映画:タクシー運転手 約束は海を越えて
先日BSで放映されていたようですが、平日昼間だったので見ることができず。
ツイッターでとても良い評価を見かけたのでアマプラで見ました。
ソン・ガンホのファンになりましたよ。すごい俳優さんだと思いました。
そしてすごい映画でした(←語彙・・・)
普通の庶民だったタクシー運転手の主人公が儲け話と思って
ドイツ人ジャーナリストを乗せて光州へ向かったことで
人生が変わってしまう話です。
1980年の光州事件の現場に居合わせてしまったタクシー運転手の話。
この映画を見てから光州事件をwikiなど読んで勉強。
韓国の民主化は最近のことだったんですね(←無知ですいません・・・)。
ソン・ガンホ演じる主人公は貧しいタクシー運転手でお気楽ないち市民。
ソウルに住み、学生運動も他人事。
国がそんなに間違ったことはしていないはず、と信じている。
そんな主人公が報酬がいいからとジャーナリストを乗せて光州へ行き、
激しいデモと市民に発砲する軍を目の当たりにし、国や軍への信頼が崩れて、
何を信じれば良いのかわからなくなってしまった様子を
ソン・ガンホが好演しています。
家で待つ娘のために
一度は自分だけソウルへ逃れようとしたにもかかわらず、
混乱を世界へ伝えなければという使命感で取材していたジャーナリストを
光州へ迎えに行くと決意するまでの苦悩する様子がとてもうまくて、
ずっと涙しながら見ていました。
命がけで軍に抵抗する市民の様子や激しい弾圧、
というか軍によるデモ隊の殺戮の描写はとても厳しく目を覆うほど。
市民に銃を向ける軍に抵抗する人たちが、世界に報道してほしいと
なんとかジャーナリストと主人公をソウルに逃そうとして、
次々に犠牲になっていく後半は涙が止まりませんでした。
信じていたものが足元から崩れ去り、
何を信じてどう生きればいいのか、
何も見えない霧の中へ放り出されたような主人公が
徐々に視線を定めて、国や軍に抵抗する市民と
行動をともにするようになる様子がとても自然で、
ソン・ガンホの演技がよくて、泣かされました・・・
これが史実を元に描かれているという・・・
語彙が不足していて言葉になりません。
この映画で描かれたジャーナリスト本人が亡くなる前に撮影された映像が
エンドロールで流れて、もう一度あのときのタクシー運転手に会いたい、
と語っていました。再会は叶わなかったんですね・・・(by wiki)。
今、アメリカで黒人差別に対するデモが激しくて、警察官が無抵抗の市民に暴力を振るう動画がツイッターでたびたび流れてきて、あのたいへんな大統領によって軍まで動員されていて、この映画での混乱の描写と重なりました。
光州事件が韓国の民主化につながったということなら、アメリカのデモもよりよい未来のアメリカへの道に続けばいいなと心から思います。
とても励みになります。