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31.26 ベクトルの初歩(平面上のベクトル方程式)

ベクトルを用いて図形を表す話です。前半は、平面上の直線と円をベクトルで表してみます。後半は、ベクトル方程式と図形と方程式で学んだ直線の方程式との関係を話します。


位置ベクトル

平面上または空間内に基準とする点Aを決めると、任意の点Pに対してベクトル$${\overrightarrow{\mathrm{AP}}}$$が決まります。逆に、ベクトルを決めれば始点をAとするベクトルの終点が決まります。この意味で$${\overrightarrow{\mathrm{AP}}}$$は位置ベクトルと呼ばれます。

説明はしませんでしたが、点を固定して考えるというのはすでに図形を考えるときに用いてきました。さらに数ベクトルでも原点を基準とするベクトルを考えました。これらはいずれも位置ベクトルです。

ただし、多くの場合、固定する点にはOが使われるので、単に、位置ベクトルという場合は点Oが想定されています。そこで、一般の点の場合には固定ベクトルと呼んで区別することがあります。何を基準にするかを明示すれば済む話です。

高校数学の教科書では、点Oを基準とするベクトル$${\overrightarrow{\mathrm{OP}}}$$は小文字$${\vec{p}}$$で書くと約束し、点$${\text{P}(\vec{p})}$$という表現をしています(※1)。ここではこれを採用せず、位置ベクトルに関しても始点とする点 (基準点) を明示します。


平面におけるベクトル方程式

ベクトルを用いて平面上の Ⅰ) 直線 や Ⅱ) 円 を表現してみます。

I)  直線

平面上の直線がただ1つ決まる条件は

1⃣2点を通る  2⃣1点を通りある直線に平行 または 3⃣ある直線に垂直

の3通りが基本です。1⃣は平面図形における公理、2⃣は平行線公理、3⃣は垂線のことです。図形と方程式でも、2点を通る直線、1点を通りある直線に平行な直線、1点を通りある直線に垂直な直線を求めることをしました。


1⃣ 2点A,Bを通る直線ABについて考えてみましょう。
直線AB上の動点をPとすると、3点A,B,Pが同一直線上にあるので

$${\overrightarrow{\mathrm{AP}}=k\overrightarrow{\mathrm{AB}} \:\:(k\in \mathbb{R})}$$

と表すことができます。点Pは直線上を動き回るので、ここでの$${k}$$というのは定数でなく変数です。この変数は媒介変数 (parameter) または訳さずパラメーターと呼ばれます。変数の意を込めて$${k}$$を$${t}$$にして

$${\overrightarrow{\mathrm{AP}}=t\overrightarrow{\mathrm{AB}} \:\:(t\in \mathbb{R})}$$ ・・・①

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