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生きている、と実感したいが方法が違う。
自分の意思では、そこに行こうとしていないはずなのに、自転車が自動運転で、「目的地に着きました」と云わんがごとく、今日も来てしまった。
コンビニエンスストア
自転車のスタンドを軽やかに蹴り、入り口の自動ドアに吸い込まれるように入っていく。左に曲がり、小さい方のカゴを取る。
ここまで無意識。
ここからは、ほかに使いたいはずの思考とお金の無駄遣いが始まる。
おかずコーナーで立ち止まることおよそ5分。
体には気遣っているフリをして、袋の生野菜をカゴに入れる。惣菜のほうれん草のごま和えなども手に取る。値段と賞味期限などを見比べてコスパも気にするフリをする。
結局両方をカゴに掘り込み、麺類のところで目を見開いて、欲望と戦う。
もっちり麺のネギ塩焼きそば。
「うわぁー! 食べたい!! でも、もう0時周ってるやんか‥。今から食べたらあかんかな。でも、今日めっちゃ頑張ったし、ご褒美として」
あっさり1分30秒で負けた。
そうなると、缶ビールは必須。ご褒美なので500ml缶なのだ。
そして、最大の難関、甘いものコーナーが目の前に立ちはだかる。
あんことクリーム、それともプリン、今日はどっち⁉︎
どっちだって一緒なのだ。深夜の甘いものなんて。
所要時間約15分。わずかなお釣りを募金箱に入れ、高揚感に満ちた気持ちで、自動ドアを出る。
生きてる証拠を手に入れたかのような、高揚感である。
また、自転車のスタンドを蹴り上げ、無意識のうちに家に着いた。
時間は0:30を過ぎようとしている。明日は7:00起き。
もっちり麺のネギ焼きそばを温めようかどうかで今、悩んでいる。
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