・・・あいつらが?」
「そう。そしてその一個下、如月三葉の同級生に毘之漿郗がいるわよ。」
「・・・他には?」
「他はあなたのように神の六大側近天使である私たちの力を使役する人間。これは今はあなたのみだけど昔は私たち天使の数だけ代々いたのよ?」
「・・・何でいなくなっちゃったのよ?」
「戦争やら虐殺でね。次説明するわね?次があなたとは違う形で私たちの力を使う人間たち。陰陽師や魔法と呼ばれているのがそれね。昔は一ヶ所にいたのだけれど時代が流れるにつれて西と東に二分したわ。一人は女性で一人は男性。ニーレイと龍一と言うわ。聞き覚えはある?」
「・・・済まん。その二人は知らないわ。」
「まぁいいわ。その二人もあなたと同じ学校に通っているから。問題なのは最後の一人よ。最後は神から全能の力を借りた人間の末裔であるエルティピストア。一応日本の言語は話せるから会話の面は心配ないけど・・・彼、今世界各国を放浪してて日本にいないのよ。」
「え?放浪?流石に俺海外旅行とか無理だぜ?」
「そこは私たち天使が一応働きかけて日本に来るようにしてみるけど・・・暫く先になることは間違い無いでしょうね。」
「じゃあそのピストアって人は・・・。」
「とりあえず後回しにしましょう。順番としては如月一族を確認してその次に自然神の末裔の確認してその後ニーレイと龍一に会って仲良くなってもらうわ。」
「・・・え、何で?」
「あなた一人じゃ色々と分が悪いのよ。如月一族は少ないと言っても5人いるし自然神の末裔たちは門下の数が5種類の能力者の中で最多。こっちも一人じゃあれだし・・・今後対等に話し合いをする為にも矛盾してるかもしれないけど一人じゃ聞いてもらえないかもでしょ?ニーレイと龍一なら力の出所が私たちからだから仲間に引き入れやすいだろうし。」
「あー・・・成程。じゃ、まずは如月一族を確認すれば良いんだな?」
「そうよ。じゃ、決まった所で私は一旦消えるからね。」
「分かった。」
「次はグラントが来るわ。よろしくねぇ。」
そう言うとビランチは姿を消した。
~~~~~
俺は翌日学校に行くなり早速如月一族の人たちの確認をする為に動き始めた。
「(どうも〜♪ビランチから聞いてると思うけどグラントよ〜。よろしくね♪)」
「(お。グラントよろしく。早速で悪いんだけど如月の人たちを確認したいんだけど教えてくれない?)」
「(いいわよ〜。そしたらまず屋上にいってくれない?詳しく話をしたいから。)」
「(了解。)」
〜〜〜〜〜
「着いたわね〜。じゃ、早速如月一族について詳しく説明するわ。」
「頼むわ。」
「まず最初が如月早苗。彼女はあなたの同級生で触ることにより知の力を発動することができるわ。」
「それってサイコメトリーじゃね?」
「そうね。」
「サイコメトリーって神の力だったのか。」
「まあね〜。で、次がその一つ下。早苗ちゃんの妹に如月三葉がいるわ。彼女は能力者の中でも少し特別でサイコメトリーに加えて空間を意識することでも知の力を発動するわ。」
「・・・それって霊感みたいなものか?」
「まぁ広義的にはあってるけど厳密には少し違うわ。目に見えない存在だけじゃなく実際に存在する人間や動物も感知するわ。」
「・・・成程。つまり超高性能なGPSみたいなもんか。」
「そうゆうこと。そのGPS繋がりで母親と母方の祖父が純粋な空間知よ。」
「あ、じゃあ三葉は二パターンの発動形態がある複合能力者ってことか。」
「話が早くて助かるわ。最後が三葉の更に二個下の弟の如月千。彼はまだ能力を発動してないけど兆しは見え始めてる。こんなところね。」
「とりあえず如月一族は分かった・・・まだ会わない方がいいよな?」
「そうね。如月一族は知の能力者なだけあって私たち天使を伴って会ったら不審がられるでしょうし。第一会う為の不自然じゃない口実が今のところないからね。それにそろそろ如月一族が自然神の末裔と接触しそうな気がするのよね。」
「何でそう思うの?」
「最近自然神の末裔がよく空飛んでるのよ。この調子で飛んでたら何時か感知されるなーってふと思って。」
「空飛んでる?マジで⁉」
「そ、城堂風太が檜河無水と毘之漿郗を風の力で時々家まで運んでるの。」
「え?それって何かおかしくない?城堂って土の神の末裔だろ?何で風の力なの?」
「あーそれはね・・・自然神の力は色々複雑でね。風太の父親が土神の末裔の当主で母親が雷神の末裔の当主で土と雷が合わさると風になるのよ。その要領で無水も水と雷で氷の力を使うし漿郗も土と火でマグマを使うからね。だから今自然神の五神の力を扱ってるのは彼らの親世代ね。」
「つまり五神の末裔は俺たちの同級生ではなくその親世代で同級生はその子供ってことか?」
「そう。で、おそらくなんだけどあなたたちの同級生の子供世代が次の自然神末裔になるわね。」
「成程な・・・とりあえず自然神も分かった。」
「・・・今日はこれくらいにしておきましょうか。」
「そうだな。色々聞いて疲れたし。」
「次回はニーレイと龍一について説明してからどうするか考えるわよ♪」
「・・・了解。」
「じゃ、消えるわね。次回はフェアが来るからよろしく‼」
そう言うとグラントは姿を消した。
~~~~~
次の日俺は学校にいるニーレイと龍一を確認する為フェアの到着を待った。
「お待たせしましたフェアです。よろしくお願いします。」
「よろしく。」
「早速龍一とニーレイについて説明させてもらいますね?まずこの二人が使っている力には印紋術という名前があります。」
「印紋術?」
「はい。この力は西洋と東洋ではそれぞれ西は魔法や魔術。東は陰陽道や陰陽術と呼ばれています。」
「つまり魔法や陰陽術の起源は一緒ってことね?」
「そういうことです。そしてこの印紋術。西と東でそれぞれ継承者が分かれています。西の印紋術継承者の末裔がニーレイで東の継承者末裔が龍一になります。」
「魔法を使うニーレイと陰陽術を使う龍一ってことか・・・。」
「はい。あとここで少し話しておきたいことがあるのですが・・・いいですか?」
「何?話しておきたいことって?」
「少し前に能力者探しの段取りをビランチから聞いてると思うんですが・・・その段取りに少し変更がありまして。この後龍一とニーレイに会う予定になってましたよね?それを少し待ってもらえますか?」
「・・・何で?」
「龍一とニーレイなんですが能力者として思っていたよりも力をつけているんですよ。しかし新野はどうですか?私たちの力を使いこなしたとは言えオルゴとの一度きり。ハッキリ言うと他の能力者と会話するには色々と足りない部分があるんですよ。」
「・・・成程。他の能力者と対等にコンタクトを取るには俺の能力者の実力が足りないってことか・・・。」
「はいその通りです。なのであたしたちを憑依させて使役する為の訓練を新野には行ってもらいたいんです。とりあえずはビランチとグラント、それにイプノの力を使役出来るレベルまで特訓してもらいます。」
「いきなりハードやな・・・。」
「済みませんね汗。明日から始めるのでよろしくお願いします。それでは私はもう消えますね。明日のためにゆっくり休んでください。最初はイプノからきます。」
そういうとフェアは消えていった。
~~~~~
俺はイプノについて少し調べていた。
自分がこれから使役する力がどんなものなのか知っておきたかったからだ。
そうして調べているとイプノが現れた・・・。
「やぁ新野。久しぶりだね。」
「あ、イプノ。きたのか。」
「じゃ、早速使役の練習をしようか。」
「・・・思ったんだけどさ、使役ってなんかさ・・・あれじゃない?」
「ん?あれって・・・?あ、なんか定義が微妙ってこと?」
「そういうこと!印紋術みたいに名称が欲しいんだけど。」
「だったら君が作ればいいよ。名称を。」
「俺が?いいのか?」
「勿論さ。能力者は君なんだから。」
「なら一つ浮かんでるのがあるんだけど・・・。」
「何?」
「御魂降ろしの技って言うんだけど。」
「厨二病感満載だね♪」
「褒めてる?それとも貶してる?」
「どっちもかな笑。とりあえずそれでいこうか。じゃ、御魂降ろしやろうか?」
「ああ。で、俺はどうすれば良い?」
「今は何もしなくていい。僕が体の中に入るから詳しくは入ってから説明する。いいね?」
「分かった。」
そういうとイプノが体に入った。
「(まず僕が使える力を説明する。僕が使える力は人間界で言われている超能力だ。種類は念力、テレパシー、瞬間移動、催眠術この四つだ。)」
「(四つもあるのか⁉)」
「(ああ。人間界では邪視と言われている催眠術しか知られていないけどね。これから僕の力の使い方を説明していく。よく頭に入れておいてくれ。まず念力。これは魂のエネルギーを流動的に物や人間に干渉させることで様々なことを引き起こす力。こう捉えておくといい。念力で出来ることは相手から飛んでくる悪意や嫉妬などの感情や意識を相殺して遮断すること。あとは物を動かしたりだな。まぁその時の状況に合わせて考えて使ってくれ。次にテレパシー。これは相手の脳の部分に意識を向けることで自身の頭に声が流れ込む。次が瞬間移動。これは行きたい場所を頭の中でイメージしてその場所を強く意識した時に飛ぶことが出来る。上手く活用してくれ。最後が催眠術。これの使い方はまず相手に見せたい催眠を自分の頭の中で出来るだけ具体的にイメージしてくれ。それをしたらイメージしたまま自分の意識を相手に流し込むように念を送るんだ。これで僕の力の説明については終わりだ。何か質問はあるかい?)」
「(・・・とりあえずやってみないと分からないな。)」
「(だよね。じゃ、まずは瞬間移動からやってみよう。人がいない場所を君の頭に送るからそこに移動してから他の力を試そう。人がいない場所の方がいいからね。)」
「(分かった。)」
俺はイプノが言った通りに頭に送られてきた砂漠のような場所をイメージし一瞬だけ強く意識した。
そうしたところサハラ砂漠に瞬間移動をした。
「うわっ!熱‼」
「凄い凄い!初めてにしては上出来じゃないか♪」
「部屋から移動したから靴下でめっちゃ熱いんだけど汗。」
「大丈夫。そうなると思って運動靴持ってきたよ。あと日傘。」
「サンキュ‼」
「じゃ、次は念力行ってみようか♪」
「・・・何で試せばいい?」
「砂でいいよ。砂漠だからそれしかないし。」
「もしかして自然神の末裔の力も念力みたいな力の使い方だったりするのか?」
「気づいちゃった?ま、それは追々ね。とりあえずやってみようか。」
「はいよ。」
俺は足元にある砂に意識を向けた。
暫くすると砂と意識が繋がる感覚を感じ自分の手足のように砂を動かすことが出来た。
「大分念力の使い方が板についてきたみたいだね。次は砂漠の熱を念力で防いでみよう。」
「・・・イメージはどんな感じ?」
「念力で自分自身を包み込むイメージだ。」
「了解!」
イプノの言われた通りにやってみたところ周囲から感じていた砂漠の熱が嘘のようにひいていった。
「・・・念力すげーな!」
「だろ?とりあえず試せるのはこれくらいだな。テレパシーと催眠術は相手がいないと使えないから・・・あとは瞬間移動で家まで戻ろうか。」
「・・・分かった。」
俺は瞬間移動を使い自宅へと帰宅した。
「大分疲れたろ。いきなり天使の力を連発したんだ。大丈夫かい?」
「ああ・・・結構疲れるな。」
「だよね。でもやっぱり新野は凄いな。普通の人間なら瞬間移動の時点で肉体が弾け飛んでるよ。」
「え⁉どういうことだよそれ。」
「当然なんだけど人間の体って天使を入れるために出来てないんだ。だから本来は憑依することなんて出来ないし憑依出来ても自我が眠ってしまう。その点新野は使役してるから凄いのさ。だけどそんな神野でも天使の力は多用しない方がいい。」
「・・・体が壊れるから?」
「それもあるけど人間に戻れなくなるからさ。」
「人間に戻れなくなる?」
「そう。使役までいくと力関係としては新野の方が上になるんだ。だけどエネルギー自体は僕たち天使の方が質が上だから長時間使用を続けているとそのエネルギーに意識が飲まれる。そういう意味で人間に戻れなくなるって言ったんだ。」
「成程な・・・。」
「とりあえず僕は消えるよ。次はグラントが来るからね。」
「そうか分かった。了解だ。」
イプノは姿を消した。
~~~~~
次の日俺は学校に向かい適当に授業を受けたあと放課後の屋上でカップルの邪魔をしないようにグラントを待った。
「お待たせ〜♪新野!じゃ、早速私の力の使い方を教えましょうか。」
「頼むわ。」
「まず私が使える力なんだけど念力と瞬間移動とサイコメトリー。念力と瞬間移動はもうイプノから教わったのよね?」
「うん。」
「じゃ、サイコメトリーを教えればいいわけね。サイコメトリーのやり方なんだけど学校を触ってみてくれる?」
「・・・触った。」
「そしたら学校の中にあるものをイメージしてみてくれる?」
「学校にあるもの?」
「人でもいいわよ?友達とか先生何でもいいわ。」
「・・・分かった。」
俺は学校にいる先生をイメージして意識してみた。
「・・・‼」
「使えたみたいね♪それがサイコメトリーよ。じゃあ次は瞬間移動じゃなく念力で移動してみましょうか。」
「念力で?」
「あれ?イプノから教わってない?」
「俺がイプノから教わったのは遮断の仕方と物質の操り方だけだよ。」
「じゃあ身体強化と空中移動はまだなのね?」
「うん。」
「分かったわ。じゃ、これから教えるから人のいない場所まで移動しましょ♪」
「了解。」
俺はイプノと来た砂漠に移動した。
「もう慣れたものね♪じゃ空中移動を教えるわ。空中移動をするときは自分の体幹を意識して念力を使って上に移動する時は重心を上に。横に移動する時は横に重心を移動させるイメージでやってみて。」
「分かった。」
俺はまず体幹を意識して空中を浮遊した。
「・・・よし。まずは浮かんだ。」
「浮かぶ時に咄嗟にジャンプしたのは良かったわ。自分の体をジャンプで浮かせてから三次元的に固定するのは出来てるみたいね。ここからいよいよ重心を移動させて移動に入るわ。」
俺はまず重心を後ろに引いた。
そしたら空中ということもあってかバランスを崩して地面に落ちてしまった。
「痛って〜‼」
「下が柔らかい砂で良かったわね。空中移動は要練習ね。やり方は教えたから時間がある時に練習なさい。次は身体強化。これは念力を全身に満たすの。これで完成。とりあえずやってみて?」
「分かった。」
俺は全身に念力を満たして地面に拳をぶつけた。
そしたら半径5メートルほど砂漠の砂が抉れた。
「・・・凄。」
「これが身体強化。攻撃をするとこんな感じになるけど攻撃を受けた時も体をある程度守ってくれるからいざという時に使いなさい。」
「おう。」
「あとイプノが教えてないとまた困るから念のため伝えておくけど念力を人差し指に集中して拳銃の弾みたいに飛ばす方法があるわ。やり方は・・・。」
「人差し指に意識を集中させてそれを飛ばせばいいの?」
「そうそう。段々使い方が分かって来たみたいね。じゃ、このまま家まで瞬間移動しましょう。」
「分かった。」
俺は自宅まで瞬間移動した。
「それじゃ私は消えるわ。何か聞きたいことはある?」
「・・・いや、空中移動練習しておくよ。」
「・・・そう。じゃ、頑張りなさい。次はビランチがくるわ。」
そういうとグラントは姿を消した。
~~~~~
俺は翌日ビランチの力について考えていた。
何故ならビランチは最高神でありながらその力の詳細が神話に一切記載されていないのだ。
一体どんな力を使うのか。
そんなことを考えていると最高神であるビランチが姿を現した。
「久しぶりねぇ新野。調子はどう?」
「ビランチか。まぁボチボチだな。」
「じゃ、早速私の能力について説明しようかねぇ。私の能力は空間を支配する能力よ。具体的にいうと指定した空間の存在を思い通りに操ったり空間を歪めて空間同士を繋げて移動する・・・まぁ瞬間移動だったり空間を固定して止めたり・・・空間に関することなら何でも出来るわ。」
「何かシンプルだね。」
「だけど汎用性は高いわよ。他にも空間に入り込んだ存在を感知したり出来るしねぇ。そうだ。試しにグラントやイプノの感知をしてみる?」
「ああ!してみる‼」
「じゃあ今から私が力を使うからその時の感覚をよく覚えておくのよ?」
そういうと頭の中に世界を上から見上げているような映像が浮かび、各天使たちを探るように、そのイメージが空をもの凄い速さで移動していった。
「・・・これは‼」
「これが感知する時の感覚とイメージよ。覚えておいてねぇ。あとは・・・今使ってもイメージしずらいからタイミングが来たらまた改めて説明するわ。」
「分かった。」
「これで私は消えるわ。次は誰が来るか分からないけどよろしく頼むわ。」
そう言うとビランチは消えていった。
~~~~~
「戻ったわぁ。」
「ビランチ戻ったんだね♪」
「イプノ。グラントはどうしたのかしら?」
「グラントはフォールと交代に行ったよ。」
「もうじきフォールが戻ってくるだろう。」
「フォールが戻ってきたら新野に会ってもらいましょう。」
「そうだな。会ってもらった方がいい。」
「その前に新野のことについて説明するのが先だと思うよ。」
「確かにその通りですね。」
「では、フォールが戻り次第新野の説明をして会ってもらいましょう。」
「「「了解!」」」
〜〜〜〜
「フォール。ピストアの様子はどう?」
「特に変化はねぇな。あとあの件だが日本に誘導する手筈は整ってる。上手くいけば1〜2ヶ月くらいで日本に行く予定だ。」
「さっすが〜‼仕事が早いわね♪」
「俺が新野とやらに会うために交代に来たんだろ?」
「そうよ。話も早くて助かるわ。」
「じゃ、日本に行ってくる。」
「了解〜♪」
〜〜〜〜〜
「おいお前ら。戻ったぞ。」
「お、戻ったねフォール。」
「グラントには会えましたか?」
「ああ。そう言えばピストアの件だがあと1〜2ヶ月で日本に来る予定だ。グラントには伝えてある。」
「流石だなフォール。」
「ありがとうございますフォール。では新野という人間に顔合わせがてらピストアの件を伝えてもらえますか?」
「了解だ。」
〜〜〜〜〜
これまで邪視の始祖イプノ、軍神オルゴ、最高神ビランチ、破壊の女神グラント、言葉の女神フェアと会ってきたがまだ最強神フォールに会っていない。
だが6人目の最強神フォールが会いに来た時この物語は大きな局面を迎えることになる・・・。