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トンプクですか?と聞かれても、という話

「頓服ですか?」

ん? 何故に急に頓服とやらが出てくるかな…
「あの、前回いただいた、くしゃみがひどい時に飲む薬のことなんですが、、」

「だから、頓服のことですよね」

通院している耳鼻科の受付での、看護師さんの問診。怖いっす。

その後の診察で、医師とも同じことを繰り返す。

「頓服どうしますか?」

「前回いただいた、くしゃみがひどい時に飲む薬は、残っているので…以下略」

申し訳ありません。
ワタクシ、「頓服(とんぷく)」という言葉も知っていたし、漢字も読めましたが、正しい意味を理解していませんでした。

頓服(とんぷく)
症状が出たときに薬を飲むこと

「病院の言葉」を分かりやすくする提案

もう少し詳しく説明するなら、「食後など決まった時間ではなく,発作時や症状のひどいときなどに薬を飲むことです」。とのこと。

具体的には、次のようなものがある。

・鎮痛剤:痛みがある時にだけ使用する痛み止め
・睡眠剤:眠れない時にだけ使用する睡眠剤
・制吐剤:吐き気がある時にだけ使用する吐き気止め
・緩下剤:便秘の時にだけ使用する便秘薬
・解熱剤:発熱時のみ使用する熱冷まし
・不整脈薬:不整脈の発作時のみ使用

参照:3人に1人が誤解?薬の飲み方、頓服の意味とは

前回処方された、私の言う「くしゃみがひどい時に飲む薬」は、まさにTHEトンプクである。

しかし、「くしゃみがひどい時に飲む薬」として処方され、調剤薬局でもそれに似た説明だったかと記憶している。そのどこにも「トンプク」なる言葉は出てきていない。

しかも、その薬は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎などでは、1日2回の定期薬として服用されているものでもある。

いずれにしても、「トンプク」と急に出てきたら、びっくりするのよ、、という話なのである。

もしかして、「トンプク」ってみんな知っているの?
飲み薬、目薬、塗り薬レベルに、普通に使われているわけ?

いや、そんなはずはない。
知らなかった言い訳ではないが、「多くの人が知らない」証拠を探してみる。

前掲の 「「病院の言葉」をわかりやすくする提案」 によると、

「頓服(とんぷく)」は,認知率は比較的高いが(82.6%),理解率はかなり低く(46.9%),見聞きはするけれど意味の分からない人の多い言葉

「病院の言葉」を分かりやすくする提案

また、

国立国語研究所によると、頓服のことを鎮痛剤(痛み止め)と誤解されている人が34.1%、解熱剤(熱冷まし)と誤解されている人が33.4%、包装紙にくるんだ薬だと誤解している人が16.2%で、ほかにも粉薬や坐薬といったさまざまな誤解があるとのこと

「頓服」とは?「内服」との違いや注意点を薬剤師が解説

https://www.minnanokaigo.com/news/kaigo-text/pharmacist/no45/

ね、そうでしょ。
聞いたことはあってもよく知らない、正しく知らない。各人自由に脳内変換、もしくは私のようにスルーしているのである。

喜ばしくはないが、少し安心してしまう自分がいた。

それにしても、「飲み薬」とか「塗り薬」とかわかりやすく呼び名があるのに、何故に「頓服」は「トンプク」のまま医師も看護師も患者に対して使い続けるのだろう。

鎮痛剤、制吐剤、緩下剤、解熱剤など「頓服」であっても、「トンプク」とは呼ばれない薬もあるのに、「くしゃみがひどい時」の薬は頑なに「トンプク」のままなのは何故だろう。

など、考えたところで答えに辿り着かないことを、ブツブツ考えている平和な午後である。


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