言語聴覚士オススメの100均知育グッズ紹介「かずカード」
※インスタをされている方は@kotoba.soudanでもご確認ください。
インスタで紹介中!100均グッズを使った、ことばや認知機能を育てる遊び
「言語聴覚士オススメ!ことばを育てる100均グッズ」の名前でインスタをはじめ、3月末で丸2年を終えようとしています。サボり魔の私の月数回更新であるにも関わらず、いつもご覧いただき感謝です。
インスタでは障害のある・なしに関係なく、どんなお子さんでも楽しめる+ためになる情報発信を心がけています。
noteではインスタでは語りきれなかった解説を加えつつ、ことばや認知がゆっくりさんなお子さん向けに、実際に私が行っているヘルプなどについても紹介していこうと思います。
ダイソーの「かずカード」で、数字の学習
今回紹介するのは、インスタで2023年2月26日に紹介した、ダイソーの「かずカード」を使った学習です。
2歳頃から数字に興味が出てきて「いーち、にーぃ、さーん」と数えだすお子さんもいると思います。
数字ってとても単純な造りをしていますが、実はとても奥が深いものです。ここでは主に、未就学の間に身につけておきたい「かずの概念」について紹介します。
1.数字を数える
文字通り「いーち、にーぃ、さーん」と数えることです。年長さんでしたら20か30くらいまで数えられることを目標にするといいかもしれません。
また、ただおぼえるのでなく「13の次は14」などと、ひとつひとつの数字の持つ意味と概念の理解を育てることに意味があります。
「かずカード」は10までの数字しかありませんが、1から10まで数字を並べることができますので、この概念の学習にお役立ちです。
苦手さん向けヘルプポイント
ひとりでまだ並べるのが難しい場合は、手書きでよいので、1から10まで書いた紙を用意し、それを見ながらやってもOK!としてみましょう。はじめは出しっぱなし、できるようになったら迷っていそうなときだけ見せる等、ヘルプも少しずつ減らしていきます。見せる時間も「じゃあ10秒ね」→「7秒だけにするよ」等、細かく減らしていくことができます。
2.個数がわかる
数字が数えられ、並べられるようになったら、次は個数の概念を学びます。かずカードの裏にはイチゴや赤丸などのイラストが、数字と同じ個数分だけ書いてあります。1で並べたカードの下に、マッチする個数のカードを置いていきます。このときイラストのイチゴを指さしながら「いーち、にーぃ、さーん」と数えるのはOKです。むしろ数えられず誤るお子さんには、ちゃんと数えようねとお伝えします。そう、ここでは「モノの数を数える」ことを学ぶんです。
苦手さん向けヘルプポイント
数が多くなると、数えすぎ(一度数えたイチゴをまた指差す)、または数えたりない(見落とす)ことが出てきます。間違っていたり、指があやふやなときは「もう1回だけ先生と一緒に確かめてみよう!」と言って数え直しをします。場合によっては自分の手も添えて、間違わないよう誘導します。「間違わせない」ことが大事です。なぜならこの後に、楽しい答え合わせの時間が待っています。下記の写真のように、1から順番にカードをめくっていくと、全部の数字がぴったり揃うはずです。最後の9と10は2枚同時にめくります。全部合ったときの達成感&爽快感!
数え直しを嫌がる、または先生のヘルプを嫌がるお子さんの場合は、あらかじめすべてのイチゴに小さく数字を振っておきます。相談室ではカードを使い回すので、そうしたお子さんにはコピーしたものを使って加工しています。なお、小さい数のイラストから徐々に数字のヘルプを消去していきます。
3.「多い」「少ない」がわかる
ひとりでイチゴの数を間違いなく数えられるようになったら、次はイチゴカードを2枚並べて「どっちが多いかな?」と尋ねます。子どもさんが答えたら「じゃぁ答え合わせするね」と、2枚同時にひっくり返すと…そこには数字が書かれているので当たりはずれがわかります。
苦手さん向けヘルプポイント
まずは2と8など、明らかに数の違いがわかるカードから練習してみてください。またその際、見た目だけで判断しないで数える癖をつけるといいと思います。
年長さんでここまでできないとダメ?
上記3つの概念が年長さんの段階でできていたら、1年生になったときに楽ではあります。ですが「できるようになっていなければダメ」「できない子は塾や支援級に行くのがよい」というわけではありません。1年生にあがってからの算数で学ぶ内容も入っています。ただ、もし1年生になって、算数の授業をやたらと嫌がっている、といったことがあれば、足し算や引き算の前に、この概念のところから躓いている可能性がありますので、そうしたときに見直してみるといいでしょう。
知ってほしい「算数障害」
算数障害という障害があります。知的な遅れはないのに、算数が極端に苦手という症状で、学習障害と呼ばれる障害のひとつです。しばしば読み書きが困難な読み書き障害を合併していることがあります。
算数障害のあるお子さんの中には、上記の概念の獲得がそもそも苦手だったという子も多いです。ですので私たち言語聴覚士は、未就学の段階であっても、数字の概念の獲得について注意深く観察しています。障害を検出してやろうと思ってやっているのではなく、仮にその傾向があるとすれば、正攻法の学習ではその子の不利になったり、学習の妨げになったりすることがありうるからです。
たとえば、繰り上がりの足し算がなかなか理解できないお子さんがいたとします。その子がもし算数障害だったら、何回も問題を解かせておぼえさせようとするのは正しい学習方法ではありません。適切な支援を提供するためにも、その子の「得意」「苦手」を知ることが大事ですし、その「苦手」がいったいどのレベルのものなのか、把握することはとても重要です。
まとめ
今回は数字の概念を学ぶかずカードについてご案内しました。数字って本当に難しい……! まずは興味を持ってもらえそうなところからスタートしてみましょう。