7月12日(月) 隠岐後鳥羽院和歌大賞①
「隠岐後鳥羽院和歌大賞」が作品を募集している。全国でも珍しい「和歌」の作品募集だ。
案内を読んでみよう。
隠岐は承久の乱の後に歌聖・後鳥羽院が京の都からお遷りになった日本海の離島です。院は二〇年近い歳月を隠岐 (現、 海士町) でお過ごしになられました。
海士町では島根県後援のもと 「隠岐後鳥羽院和歌大賞」 の作品を募集いたします。
隠岐は承久の乱の後に歌聖・後鳥羽院が京の都からお遷りになった日本海の離島です。選者は藤原俊成、定家親子を祖とする和歌の伝統を今に受け継ぐ、 冷泉家第二五代夫人の冷泉貴実子先生。投稿歌は後鳥羽上皇を祀る隠岐神社に奉納いたします。全国の古典と詩歌を愛する皆様方の〝志〞を投稿歌として奉納してみませんか。
二〇年。
日本の頂点を極めた男が、40代で隠岐に流され、二〇年を過ごした。ナポレオンが100日天下後にセントヘレナ島で過ごしたのは六年。3倍以上だ。
文武に優れた治天の君が、政治から切り離された20年。もはやその生そのものが文学だ。かつ院は、隠岐で和歌に取り組む。新古今和歌集を編集し続け、自らも歌を読み続ける。そこにはどれだけの情念がこもっていることだろう。
院の思いに耳を傾け、院の心をたねとして言の葉としてみよう。冷泉貴実子先生が選者をつとめられる。そんな賞に応募できるような作品が詠めるとも思えない。でも和歌が好きであるということを自分の根の一つに持つ者の矜持として、練習くらいはしてみようと思う。
〈ルール〉
1、歌題:舟
2、音読みする漢語は使用不可
3、カタカナの外来語は使用不可
4、未発表作品
5、三首まで
6、投稿料:2000円
後鳥羽院の歌で僕が好きなのは、まずはこれです。
見渡せば山もと霞む水無瀬川夕べは秋となに思ひけむ
そんな水無瀬の霞を思いながら、隠岐から海を眺める後鳥羽院をイメージして詠んでみます。まずは置いていかれる悲哀を込めて。
●水無瀬川包む霞は弁へよ立ちな隠しそ隠岐の島舟
・・・多分これ、伝わんないですね。
もう一つ、今度は素直に見送っている感じ。柳宗元の「漁翁」の雰囲気も取り込みました。
●春霞漕ぎゆく舟を立ち隠し水面に響く梶の声かな
ほんとは五句を体言止めにして新古今っぽい感じを出したかったんですけど、語彙力の限界でした。
次は夏。『増鏡』にあるこの歌も、慣れない隠岐の生活が想像されて味わい深いと思います。
菖蒲ふく茅が軒端に風過ぎてしどろに落つる村雨の露
では露を落とす軒端の風に、舟も動かしてもらいましょう。
●夕されば軒の雫に風吹きて波に酔いたる沖の笹舟
舟が波に酔っちゃだめかなあ。
とりあえず練習してみました。締め切りは31日までですから、もう一回くらいは挑戦してみます。今度は可能なら、縁語なども使ってみたいと思います。
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