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藤原良経の夏衣

重ねても涼しかりけり夏衣うすき袂に宿る月影
(『新古今和歌集』260 摂政太政大臣)

 コロナに長雨。
 どこにも行けない夏。

 鬱々とします。
 こんな夜は涼やかで軽やかな良経の歌を読みましょう。



  夏衣で佇む貴公子。纏う月光。
 薄さを感じる袂は無風でだらんとしているでしょうか。いいえきっと微かな風を含んでいるのではないかしら。
 初句の「重ねても」で予想した何らかの重さは結句「月影」でゼロの重みだと分かります。下げて上げる。強調されるのは軽やかさ。

 シンプルなアイディアですが絵になります。
 センスが良い人はユニクロでもおしゃれ。

重ねて着たって
涼しいものだねえ
夏の衣の
薄い袂がたゆんと揺れる
重ねて着たと思っていたのは、いっとき宿る月の光


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