31.22 ベクトルの初歩(空間内の数ベクトル)
空間内の数ベクトルの話をする前に、前回の空間座標を確認したいので、次の質問に答えてください。思い出すことが目的でもあるので気にせず答えてみてください。
問1 空間座標を書いてください。
問2 空間座標に点$${(2,1, 3)}$$を取ってください。
書けましたか。自信がない場合は、前回の 31.21 を確認してください。
※ 問の答えは少し下に出てきます。
数ベクトル
空間座標内に点Pを取れば、点の位置 (座標) が決まると同時に、ベクトル$${\overrightarrow{\mathrm{OP}}}$$が決まりますね。
言い換えれば、座標を決めれば原点を始点とするベクトルが決まり、逆にベクトルを決めれば原点を始点としたときの終点の座標が決まります。
具体的にいうと、[1]点$${\text{P}(2,1, 3)}$$を決めれば、ベクトル$${\overrightarrow{\mathrm{OP}}}$$は
$${\overrightarrow{\mathrm{OP}}=2\vec{e_1}+\vec{e_2}+3\vec{e_3}}$$
となります。ただし$${\vec{e_1}, \: \vec{e_2}, \: \vec{e_3}}$$はそれぞれ$${x}$$軸、$${y}$$軸、$${z}$$軸と同じ向きで長さ1のベクトルで、基本ベクトルと呼ばれるものです。
[2]逆に、ベクトル$${\vec{a}=2\vec{e_1}+\vec{e_2}+3\vec{e_3}}$$を決めれば、始点を原点Oとしたときの終点の座標は$${(2,1, 3)}$$となります。($${\vec{e_1}, \: \vec{e_2}, \: \vec{e_3}}$$は基本ベクトル)
図示すると
※ 原点を始点とするベクトル(位置ベクトル)を考えることにより、点の座標と基本ベクトルの係数が1対1に対応するので、座標を表示している3数はベクトルと見なせます。このベクトルは平面ベクトルのときと同様に数ベクトル (または ベクトルの成分表示) と呼ばれます。
数ベクトルと幾何ベクトルの対応
$${(2, \:1, \:3)\longleftrightarrow 2\vec{e_1}+\vec{e_2}+3\vec{e_3}}$$
成分表示されたときの各数を左から順に第1成分、第2成分、第3成分と呼びます。($${x}$$成分、$${y}$$成分、$${z}$$成分とも呼ばれます)
数ベクトルの性質
次の性質が成り立ちます。
$${\vec{a}=(a_1, a_2, a_3), \: \vec{b}=(b_1, b_2, b_3)}$$のとき
(1) $${\vec{a}=\vec{b} \iff a_1=b_1, \: a_2=b_2, \: a_3=b_3}$$
(2) $${\vec{a}+\vec{b}=(a_1+b_1, \: a_2+b_2, \: a_3+b_3)}$$
(3) $${k\vec{a}=(ka_1, ka_2, ka_3) \:\: (k\in \mathbb{R})}$$
(4) $${\vec{a}\cdot\vec{b}=a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3}$$
さらに
(5) $${|\vec{a}|=\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2+{a_3}^2}}$$ ▮
※ (4)はベクトルの内積、(5)はベクトルの長さです。ベクトルの長さはピタゴラス定理によります。実際
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