マガジンのカバー画像

言の葉【詩】

8
運営しているクリエイター

#自作詩

詩 『カウント零』 (2017)

カウント零

はたはたと
風を鳴らして鳥は去る
窓枠の形に切り取られた空
いくつかの影を追う、

二秒

ひらひらと
手を振り別れる
視界から消えたわたしが
あの子の手元のスマホ画面に
存在を忘れられるまで、

一秒

古いレコードの針が
刻まれた溝を撫でなかった
黒い刻印に封じ込められたままの、

零秒。

塗り替えられていく
再開発の駅前に
横たわっていたあのひとは
今はもう、
いない

消え

もっとみる

詩 『街灯』 (2017)

街灯

しろい光が放射状に落ちてくる
見上げる私は堕ちていく
平等という不平等  に
等間隔のしろい渦は
巻き込んでいく  すべて
光源は見えない
曇る
視界は
死海
波間では
輝きに溺れる
いつかの夜  

浮かび漂う  風
葉擦れの  おと
人間の、性  

          ──射抜く
          サスペンションライト  

生という舞台上で
私は蠢く影になる  

鼓動は隣り合わ

もっとみる