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3月4日 僕のプレミア芋焼酎と大伴坂上郎女の乾杯

 いも焼酎「玉露 甕仙人 ブルーボトル」を手に入れた。

 中村酒造場が年に一度、ごく少数出荷する焼酎だ。販売解禁は 3月1日。酒造場と特別契約を結んでいる販売店でのみ買うことができる。
  3月のいも焼酎コミュニティでは、この焼酎の入手報告が飛び交う。

 3年前に一度だけ、720ml入りのボトルを買えた。
 注いだクラスからは爽やかな香り。口に含んで芳醇。喉越しは滑らか。
 優しい酒だった。それからずっと、次の入手機会を求めていた。

 懇意にしている酒屋が「玉露 甕仙人 ブルーボトル」を入荷した、という一報をFacebookに載せたのは一昨日だった。昨年契約し、今年から販売できるようになったらしい。寝耳に水で、目を剥いた。
 仕事の空き時間に買いに行こうと一瞬考えた。危うく理性が押しとどめた。学年主任が仕事をサボって酒を買いに行っているのがバレたら洒落にならん。

 一昨日、昨日は会議が続いて時間が取れなかった。今日の業務が終わったあと買いに行った。週末を待っていては売り切れると思った。胸を高鳴らせながら店内に入ると、1番見えやすいところにズラリと並んでいた。思ったより多く入荷しているらしく、購入制限はかかっていなかった。一升瓶を一本と、720ml入りの原酒を一本買った。買えた。

 栓を開けると馥郁とした、それでいてどこか爽やかな香りが漂う。
 冷えた水でいただいた。舌触りはひたすらに滑らかだ。喉越しは優しい。余韻が鼻に抜ける。
 確かにこれだ。

月影を遮る雲に風吹きて梅香麗し旨しこの酒

☆ ☆ ☆

 勅撰集に酒の歌はない。だから『万葉集』を読む。読み方に自信は無い。中西進の読みに従う(講談社文庫『万葉集』)。

酒杯(さかづき)に梅の花浮け思ふどち飲みての後は散りぬともよし
                   (1656 大伴坂上郎女)

 景気が良いなあ。
 「乾杯のご発声」に当たるような歌として詠まれたらしい。
 「浮け」は「浮かべ」と読む人も多い。中西進も訳では「浮かべて」と書いている。読みの時点で「浮かべ」としたほうが綺麗な気もする。

杯に
梅の花を浮かべて
気を許しあった同士
酒を飲んだ後は
梅なんぞ、散ってしまっても知りはしない




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