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3軒目の誘惑は夷川にあり。餃子、キムチ、ビールに黒炒飯な日曜晩の飯テロ【フードエッセイ】

もうたらふく食べたけど、
日曜日の寂しさを紛らわすために私たちは
家から反対方面へと歩いて行った。

夜風が少しだけ気持ちのよい季節には、
締めはビールが最高よね~

そんな感じでほろ酔い気分で
「夷川餃子なかじま」の暖簾をくぐって
餃子、黒炒飯、キムチで
赤星の瓶ビールを1本やった午前21時過ぎだ

夷川餃子 なかじま

もともと日曜の晩酌が始まったのは
相方のかばんの底にビール無料チケット2枚がひそんでいたことだった。
それはずっと行きたかった
寺町通のクラフトビールのお店だった。

いつもモノで溢れかえっているかばん。
整理整頓のかけらもないので
絶望とあきらめを抱いていたのですが
ときに幸福を呼ぶのだと、
少しの希望が見えた瞬間です。
というわけで、日曜日の晩酌が始まったのです。

京都市役所付近の夕暮れ

まず1軒目はお目当てのクラフトビール屋さんへ。
寺町通の情緒あふれる京の街並みとは対照的で
自動ドアが開くとそこは異国のパラダイススポットだ。

クラフトビールのカウンターだけではなく
すぐ横にはコーヒーカウンターや、
奥には豆花やパクチーをふんだんに使った
マイベストオブ異国飯のトップらが集結していた。

その興奮の極めつけは、
ビールハーフサイズがたぷたぷに注がれる幸福よ
サイズ間違ってますよ?と言いたいほど
おおらかに注がれるビールの喜びに満ちている。

ポテトフライとソーセージをアテに
するするごくごく飲んでも18時過ぎだ。
もう最高ですよね

Bighand Bros.Beer TERAMACHI

いつもの私たちは本当はここで終わるはずだ。
しかし、夕日があまりにも綺麗だったので
その光に誘導されるべく(ほろ酔い気分でした
私たちは「日本酒しずく」に入っていった。
奥のカウンター席に案内されると
目の前にずらりと日本酒コレクションの棚が広がる。

その光景に驚きに満ちて感極まる私の前に
いかにも日本酒研究してますというような、眼鏡をかけた落ち着いた男性の店員さんがメニューを静かに差し出してくれ、日本酒のラインナップに圧倒され迷いに迷い
京都の純米大吟醸「神蔵」と牛すじ煮込み、おばんざい盛り合わせ、本日の魚のカルパッチョを注文した。

お酒で少しほてった身体がふわふわと心地よくて
うとうとし始めたとき
スーッとカウンターの目の前に現れたピンク色の正体
春雨と柴漬けの和物。これを口にした瞬間
ふぁ〜っと後光が降り注いで神様が降りてきた衝撃的体験だった。春雨のきゅっきゅっとした歯応えと柴漬けの磯爽やか〜な感じ、それを挽肉の旨みがぎゅんときてぶぁっと口の中が引き返される旨みの感覚。
ありそうでなかった唯一無二の料理が私の脳内にまた刻み込まれた瞬間だった。

春雨と柴漬けの和物(写真左)

それから、牛すじ煮込みも絶品ものよ。
運ばれてきた瞬間のくつくつは、くつくつ界の王者。
白味噌でコトコトとじっくり煮込まれた
牛すじとこんにゃくが甘辛くはんなりと仕上がって
京のしたたかな存在が浮かび上がってくる。

口に入れた瞬間、ガツンと旨みどす!!と
はんなり美人が主張してきた上品な旨みよ。
それに反する小ぶりの材料たちが
さらさらと永遠に食べられる証拠なんよ。

白味噌の独特な風味となめらかな口当たりが
牛すじのためにあるのかと最高の役目を果たしていて好きです。

日本酒ちゅちゅっとかみしめながら
しっぽり2軒目が終了したのだった。

日本酒しずくの牛すじ煮込み
くつくつがたまらん。
京都の松井酒造の純米大吟醸
キリッとかつふくよかな米の甘みが最高


それでも私たちはまだ食べたんだ。
三条から二条城の方向に進み
夷川餃子なかじまへと足を運んだ。
相方が寿司か中華の選択肢を渡しに投げかけたので当然中華を選択。しめは餃子とビールに限るんだから(といっても過言でない。
赤星にグラス2つ、餃子とキムチ、揚げ餃子、そして
メニューの圧倒的存在感をはなっていた黒炒飯を注文。

ビールを先にくいっと飲み、キムチをアテにスタート。
そして後から到着した餃子を、あらかじめ配合していた酢と醤油とラー油にどっぷりとつけパクリと一口
かみしめた瞬間の「あ、わたし、いま、ぎょうざ食べてる」感覚はいつになっても最強で、そんでもってさらりと軽やかに入るんだ。
3軒目の満腹胃袋の中にもすっぽりおさまるような心地とビールが喉にきりっと通る心地。
この対称的なバランスが日曜日のしめには最高なんですよ。

とりあえずキムチとビールで

そして、やつがやってきた。
まるで土星のようなずんぐりした黒さ
そのフォルムを目の当たりにして一口食べた瞬間
焦がし醤油の中毒になりそうな風味が口にふわああっと広がってぱらりとした米がいい感じに引き立てるんだ。
こりゃまたドストライクなお味なのよ。
なかじまの飯テロ劇は、
私の胃袋を拍手喝采で満たしたのであった。

黒炒飯の存在感よ

日曜日の夜は次の日仕事なので気分憂鬱で
トークサバイバーかゲームするので気を紛らわしていたけどたまには少しお出かけして飲んで帰る日曜日もいいですね。
翌日の6時半起きは変わらないので、
静粛とした気持ちと夢見心地を両立させながら
3軒目の京都晩酌を堪能いたしました。

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