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朝ドラ感想:虎に翼(第23週)

最終回に向けて、虎に翼がまた最近めちゃくちゃいいですね・・・。
なんか毎日のように泣かされて、出勤前に見るドラマじゃないよーって思いながら、7時半のBS放映、8時の地上波放映見てから出勤。土日は復習してました・・・。

今週は特に、怒る人、戦う人への言葉がけがとても心に響きました。今日は午前中はごろごろ休んでいたのですが、昼前から復習し始めたら復習・反芻・復習・反芻・・・が止まらなくて1日終わってました。

ツイッターにだーっと復習感想あげたのですが、流れていってしまうので、ここにまとめておきたいと思います。長文になってしまった・・・。

月曜日:雲野先生亡くなる・葬式に行けない寅子

原爆裁判の長年の準備手続きがようやく終わったタイミングで、岩井先生が過労で倒れている間に雲野先生が亡くなってしまう展開。急・・・。
倒れてもおにぎりを離さない雲野先生・・・とか思いつつ、その後の葬式に来るなというよねと「そうね」と力無く返事をする寅子の気持ちがとてもつらい描写でした。

火曜日:裁判所でよねと寅子が対面

痴呆が進む義母と寅子の更年期も並行で描きながら、火曜日にはよねと裁判所で対面。法廷で一瞥をくれるよねの表情とか、意義のある裁判にしようなと言葉をかける場面とか、とてもよかった・・・。

ヨボヨボ竹中が寅子に「お嬢ちゃん」と声をかけたときには、寅子がまだ学生だった頃、竹中が暴漢から守ってくれたあの場面が思い浮かびましたよ・・・。

水曜日:被爆者はどこに助けを求めればいいのか

水曜日、法廷での寅子の法学者への質問。よろしいでしょうか?と話し始める寅子を見るよねたちと竹中の様子もいい。

 米国にも国にも賠償責任を求められない場合、
 今、苦しんでいる被爆者はどこに助けを求めればいいとお考えですか。

冷静な口調での問いなのに、今苦しむ被爆者のために何ができるかと考え続けるよねたちと寅子が同じ気持ちでいることが伝わる。この原爆裁判での法廷場面はよねの表情がいつもとてもよかった・・・。

というか、今週のヒロインはよねじゃないです?
よねがずっとすばらしかったし、よねを見ている週でした。

その後の法廷での被告側弁護士と法学者の会話もよかった。国側の代理人として、被爆者に損害賠償を求める権利はない、と言い切らねばならない人たち。でも、被爆者を思う気持ちがないはずはない。

どんな立場の人にもそれぞれの事情や思いがあることを丁寧に描いてきたこのドラマらしいと思いました。そしてこの場面で思い出したのは戦後も自責の念に苦しんでいた航一。役割として背負わされている人の苦悩。

表情固く、セリフ少なく、静かな場面が多い法廷での役者さんたちの演技が毎回すばらしいなと思いました。今週は法廷場面多かった・・・。

寅子の更年期:女性が歳をとることを前向きに描く

竹もとで寅子の更年期を梅子が「ようこそ、こちらへ」と明るく温かく言う描写もとてもよかった。

女性が歳を取ることの描写は男性目線のことが多く、結果、ネガティブなこととして表現されがち。でも、若い時に面倒なことに巻き込まれてたり、月経が重かったりした女性にとっては歳をとって、ラクになって、楽しくなって、自分らしくなれることがあって(私もそう)、最近、そういう女性側からの発信も増えてていいなーと思っていたところでのこのドラマ内での更年期の描写で感激しました。

戦う人、よね・寄り沿う人、よね

そして水曜日は、戦おうとする人へのよねのセリフがすばらしかった・・・。やっぱ今週のヒロインはよねでしょう・・・。

どの地獄で何と戦いたいのか、決めるのは彼女だ。

すごいセリフ。そんなことをすれば傷つくからと守るふりをして被害者の口を塞ごうとする行動は、被害者を人として尊重していない。我慢ならないから戦うという決意を尊重するなら、一緒に覚悟を決めるしかない。

自身の生き方を貫き、時に悔しい思いもしながら、でも曲げずに戦ってきたよねだからこそのセリフだと思いました。

家族になった優未とのどか・普通の働く女性の現実

あと水曜の最後、優未がのどかに文句を言って蹴った場面、優未とのどかが家族になったんだなと感慨深かった。本気で怒って文句を言える。
蹴りはあかんけどww さすが寅子の娘ww

のどかが望んでいた美大への進路を百合に反対されて英文科へ進み、銀行勤めをしているけど、お茶汲みしかさせてもらえてないという現実をさらっと描いて、これだけ大活躍の寅子を描いていながら、時代はまだそこだということも見せる。すごい構成。

次の回で帰宅した優未にのどかがまっさきに謝るのもよかった。のどかは自分がずっと年上なのに優未に八つ当たりしてしまった、負担をかけてしまったことを自覚している。優未が走り去ったあとに、あー、しまった・・・って顔してて。麻雀のときと同じでした。

あと、超脇役のお手伝いさんもめっちゃ有能なのがさらっと描かれててとてもいい。百合が大変な状態だから手が回ってないけど、優未の精神状態がきついことにちゃんと気づいて丁寧に声がけしている。

なんか、このドラマはほんと全員を置いてきぼりにしないというか。
すごく短い時間、ほんの少しの描写なのに、隅々までちゃんと人を描こうとしている。それが本当に魅力的なドラマだなぁと思います。

水曜日、中身が濃すぎませんか・・・。

木曜日:戦うとはどういうことか

木曜日は家を飛び出した優未に、轟の恋人・遠藤がかける言葉がとてもよかった。

 怒っちゃいけないことなんてない。
 ただ、口や手を出すことは変わってしまうこと。
 その人との関係や状況や自分自身も変わってしまう。
 その責任を自分が取らねばならない。

とても心に響きました。すばらしい説明。
この日は原爆裁判を戦う被爆者も出てきて、戦うということはどういうことかを描いていますが、遠藤は同じ話をしていると思いました。

腹の立つことは山ほどある。怒っても構わない。でも、戦うなら覚悟を決めなければならない。絶対に自分も傷つく。なんなら刺し違える覚悟がいる。だから心から納得していないといけない。戦い方を考えることも大事。
ということがこのあと、よねのセリフに表現されていました。

そんでもって遠藤のすばらしい声がけを扉の外で聞いてた寅子が入ってくるなり超うるさいのも、よねが「うるさい!」って言うのに対して「ごめんなさい。」って定型文で謝る感じもめっちゃコントでしたww
深刻な話と笑える場面のバランスも絶妙。

被爆者の言葉・その重み・どう戦うか

そして原告の吉田登場。顔から首にひどいケロイドがあって、それを隠すショールをとったときの彼女の表情がすごかった。これを見て驚くだろうな、でも見せないと、どういう反応されるだろうかという不安と気後れの混ざった表情。

あの表情を見ていたよねが上野で人に見られた話をどう聞いたか。
気丈に振る舞う彼女の本当の気持ちが、ショールをとったときに出ていたと思いました。人からどう見られるか、何を言われるか、また差別されるのだろうという気持ち。そんな彼女の「差別されない。どういう意味なのかしらね。」という言葉の重さ。

壁にあの条文が書かれていたのは、この場面のためだったのかと思いました。

 声を上げた女にこの社会は容赦無く石を投げてくる。
 傷つかないなんて無理だ。
 だからこそ、せめて心から納得して自分で決めた選択肢でなければ。

 でも私、伝えたいの。聞いてほしいのよ。
 こんなに苦しくてつらいって。
 ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・

 あなたが謝ることはなにもない。
 なにもないんだ。

体が燃えたこと。乳腺が焼けて赤子に乳をやれなかったこと。
人並みに扱われたい。それだけです。という証言の重み。
ほんと、出勤前に見るドラマじゃないです・・・。
めっちゃ泣きました・・・。

金曜日:道男の成長・女性が私は頭がいいのと自分で言う場面

金曜日はもちろん原爆裁判の判決が気になって見始めたのに、最初に桂場の大袈裟なあんこ判定と拍手があって笑ってしまいました。
ほんと、バランスいい。

道男の話もすごくよかった。笹寿司を継ぐことを断った彼の言葉がとても謙虚で自分をちゃんと理解していて礼儀正しくて。座布団をどかして頭を下げる姿も感激しました。笹寿司のおっちゃんがちゃんと彼と向き合って、教えてくれたからだよねって。

梅子の提案もすばらしかった。和菓子とお寿司のお店、行ってみたいww
竹もとの老夫婦のちょっとしたセリフもとても心に沁みたし、女性が「私、頭はすこぶるいいわよ。うふふふふ。」と言うのもすごいセリフ。嫌味なく、叩かれる状況でもなく、それが大事なこと・評価されることとして描かれている。すばらしい。

今週の百合の老い・痴呆の進行も女優さんの凄みを感じました。
歩き方、食べ方、話し方、泣き方・・・どんどん症状が進んでいることが伝わる。

原爆裁判の判決:本当の判決文からの抜粋!

そして判決文。本当の判決文からの抜粋だなんて!

結論がわかってダーッと法廷を出ようとする記者を抑えるように続きを読む裁判長。聞いている原告・被告双方代理人、寅子、航一・・・聞いてるだけなのに俳優さんたちの演技がすばらしかった。

涙が止まらない伊藤沙莉

もう、書いても書いてもまだまだ出てくる感激ポイント多くて、今日はずーっと虎に翼のことを考えている日でした。

NHKプラスで追いかけ視聴した金曜日のあさイチでは、寅子を演じた伊藤沙莉さんがゲストで登場し、共演者や監督?からの言葉に涙が止まらなくなっていたのも印象的でした。

このドラマは多くの人をの心を捉えて、私の心にも深く刺さっていますが、それは演じた俳優さんにも同様なんだなぁと。

今月で終わってしまうなんて寂しいけれど、最後までちゃんと見て、物語のメッセージを受け取りたい!と思います。

とても励みになります。