悪いエリア

俺が住む倉敷市の水島地区(児島、玉島含む)は「悪いエリア」と表現されることがある。
治安が悪いだのガラが悪いだの、そ～いった意味合いでの「悪いエリア」だ。

うちの嫁さんは生粋の水島地区の人間で、俺はよその土地から来た人間だ。
俺はかれこれ15年以上、ここに住んでいるわけなのだが、確かに「悪いエリア」と表現される要素はあるわな～と思う。

ざっくり言うと、ヤンキーや、昔ヤンキーでしたみたいな人間の割合が多いと思われるのだ。
俺は好きな言葉ではないが、所謂ネットスラングで言うところのDQNと言われそうな人間の割合が多いと思われる。
(誤解を与えていけないので、細かく説明させて頂くと、他の地域より相対的に多いと思われるだけで、水島地区でもヤンキーや元ヤンでない人の方が多数派だとは思う。)

ま～だいぶ前からそ～ゆ～土地だったのだろう。
水島地区にはコンビナートがあり、ブルーワーカーと言われる肉体労働者や現場作業員といった仕事に就いている人間が多いのだ。俺もそうだけど。
ホワイトワーカーよりブルーワーカーの方がガラが悪い人間が多いような気がしないでもない。
実際はそんなこともないのかも知れないけれど。

それと、水島地区の朝鮮学校や部落と言われているような地域は、かつては、かな～りガラの悪い人間が多かったのだろうとも思う。その名残もイメージも水島地区にはあるのだろう。

それに、児島辺りは漁師町でもあるので、これはこれでまた、昔は言葉がキツイ人間が多かったのではなかろうか。

そんなこんなで、倉敷市の水島地区は「悪いエリア」と表現されたりもするわけだ。

でも、俺もうちの嫁さんも本人は別段ヤンキーではなかったが、身内だの周りの人間だのにヤンキーが多かった為なのかヤンキー耐性みたいなものが育まれており、あまり気にならずに生活が出来ている。

「地位が人を作る」という言葉がある。
これは、つまるところ、その人に与えられた環境がその人を形成していくということだ。
当人の置かれた環境が、当人の人間形成に影響を与えるということだ。

「悪いエリア」で育った人間の多くは「悪いエリアの人間」になるのだろうと思う。

人間誰しもが生まれもった性格はあると思う。
先天的な性格はきっとあるだろう。
赤ちゃんの心を真っ白いキャンバスに例えることがあるが、白といっても微妙な色の違いはあるであろうし、そのキャンバスは大きさや形、素材なんかも色々だろうと思う。

だが、人間の性格とは、後天的に学習していくことで形作られていくものもある。

だから、「悪いエリア」で育った人間は「悪いエリアの人間」になるのだろうと思う。

それについて、良いことだの悪いことだのといったことを言うつもりはない。
また、別にヤンキーを擁護するつもりもない。
たまたま生まれ育った環境が「悪いエリア」だったから、ヤンキーだのそれに近いような人間だのといった「悪いエリアの人間」になるのだろうなと思うだけだ。

ヤンキーだの元ヤンだのにも、当然のことながら色々な人間が居て、相変わらずイキがってしまっている情けないろくでもない奴もいれば、口は悪いが腕のいい職人になっている人間もいる。
悪いエリアの人間といっても当然に色々だ。
例えば、公務員にも色々な人間がいるように、ヤンキーや元ヤンにも勿論色々な人間がいる。

俺が仕事上で付き合う人間には元ヤンみたいな人間が沢山いるが、いい奴もいれば悪い奴もいる。
職業人として優れた人間もいれば、あまりそうとは言えない人間もいる。
優れた人間だがあまり好きになれない奴もいれば、どうしようもなくダメな奴だが嫌いになれない奴もいる。
ま～ホント、世の中には色々な人間がいるものだ。
それが世の中なんだよな～なんて思うと、己が住むこの水島地区という「悪いエリア」も妙に愛おしくも感じられる。

「悪いエリア」と言われるこのエリアに妙な郷愁というか郷土愛を感じてしまう。

ここにずっといるのも悪くない。