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東山三条の名店中華の目の前に。静かに佇むワインとアテのマリアージュ【フードエッセイ】

学生時代からお世話になってきたマルシン飯店。
その目の前には更なるフードインスパイア的存在が
それはただ静かに、たおやかなオレンジ色の灯火で
ワインとアテはいかがと待っておりました。

ここは東山三条。
地下東山駅の地上に降り立つと
広がる京都の歴史的街並みと大きなMのマークが
対立構造で広がる世界観がちょっと面白い。
少し京阪三条駅よりに進んで、大通りを祇園側に歩くと
長蛇の列が現れる。それがマルシン飯店だ。
学生時代にはよく先輩と深夜練の終わりに通っていた
懐かしの中華料理屋は天津飯がフワジュワッで
唯一無二的存在だ。

しかし、目的地はそこではない。
その目の前に、一見何もないような存在感の薄い歩道を
よく観察してみるとオレンジ色の灯火が
ガラスの引き戸からほわああ〜っと広がっているのだ。
天井が少し低くて木の温もり溢れる小さなお店。
まるでヨーロッパの田舎の夜に迷い込んだような世界観が雰囲気を感じさせる。

それが「wine & beer ESTRE」だ。
1年前に訪れて以来、そこの冷製スープが美味しすぎて
それに影響されて、ワインと冷製スープのマリアージュを色んなお店で体験してきたのだ。
そして、相方と初めて京都に旅行した時に訪れた
思い出のお店でもある。

そういうこともあって、
ESTREにはとても思い出が詰まっているんだ。
1年後の2024年の夏、私たちは再び訪れた。

奥のカウンター席に案内され、店主の温もり感じる手書きの黒板メニューに目を向ける。
今回も完璧な食欲フィーバーの食材たちがずらりと黒板に書かれており、とりあえず猛暑の中 LUUPで下ってきたので暑さが吹っ飛ぶ爽やかのものを。
「戻り鰹のたたき 焼き茄子のピュレ トマトとエゴマのサルサ」「白桃と生ハム リコッタチーズ」を注文。
あと、とりあえずビールと。

戻り鰹のたたき 焼き茄子のピュレ トマトとエゴマのサルサ
白桃と生ハム リコッタチーズ

注文すると細長いグラスにビールがたぷたぷ注がれて
カウンターというものはその注がれる瞬間も目に入ってしまうので、さすがビールの力よ。
夏の日差しに一発パンチを入れるのはビールですわ。

先に一口飲んで泡を楽しんでから写真を撮るのが
マイルールなんです(言い訳

爽やかなお味に胃袋満たされてくれば、
お次は少しガツンと、そしてワインの出番です。
相方は無類のポテ民ですので、安定のポテトを注文し
私はワインといえば仔羊でしょ!
まだポテ民にはなれない。
そんなこと思いながら仔羊のトマト煮込みを注文。
(しかしながら、ポテトも侮れぬ旨さだったよ。)

安定のPOTATO!
私は仔羊を

仔羊が来る前に白ワインを頼んだら、
私が大好きなアルザスワインがラインナップに入っていたので歓喜。
マルクテンペ様をいつまでもこよなく愛す民にとってはアルザスワインは神様的存在で、
しかも残糖がしっかりとあるワインだったので
私のドストライク中ど真ん中をミラクルヒットさせてきて大歓喜に満ちていた。
その後赤ワインを注文し、仔羊にはそれを合わせた。

こよなく愛するアルザスワイン
(フランスのアルザス地方で生産されたワインのこと)
仔羊と赤ワインにて

時間は終盤に。
締めにパスタを食べようと「鯖と大葉と茗荷のペペロンチーノ」を注文。
鯖は価格帯でも全人類の味方であり、美味しさの観点からも色んな料理と相性が抜群の旨み凝縮形魚だと思っている。とにかく好物の魚の一つなので頼むしかない。
想像の通り、鯖のぎゅぎゅっと詰まった旨みとその甘さ、そしてそれをさっぱりと中和してくれる大葉と茗荷の爽やかなテイスティー、胡麻の芳ばしい風味。
しみじみとパスタを噛み締めながら、
私はこの土地に生まれてきて良かったよと大勝利です。

私の胃袋はどうなってるんだか、いつもは腹はもう満たされてるのに、今日はまだまだ行けるぞってことで
相方ともうひとつパスタ食べよっかって
本当に最後のパスタ「豚のラグーソース パッパルデッレ」を注文し、
薄平でぷりぷり食感の麺を噛み締めながら
今日の幸せなひと時をワインと共に締めくくったのでした。

鯖と大葉と茗荷のペペロンチーノ
豚のラグーソース パッパルデッレ

京都の街にはまだまだ未知なるお店がたくさん。
長い歴史の中に存在する美味しいもの。
京都の街はまだまだ知らないことものばかりです。
そんな京都を私は食で解剖していくのが野望です。

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