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どん底状態での自問自答。自分を雑に扱わない選択をした話。
自分が抱える矛盾に斬り込み、下したあの決断は本当に正しかった。触れたくないと頑なに守っていた扉をこじあけた、あの時の自分を尊敬している。
内容としてはよくある恋愛のゴタゴタだけど、恋愛は人間関係。世の中のほぼ全ての問題の源である、その人間関係の濃縮版。学びは大きかった。あの時の決断は、その後の自分の人生を大きく変えてくれた。
決断に至るまでの背景
マッチングサイトで、海外に住むアメリカ人男性にメッセージをもらう。
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タイプではなかったものの、英語の勉強も兼ねて軽い気持ちでやり取り。
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話が面白くお互いにハマってしまい、気付けば毎晩6時間ぶっ通しで電話するという状態で数か月経過。
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その後実際に会って、お付き合いスタート。
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遠距離恋愛すること約2年。結婚しようと急かされ、そのうちに彼の日本転勤が決まるというミラクル。
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さぁいよいよ日本へ引越しとなった1週間前に、突然電話でフラれる。
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いろいろ納得いかなかったものの、負け戦と踏み黙って静かに退却。通話時間約15分。
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①泣き過ぎて体が乾き夜中に起きる
②辛過ぎて数日間の記憶がない
③涙を流しながら電車に揺られて出勤
④道路に座り込んで泣き崩れる
など、壊滅的なダメージを追う。
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精神的な鍛練と様々な成長を経て、約2年後、もう一度会うことに。
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当時の自分の気持ちをしっかり伝えるべく反撃準備。相手は日本語初心者のため、英語で対決となる。対ネイティブというハンデ克服のため、文章を何度も推敲のうえ練り上げ、途中ペースを乱されても話し続けられるよう、何度も暗唱して文言を暗記。
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冷静な態度で、しかし一歩も引かない覚悟でいざ出陣。
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二人の関係の中で抱えていた問題や不満、自分の考えを、感情を込めつつ感情的にならず、自分から見た事のなりゆきや思いを、淡々と伝える。
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聞いているうちに衝撃を受けて、頭を抱える先方。
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めったに謝らない彼が「自分が悪かった。申し訳なかった」と、敗北宣言。
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からの、「もう一度やり直してほしい」
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リベンジ達成!ドラマ完結! ←今回のお話はココから。この上ない再スタートと思いきや……。
別れを切り出された当時、その衝撃でパンドラの箱が開き、結果的にトラウマを克服、なんてことになっていた。
さらに、その他ありとあらゆる自己改革に励んだため、私は以前とは劇的に雰囲気が違っていた。
驚くような私の変化と付き合っていた頃の懐かしさで、彼は暫く恍惚状態。彼を好きなままフラれた私は、困惑しつつもあの頃の時間が戻ってきたようで、高揚していた。
……が、それも束の間。数回会ううちに違和感を覚えた。それまでのことを考えると、自宅に呼ばないのは変だなと気づいた。問い正したところ白状した。一緒に住んでいる女性がいた。
直感鋭い方なので半ば確信していたものの、いざ認められるとマジかー!やられた……と思った。
何がマズいって、彼への気持ちが戻ってしまっていたところ。「私は、オマエの思うようにはならん!」と息巻いていた強い自分は一体どこへ……。反撃の手が緩んでしまっていた。
こんな関係は認められない。順番が違う。私にやり直してほしいと言う前に、相手と別れるのが筋だろう、彼女も気の毒だ、とかろうじてパンチを繰り出したものの。
そんな情け容赦のないことを言うな。それは歩けない人間に歩けと言うようなものだ、と泣きつかれた。この頃にやっと気づいた。こいつは恋愛玄人だと(だいぶ遅い)
完全にこちらの気持ちを見透かされていた。結局、時間を取ろうじゃないか。彼女には折を見て別れ話をするから。
……という、何百年も昔から繰り返されてきたであろう聞き慣れたセリフでお茶を濁され、葛藤の日々が始まった。
こんな不毛な関係を続けていてはいかんという気持ちと一緒に彼への未練が入り乱れ、精神不安定度MAXの日々。
そのうち、彼に対する私の態度に「ん?」と思うことが出始めた。具体的には、
①このような状況下で完全に心を許せないでいた私は、意図せずツンデレ状態になっていたのだが、その様子を見て、「そうそう!こんなふうに、いつも追わせておいてほしいんだよね!」と興奮状態で言う。
②「君に合わせるから好きなものを食べなよ」と言いつつ、私が食べたいものを言うとあからさまに嫌な顔をし、食べながらも食べ物の悪口を言う。
③私への関心にスイッチがあり、オフの時は半ば無関心。
④自分の都合の良い時間に、自宅に近いエリアまで私を呼び出す。送り迎えが減る。
など。
これらの出来事を、擦りガラスを通すようにしてはっきり見えないフリをしていたものの、自分が雑に扱われていることが体感で分かるから不満が溜まるのだろう。
理由もなく不機嫌になったり彼の気持ちを確かめるような行動をして、空気が悪くなるという小競り合いが続いた。その都度罪悪感や羞恥心に苛まれ、自己否定感でいっぱいになった。
関係を再開してから2カ月くらい経った頃だろうか。彼と会っている最中に、地震が起こった。
短時間だったがかなり大きめの揺れで、被害の大きさやインフラなどへの影響が気になった。
彼は即座に飛び起きて「早く帰らないと!」と言い、さっさと帰り支度を始めた。
一瞬でスイッチが切り替わったように、ハイ、遊びの時間はここまで、本来の自分に戻ります、的な店じまい感。
私のことは、目には入っているものの見ていない。契約上の彼女やプロの風俗嬢に対しての態度を冷たいと表現するなら、ぬるま湯みたいな温度とでも呼べるような態度で、私を最寄りの駅まで送った。
私の帰り道や家の状況など頭に浮かびもせず、気持ちはもはや自宅や自宅で待つ彼女に向いているのだろう、そぞろな様子で、じゃあねと言って私を降ろした。
ポツンと取り残された私は茫然としていたが、トボトボと駅に向かいごった返した電車に乗って、不安に怯えながら家路についた。
押し合う乗客にもみくちゃにされるうち、我慢していた涙が溢れそうになった。
「私は一体、何をやってるんだろう?」
家に辿り着いてから、前後不覚になるほど泣いた。自分は遊び相手として都合良く使われている。気が向いた時だけ呼び出し、聞こえのいい言葉だけを並べ、態度をはっきりさせず何も約束せず、自分の好きな時に帰る。
脳内で、今起こっている現実を手加減なしに書き出してみたら、心底情けなくて嗚咽した。
泣きながら、なぜ私はこんなに泣いているのだろうと何度も自問自答した。
問:「彼が私に対して優しくないから?だから怒っている?これは怒り?」
答:「さっきの、彼の思いやりのない態度に傷ついた。それに対する悲しみと、確かに怒りもある。でも、この怒りの先は、彼だけじゃない。もっと怒っている相手がいる……」
問:「私は誰に対して怒っている……?」
答:「……自分自身だ!!」
その時の衝撃は忘れない。私は、彼の自分に対する雑な扱いを放置してきた。一番の味方であるべき自分が、大事な自分を痛めつけてきたんだ。
この気づきは、正直耐え難かった。私を大切にしてほしい。私は幸せになりたいと願う自分が、自分自身をボコボコにしている矛盾に思い至った瞬間は、もう全身を掻きむしって絶叫しそうなほどの悔しさ、腹立たしさだった。
さらに、ここで自分が原因だと認めてしまうと、その先はもっと苦しい選択が待っている。
彼への未練を断ち切るかこのまま関係を続けるか。手放せるならそもそもこんな問題になっていない、という堂々巡り。
この屈辱感を受け入れられなかったり、この究極の二択を避けたいという心理が働くと、“彼女が悪い”“私の彼なのに”なんて、怒りの矛先を無理やりすり変えたりするんだろう。
ここまで来てしまったことに愕然として、再会なんかするべきじゃなかった。忘れられるだろうか?などいろんな思いが交錯したが、いや、例えその過程がどれだけ大変でも、答えは決まっているなと思った。
これ以上自分で自分を痛めつけるなんて、そんな残酷で浅はかなことはできない。一時的に得られる薄っぺらい幸せのために自尊心を削っていたら、間違いなく自分はダメになる。これは本物の幸せを手に入れるための闘いだと思った。
完膚なきまで打ちのめされた体を、痛みに耐えながら抱え上げ、再度ファイティングポーズを取らせるような感覚だった。このままでは終われない。自分を取り戻すんだという気持ちだった。
別れを切り出せば、彼がまた下手に出て「まぁまぁまぁ」と、引き延ばし作戦に出てくることは目に見えていた。
別れの空気を察すれば、頻繁に連絡を取り、離れた距離を必死で縮め引き留めようとしてくるに決まっている。その誘惑に負けない覚悟をする必要があった。
この“覚悟”が最大の難関で、やるべきことはただ一つだと分かっていた。LINEや電話をプロックして連絡を断つのみ。いたってシンプル。
簡単なことだし、彼と再会前のあの平穏な状態に戻るだけじゃないか。でもそれが辛かった。平穏だけど以前よりも無味乾燥な毎日が想像できて、しゃくりあげてまた泣いた。
「彼は本当は自分のことが好きなはず」
「今はタイミングが悪いだけ」
「彼はいつも通りだったのに、自分が過剰反応しただけかも」
なんて都合よく認識をねじ曲げて、自分を説得もできるけれど。それが自分にとって間違いなく悪手であると確信していた。強くなるしかないと思った。
スマホを手に取り、ブロックの設定を眺めた。こんなボタン一つで関係って切れるんだな、とあっけなさと儚さ、侘しさを感じた。
この決断についてもう一度自分自身に問いかけた。その答えをもって、私は彼との連絡を遮断した。
空元気を出し、心のざわつきを宥めながら、彼のいない日常に慣れる努力をした。
こうやって少しずつ忘れていくんだろうな、と思い始めた頃、着信があった。見たことがない番号。そろそろ彼が気づいた頃だ。気持ちが揺らぐ。
確かめたい気持ちに駆られるものの、ここで出たら元の木阿弥。そもそも彼からの電話じゃないかもしれない。
以降も2,3週間に一回、知らない番号から電話がかかってきた。もともと電話の頻度は低いので、彼に間違いないだろうと思った。
もう一度決意を新たにするが、日常の中で決心が揺れ動く。仕事で疲れている時、ほんの少し考える暇ができた時、気持ちが弱る。
エネルギーを絞り出すようにして、誘惑に抗った。戻るのは簡単だけど、そんな自分を誇れるか?私はカッコよく、潔く生きたい。
マメなあいつは、さらに次の手を繰り出してきた。最初に出会ったマッチングアプリで、連絡をしてきた。
何年もログインしていないそのアプリのメッセンジャーを使うあたり、こいつは本当に、自分への未練が残る相手の気持ちに訴える術を心得てるなと思った。
ひたすら無視を貫き、9カ月ほど経った。不在着信に気づき、いつものことかと思ったら。
初めて留守電が入っていた。恐る恐る聞いてみると、聞き慣れた声が。
「ハロー、レリーナ。どうしてる?電話し続けてもうずいぶん経つけど、僕は今でも君と話したいと思っているよ。電話待ってるよ」
やっぱりあいつだった。しかしその頃には、彼の呪縛は完全に解けていた。
心の中で「誰が連絡するか、このボケーッ!」と叫んで、勝利宣言をした私であった。
振り返って、人生には闘わないといけない時が必ずあるなと改めて思う。立ち上がれないほど追い込まれたその時は本当に苦しいけれど、まさにピンチはチャンス。その時の自問自答ほど、有益なものはない。
傷をえぐるような行為だけれど、悲しみや悔しさを感じ切って、徹底的に悩み抜くことで初めて核心に迫ることができる。結果的により早い回復に繋がり、治癒した後はさらに強くなれる。
お別れ後
一人でいることに寂しさは感じつつも、自己改善が面白くなり、引き続きいろいろと変革。
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こんなところから!?という方向からご縁がやってきて、この人に出会えたのだから自分の生き方は間違っていないな、と思える人に出会う。
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お付き合いを開始。
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今に至る。
紆余曲折ありつつも、今の彼に出会ってお付き合いをスタートし約6年。自分の弱い部分が補強され、自信も与えてもらえるおかげで精神が安定。いつも伸び伸びした状態で、気持ちがとにかく自由に跳び回っている感じ。
人生は近くで見ると悲劇だが、
遠くから見れば喜劇である。
「世界の三大喜劇王」のひとり、チャーリー・チャップリンの名言が、沁み込んでくる。
辛い時は、ズームインした拡大映像を見ているように、自分の周りのことしか見えなくなりがち。Googleマップでズームアウトするように上へ上へと視点を引いていくと、自分の周りに広い世界が広がっていることにハッとする。
元彼に対して随分腹立たしく思ったものの、毎日6時間、数カ月ぶっ通しで話せる相手ってそうそういない。全てを否定する必要なんてないんだと思うようになった。
負けて勝ってまた負けたけど、最後は何とか引き分けに持っていった。プレイボーイを相手に自分はかなり善戦したな、と今は笑えるようになった。
本質は勝ち負けではないのは分かっているけれど、高い視点から事の経緯を俯瞰して眺められるようになったら、まるで壮大な綱引きをして遊んだようで思わずフフッと笑ってしまう。
女性は過去の恋愛は上書き保存と言うけど、私は名前を付けて保存派。どん底でのあの選択がなかったら、こんな境地に辿り着くことはなかったと思う。
多くの人と関わるほどエピソードが増える。人生って面白いよなぁと改めて。これからも、辛い経験も含めて豪快に喰らって飲み込んで、大きくなっていきたい。
どうか、これを読んでくださっている皆さんが、ここぞという時に立ち上がれますように。
そして後日自分の決断を振り返って、温かい気持ちになれますように。
皆さんにどうか幸あれ!
トラウマを我流で治した話はコチラ↓
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