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バンドネオン奏者・仁詩×詩人・久世孝臣【ライブ配信 × 謎夜】 Vol.2 セットリスト


お願いとお伝え(お目をお通しください)


今回のライブで朗読する詩を無料で公開いたします。

ただ、このnoteは体裁としては、ライブで読まない詩を一つおまけとして掲載して、投げ銭用に販売しています。

詩の全文を読んで、または、ライブを観て感心してくれた方。

そもそも応援したいと思っていただいている方。

是非チケット代代わりにこのノートの記事の購入をご検討ください。

金額は500円〜。

500円~と記載したのは、noteは定価以上に追加で金銭的なサポートをしていただけるので、いくらでも自分が価値を感じた分だけ存分にお願いしますという意味です。


皆様無理のない範囲で、何卒よろしくお願いいたします。


サポート機能について

前述のようにNOTEにはサポート機能がございます。

直接アーティストを、この場合はわたしやバンドネオン仁詩を支援していただける機能です。

こちらをご覧ください。

https://help.note.com/hc/ja/articles/360009035473-%E3%82%B5%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%99%E3%82%8B

楽しんで頂けましたら、少しでもサポートいただけるととても嬉しく思います。

朗読のみのソロライブも再び企画しておりますので、

またお会いできる日を楽しみにお待ちください。

こちらもたくさんの僕のわくわくをお届けできるのを楽しみにしています!

2020.0722 久世孝臣


live詳細

LIVEはこちらから。


【ライブ配信 × 謎夜】Vol.2
仁詩 × 久世孝臣

悪魔が作ったと言われる、蛇腹楽器【バンドネオン】奏者・仁詩が、
詩人・久世孝臣と共に、幻想連作短編詩を朗読と音楽で魅せる、言葉と音の無限廻廊【「謎夜」】をライブ配信でお届けします。
今回は新作もお届けします。


【配信予定日】
 7月23日(木・祝)15:00 開演

【出演者】
バンドネオン 仁詩 

詩人 久世孝臣


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詩の求愛行動

謎夜 詩の求愛行動

詩がいた。詩は4月の緑の裏に居た。

緑をいいだけ見て、息を吹きかけて消えた。
(謎夜 19205夜目より抜粋)


謎夜 宣言

土を掘ります
たまに食べます
花を愛でます
たまに食べます
海に行きます
海になります
この夜はあります。
とこでもあります。

(謎夜 13400夜目より抜粋)


謎夜 れもん日和

吐息に乗った

乗った吐息に水をやる。
吐息は育った。この街では歌が聞こえる。
(謎夜 470夜目より抜粋) 

謎夜 詩の求愛行動
詩がいた。階段に座ってた。

縄跳びを渡すと 窓

から跳んで流れて消えた。
(謎夜 557夜目より抜粋)



謎夜 四季

割れて枯れると固まる眠る
丸めて揺れると擦れて曇る

流れて暮れると進んで消える

(謎夜 1141夜目より抜粋)


謎夜 会おう

草を抜く
水溜まりが無くなった
雲を見る
川の水が干上がった
口を開けて目をつむる
海の水が消え失せた
あらら。誰かに会わなくちゃ。

(謎夜 6549夜目より抜粋)


謎夜 詩の求愛行動

詩がいた 意味に求愛した

世界に求愛した

言葉に求愛された

まだ始まっていなかった。

(謎夜 3136夜目より抜粋)


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一回


謎夜 一回


一回、目を瞑ってあけると夜だった。
一回、目を瞑ってあけると朝だった
一回、目を瞑ってあけると夜だった。
それを瞬きと呼ぶんだと。
(謎夜 5804夜目より抜粋)


謎夜 はむ

パンの中に入る

私、パン

私パン

誰が食べてくれるかなー。

時々空けた穴から外をみる

どんな味かなー。

(謎夜 842夜目より抜粋)


謎夜 身体

心臓を鍾乳洞に置いてみた。

上大静脈、下大静脈、上行大動脈、下行大動脈

を洞窟と繋げる。

洞窟が体になった。

深い洞窟のどこで、雫が落ちたか、次はどこに落ちるか

今何が中で起きているか全て分かる。

今、心臓は鍾乳石の色をして、なめらかな艶をだし、年に2度しか鼓動しない。


(謎夜 1462夜目より抜粋)


謎夜 最後までここにいる

記憶がいた。

記憶はずっとここにいるらしい。

記憶はとても規則正しく過ごしている。
私にはまねができない。

ここにずっといますよ。どんな状況で思い出してもいいように。
最後までここにいます。思い出せなかったり忘れたりしててもね。
私たちはここにいるんです。

そういうと、記憶達は、一斉に歌を唄った。

(謎夜 3478夜目より抜粋)


謎夜 夜を編む

色を塗っている間だけ時間は進まない

今日も誰かが色を塗り だから夜はあるという。


息を止めている間だけ時計は動かない

今日も誰かが息を止め 夜はここにあるという

私も塗る 私も止める

あと、歌を唄っている間だけ夜は変わらないみたい

私は歌うのをやめない
(謎夜 3135夜目より抜粋)


謎夜 浸す

強く思う強く思う強く思う強く思う強く思う。触る。
強く思う強く思う強く思う強く思う描く。
そのことが私に夜を含ませる

(謎夜2121夜目と2123夜目の隙間に佇む)


謎夜 器

夜を掬った。静かに家に持ち帰る。
帰る頃にはいくらも無い。

それを何度も繰り返す。

この夜を器にして明日の夜を呑む。
器は次の夜へいく。

(謎夜 281夜目より抜粋)

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メリッサ


謎夜 メリッサの思い出
メリッサがひっくり返るとパンが出る
歌を唄うと花が咲く
泣くとブーツが裏返る。

メリッサが立つと皆幸せ。
メリッサはいつもの時間に居なくなる。

(謎夜 1039夜目より抜粋)


謎夜 船
玄関に船がついた。
乗ると汽笛が1つなる。
夜は1つ深くなる。
皆乗ったら、船は消えた。
(謎夜 102夜目より抜粋)


謎夜 目から海になっていく

魚のナイフで木を削る
たちまちナイフは泳ぎ出す

魚のナイフで人を刺す
たちまち人は海になる

私の身体は今、海だ。

(謎夜 5504夜目より抜粋)


謎夜 料理


10年ぶりに足が帰ってきた。
10年ぶりに腕が帰ってきた
肩も、爪も鼻も目も耳も帰ってきた

心臓も帰ってきた。

身体が心に帰ってきた。

あなたと同じ味を出せるのは
世界中に私しかいない。

お帰りなさい。

(謎夜 3237夜)

謎夜 裸足のリズム

象のツノは犀に載せた

ゼロの爪は雪山で踊る


Bの時計は涙を刻む。


隙間に嵌る鷺の音。

裸足のリズムで踊る私。

(謎夜167夜目より抜粋)


謎夜 人の音楽

上から見た時森は水
上から見た時川は花
上から見た時街は色
上から見た時人は音

(謎夜 73夜目より抜粋)


謎夜 音1つ

誰かが死んだ。
みんな一度音を鳴らした。
その人の音。
音が伸びる。
枝分かれした全部の道を均等に。
白いクラゲの形をして。
弱まらずゆっくりと、消えずに音が伸びる。
それを屋上から見ている。
朝まで街は音、死んだ人が街。
(謎夜 37100夜目より抜粋)


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何かを燃やした味がする

謎夜 来たっ!

何かを燃やした味がする。
なにかをもやしたあじがする・・・。
何かを燃やした味がする!!!

(謎夜 907夜目より抜粋)



謎夜 一日
一回だけしてみる。
一回だけ息。
一回だけ歩く。
一回だけごはん。
一回だけ黄色。
一回だけ、夜。一回だけ私。

(謎夜 7251夜目より抜粋)



謎夜 鉄道模型
鉄道模型の中にいた。
鉄道模型の中に、中に、中にいた。
中に・中に・中に/中に/中に/いた
(謎夜 第414夜目より抜粋)



謎夜 鏡
ジャンプした 落ちた
ジャンプした 落ちた
ジャンプした 落ちない
ジャンプした 海底で眠る
ジャンプした 口から空が見える
(謎夜 2408夜目より抜粋)



謎夜 火のこと

火は話をする。
私は無視した。
火は消えた。
謝った。

火は私の中で優しく生きる。
(謎夜 222夜目より抜粋)



謎夜 誕生日

マシマロの花が咲いたから傘を差す。

「最後から数えたほうが早い?」
「ううん。これは終わらない」
わたしは年の数だけマシマロの花を摘む。
(謎夜 30156夜目より抜粋)

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合成獣

謎夜 合成獣の夜

手を前に出し じっとみる
手は透けてそれからだんだん 翼になった


足をゆっくり揉み込んでいく
足は青く染まって 蛇になった

お腹は 前から川だった
魚もいる鳥もくる

翼で目を覆って息をした

息は銀河になっていく 目は月と闇になっていく


顔を触ってはははと笑った 声は瑪瑙で出来ていた


私の顔は今 森だ


肩をまわすと穴がある


これからその中を歩く

(謎夜 8471夜目より抜粋)

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構成表2

(1022夜) 構成表
鉄2
銅12
ニッケル水素3

濡れたての火
搾りたての船
探したての国
忘れたての目。


(1918夜) 揺れている間に書いたこと
私は死んだら青くなる。花で埋もれて青くなる。
月の光で青くなる。
人の涙や声や海の色や空の色。
体にためた青が死で溶かれ 死んだら優しく青くなる。
花で埋もれて青くなり 不規則に揺れるだろう。
私は青く揺れるのを楽しい気持ちで待っている。


(7912夜) 夜景
波の付箋を貼った本に
山の栞を挟んで閉じる
開くとページが増えている。
世界
眼は開けたまま息も止めない。


(13夜)死ぬ前の夜。
私は星を捕まえる。年に1度の話しです。
それを溶かすとその日の夜が訪れる。
今日の夜はどこにもいけない。
夜が一個あまるわけだ。私はその夜を捕まえる。
一年に一度だけ。私は違う夜にいる。
一度に使い切らないで残した10年分の星がある。
私が死ぬとき、保存した夜を全部一気に溶かしてみたい。
その夜はいつ?


(45夜) 神事
貰って渡して貰って渡して貰って渡して貰って渡して貰って渡してまた貰う



(450夜) 笑ったらダメ
森の中や海辺を歩く。

ずっと昔私だった木や貝がいずれ化石になって
今の私を見ている・今の私もそれを見ている

私と私/にらめっこ/世界

時間はどこ。私はやっぱり何時もここ。

笑っちゃう。


(10024夜) やぁ
その花は名前で呼ばないでと言った
それ以来私は「やぁ」とそれに話しかける
それは優しい。名前があったころと変わらずに。
それは甘い。 名前があったころと変わらずに。


(1022夜) 構成表
鉄2
銅12
ニッケル水素3

濡れたての火
搾りたての船
探したての国
忘れたての目。

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深海の骨


謎夜 深海の骨


骨を探してるんです。深海の。

骨を育ててるんです。深海の。

訪ねてくる海のため。
私は骨を探し育てる。

(謎夜 4017夜目より抜粋)

謎夜 写る

私はここに居る
泣いている
拾った
私はここに居るのに。
欠けている。
捨てた。

私はここに居る

飛んでいた

笑った。


(謎夜 3609夜目より抜粋)


謎夜 踊り

いつだろう?

ふ。

いつだったかな?

ゆ。

地面が見えたか。


(謎夜 2108夜目より抜粋)

謎夜 仕舞うわれ

箱がある 仕舞った。

箱がある。仕舞った

箱があったんだろう。
仕舞われた。

きちんと包まれて嬉しい。


開けられるまで私の夜は私の形

(謎夜 8115夜目より抜粋)


謎夜 牛

牛が居た。牛は私を見ていない。

牛の正面に立つ。

牛は右を向く。

牛の正面に立つ。

牛は左を向く。

寝転ぶと牛は私を覗いてこういった。

どこにいく?

私と牛だけの夜。


(謎夜 7962夜目より抜粋)


謎夜 休日

私は骨を育てている。

種から骨を育ててる。

海に必要な骨 星に必要な骨 山に還る骨

私は何に必要な骨?

(謎夜 3050夜目より抜粋 )


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新曲:月と音楽が歌う夜

2篇読みます

・歌を歌います

・月と音楽が歌う夜

歌を歌います
               

私は限られた時間の中で芋虫になった 
よくしゃべる芋虫になった

それから時間に蓋をされて 
私は 徐々に 芋虫の中で
別のものに変わっていった

芋虫の中に入っている自我を持った何かは
外から見ると芋虫なのだろうか

私は芋虫の中でこいつは芋虫なんだと
暢気に構えている。

身体が 絵の中に 描かれるような感覚で
 芋虫の中にしみこんでいく
 

私は 芋虫の中に描かれ直した感覚で
 染み込んでいく

私がそこに芋虫として固定されて
そのまま私は 
風も流れなくなるような感覚で

少し前はもう少し考えることができていた
と思うんだよな。

思いつくことはある。

でも思いついたことが
自分で理解できなくなってきた。

思いついたことの予感はあっても
芋虫にできないことは 
忘れていくような感覚で 

思いついたものの形が自分でもわからない。
やりたいことや願いや思いが徐々に
芋虫範囲のことにおさまっていって

芋虫にはできない予感や感覚は
だんだんあまり閃かなくなっていって。

芋虫を下にみているわけではないんだ

でも前の自分からどんどん離れていって。

そういう 強い うねりが 
私を
襲い
私は
限られた
時間の中で
芋虫になった


だから歌を歌います 
予感も
時間も
飲み込んで
 

わたしは歌を歌います。

(終)


月と音楽が歌う夜


74spm 

ここには歌が流れていた

静かな世界の静かさを歌った歌が

銃弾と怒号が響く中でも誰にでも聞こえるくらい


静かにはっきりと流れていた


私はそれを見ていた 歌が世界に流れていくのを


歌が流れている連続した瞬間やいくらでも分割できる時間の無限を見ていた


聴くことができていたとは思わない


綺麗だった 音楽は 今僕が居る世界を すごくうまく なめらかに滑っていく

どんな世界でも抵抗も摩擦もなく滑って流れていく

音楽が流れた世界は音楽を受け入れるしかないように見える

私はそれを見ていた。


じっと。


あの人はいった 
「歌の世界に居なさんな、

お母さんはいい人だった。わかるよな。

お前のお母さんは凄くいい人だった」


67FRB

信じたものは崩れ去ってしまった。

あーこの人は嘘をついている

この人の美化した言葉は嘘になる

僕はそこに世界をおさめない。

音楽と歌に嘘をつくことになる


「僕はお話しが好きです。なんでかと言われてもわからないけれど。
人が思いついたお話しの心配より自分の心配でもした方がいいかなとも思うんだけど」

話しをしていたよ
身体の裏側で目を閉じて ずっと話をしていた。

馴染んだ言葉が身体を振り回さないように。言葉と言葉の外側で。ずっと話をしていたよ。

月みたいな意味で?月みたいな意味で


僕が作った計画で、脱出できるけど君は来る?


緑の目から花が溢れた。

ここから始めようと思った。

物語を描き始めます

外に出て、私が踊り始めたところから。


(終了)


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情報


謎夜 情報
水に映った空飲んだ。

空 減った。

空に映った水飲んだ。水減らない。

情報を受け取る

(謎夜 1825夜目より抜粋)


謎夜 見える

紫陽花を川に落とす
紫陽花を海に流す

紫陽花を窓に貼り

紫陽花と風呂に浮く


紫陽花を扉の隙間に入れてみる

紫陽花が皮膚に溶け、体が笑って回りだす。

見える世界と浮かぶ花。


(謎夜 4512夜目より抜粋)
謎夜 挟む

紫陽花を本にはさむ

ページが雨の音を出す。


紫陽花を本にはさまない。

くるくる世界を包み始めてしまわれた。

(謎夜 761夜目より抜粋)


謎夜 饒舌


赤と歩く

私は赤と歩く。

私たちはおしゃべりをしない。

赤と歩く。

(謎夜 8112夜目より抜粋)

謎夜 アカツクリ

赤の畑で赤取れる

赤は熟れるとくるんとまるまり
ちょこんとしてる


赤の日赤の時間赤の畑の真ん中で
私は熟れた赤になる
ちょこん

(謎夜 2808夜目より抜粋)

謎夜 たまに見える

空を見ると たまに赤の産地が見える

空の上に浮いている赤い大きな島のような場所がそれだ。

空の背骨の1つではないかといわれている。


全ての赤は最後にあそこに還るされる。


(謎夜 4019夜目より抜粋)


謎夜 情報

水に映った空飲んだ。

空 減った。

空に映った水飲んだ。水減らない。

情報を受け取る

(謎夜 1825夜目より抜粋)
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峠とレーズン


謎夜 峠

名前がわかると収束される
名前がわかると収束される

私の名前がわかると収束される

(謎夜 3082夜目より抜粋)

謎夜 つなぐ

レーズンに針を刺し、油を流す
夜の向こうに赤いトンネル
笑える震える夜になる
朝がふさがる夜になる

(謎夜 9999夜目より抜粋)

謎夜 縫い目

縫い目に沿って歩く。
楽しい。縫い目ガタゴト。
縫い目しゅぽぽぽ。

ここは布の夜。たくさんの縫い目が私を誘う。

(謎夜 5403夜目より抜粋)


謎夜 この世界は僕のもの

心臓を自由に使う。
上大静脈、下大静脈、上行大動脈、下行大動脈
色んなものに接続してみた。
電柱に接続してみる。
「サー」と音がして時限爆弾みたいになった。
きづくと全部の電柱に心臓が接続されていた。
この世界は僕のもの。
(謎夜 402夜目より抜粋)


謎夜 真珠の葉

冷蔵庫を開けると春が来たので、床のシミを真珠の葉っぱでこすった。
「うまくいくかな?」「うまくいくかな?」
(謎夜 433夜目より抜粋)


謎夜 所在

煙が割れて夜が生まれ
煙が消えて私が出来た

私は転がり夜が増えた
私が止まって夜が増えた

私は夜から聞いている


(謎夜 8582夜目より抜粋)

謎夜 カーテンレール

カーテンレールに私を吊った。
閉まる 開く

シャーーーーー

音が嬉しい。
自分で出してた。

頼りない身体にいくつもの夜が染み込ん

内も外も夜になって。

私は、カーテンレールから降りた。

世界をシャーーーーーしにいくんだもん
(謎夜 1714夜目より抜粋)

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宮沢賢治

謎夜 音のカタチ

食卓に瓶を置く。
小瓶を3つ。

1つあける。音楽が流れる

いただきます。

(謎夜 8245夜目より抜粋)



謎夜 千と八つの夜を超えて

遠くの街を見ている。
遠くの海を見ている。

近くの森を見て、近くの光を見る。

また遠くの夜を見た私は。

千と八つの夜を超えて。


茶葉を編み湯を沸かす。

扉は開けてある。

(謎夜 30409夜目より抜粋)


謎夜 階段


月の半分

花の上下

静かな夜

歌の装丁

煙の匂い

水の顛末

風の足元

一つ一つ
一つ一つ 

 
(謎夜 4636夜目より抜粋)


謎夜 ずっと一緒

ずっと一緒

ずっと一緒

ずっとが終わってもずっと一緒


また始まってずっと一緒


   私は心をつないでいる


(謎夜9388夜目より抜粋)


謎夜 卵

水の卵 森の卵 空の卵

割って 水に森に空に自分に。

声の卵 意味の卵 夜の卵

割って 浮かべて 写して 月。

(謎夜 6125夜目より抜粋)


謎夜 シャン

猫を探していた。 違う遠くの夜で会った猫。


シャンという名の猫だった。

見つかったシャンは犬だった。

右目には眼玉がなく、目の輪郭にリングがはまり、

中に青く丸い宝石がころここと音をたてて転がっている。

お前は本当にシャンかと聞くとそうだと言い、

凄く私のことを好いてくれている様子で足にすり寄った。

シャンは遠くの夜では良く暴れる猫で不思議な力を持っていた。

不思議な力が青い宝石になったのだろうか。

(謎夜 421夜目より抜粋)


謎夜 所在

煙が割れて夜が生まれ
煙が消えて私が出来た

私は転がり夜が増えた
私が止まって夜が増えた

    と 

私は夜から聞いている


(謎夜 8582夜目より抜粋)

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謎夜の最後に必ず 朗読する詩


※LIVEでのお楽しみ※

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懐かしの帰り路

詩は2編

・善意
・目的のないメガマウスの哲学


善意

そのポートレートを棚に戻しな

やさぐれた陰気なシャツを脱ぎ捨てな

かび臭い思想にしがみついてよ。もうそこには戻れんよ。

戻る必要もないみたい


乗れ 目の前の 乗り物に。乗り方くらいは知ってるだろ。

見たことあるだろ。聞きかじった程度のやり方でいい。


お前がまだ、生きてるんなら、その乗り物に乗りな。


灰が落ちるぜ。もうタバコも好きじゃないんだろ。

ウィスキーだってそんなに好きじゃないんだろ。


いいから持ちな。

便利だって知ってるんだろ。


分かってるぜ。お前の顔を見なくても。

だからさ、誰も咎めやしないよ。みんなお前が好きだよ。


着るんだよ。いいよ。似合うよ。現在はその形なんだ。

お前はまず、そのカビの匂いのする皮膚を剥がして太陽に透かしてみな。


今なんて言葉が描いてある?


その言葉を忘れな。


カビの匂いが取れたころ、なんて言葉になっている?


その言葉を刻みな。


想い石を足に括り付けて沈むふりするのはもうやめだ。

お前は十字架のことを口にする必要はないんだぜ。


(終)


目的のないメガマウスの哲学

2つの眼と大きな口。大きな体。


メガマウスが泳いでいる。メガマウスがゆっくりと泳いでいる。

本当に世界はこの色なんだろうか?

この形であってるのだろうか? 

私の思ってることを私は思っていていいのだよな。


精神という途方もなく確固たるあやふやなものは
私と私の世界たちに何を見せているのだろうか。


私は私からはみ出ることができるだろうか。

言葉より先に私いけるだろうか。私の望みは私が望んでいることだろうか。

メガマウスの存在は、私に私を突き付ける。

お前はいったいなんだ。投げた問いは直接私に突き刺さる。


私はいったいなんだ。どうして私は生きている。


生まれてから、ずっと、人間が創った枠の中で、
私の枠を知らずに。考えようともせずに。

私は私を無駄にしているのだろうか。
表情から文化を消して大きな口をあけて
ゆっくりと死ぬまで歩き続けるだけで
私がたった一つの個でここにあることを提示できる。


私はただ。死んでいく。言葉を知って、言葉を通って。言葉の中から、言葉の外へ。

存在するということ。
何をしても何者でもなく、何者も何をしても、
ただ存在してそこにあるだけである。


私は私を手放して、この世界になれるだろうかね
考えなくてもなっているよ。

私は私が抽象を生きてることを知っている。

知ったのは頭だけだろうか。
身体はまだ抽象を体感として理解していないのだろうか。


他の全ての動物は、何かの目的があってもなくても構わない。
対峙してもここまで動揺することはない。

精神とはなんともろく私に何を見せてくれているのだろうか。

共感や感じるとはなんだろうか


理性とは言葉だけのことだろうか。

メガマウスたちは、ほとんど死んでいるように見える。

顔に見える場所の一切の意思が宿っていないように見える。

そう見るのは人間の勝手だ。
何かを思っていてもいなくても。人間の範囲でしか考えられない。


メガマウスの意思や哲学は

言葉の外側にある気がしている。

論理ではたどり着けない理性があって、そこに。


しっかりと身体を私に浸して、深く潜って。私はわたしの意思や哲学を。


(終)


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煮込み


※今回、煮込みはやらなくなりました。

最後までやるかやらないか迷ったので、ここには記載しておきます。


謎夜 煮込み


コトコトととろ火で煮込むようなイビキで眠る。夜煮込む。眠むむむ。

(謎夜 718夜目より抜粋)


謎夜 月とブナ
月からはしごがおりてきた
今日はブナが登った。慌ててメダカもおいかけた。
(謎夜 924夜目夜抜粋)


謎夜 いまから透き通る

一つ一つの繋がりの
ネジがゆるんだ水を飲む

一つ一つの繋がりの
タガが外れた空を見る

一つ一つの繋がりの
意味を忘れた音を読む

人一つの繋がりの
名前が揺れる揺れる笑う。

そのときは見つからず

そのときは横にいる


日取る日取るの連なりで
日を取り回る夜の声

(謎夜 6408夜目より抜粋)

謎夜 3

3が来た 3踊る
3が来た 3泣いた

3の家 3のポット

3のお茶 3の選んだ映画見た

3泣いた。

3帰ると17が来る

あれはすごい

(謎夜 4028夜目より抜粋)

謎夜 小さなことかもしれない
寝床のための乾草が泣いていた
湿って寝れやしない。
更に泣く。

乾草の話を聞いた。身体が震えた。
みんなそれぞれに事情があるんだ。

私は彼を乾かすために星を取りに行く。
私は彼を乾かすために夜を汲みに行く
(謎夜 8074夜目より抜粋)


謎夜 優しい半透明の人
明かりを点けると 手が伸びる。

私はいつも知らないふり

両手でつかむと蜜が出る。

私はいつも知らないふり。

棚に入ってもらうと跳ねる。

私はそれをつい掬う。

(謎夜 6792夜目より抜粋 )


謎夜 千紗(せんしゃ)

紗を千重ねて夜とする

紗を万重ねて夢とする

私は間の一つの紗
夢に近く、夜を触る紗。

(謎夜 14019夜目より抜粋)


謎夜 夜景

波の付箋を貼った本に
山の栞を挟んで閉じる

開くとページが増えている。

世界


眼は開けたまま息も止めない。


(謎夜 7912夜目より抜粋)


謎夜 透明な時間

言葉が寝ていた。
声をかけた。
走って逃げた。
彼は言葉を話せない。
(謎夜 6035夜目より抜粋)

謎夜 あめでとじる

世界を雨でとじてみる

ふんわり雨でとじてみる

雨で世界が閉じられて、全部繋がり
みんなが見える

私は雨で閉じられて

顔はにやけて身体が溶けた。
(謎夜 8211夜目より抜粋)


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ライブをご覧いただき、そして、ここまで目を通していただき誠にありがとうございます。

少しでも、興味深いものをお見せできるように邁進してまいります。

下記に一つ、このセットリストを購入いただいた方の為に

詩を掲載いたします。

よろしければ。

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購入特典:粟田氏

ここから先は

165字

¥ 500

サポートされると嬉しいです。どんな金額だろうとそれを行動に移して評価いただいたことで良い気持ちになって毎日頑張れます。たくさん描きます。気に入ったらたくさん僕の言葉で遊んでください