オンライン授業、こんな感じ?
(グーグルクラスルームがメインです)
はじめに
下記リンク先で「グーグルクラスルーム」について動画で知ることができます。ぜひご参照ください。
なお、以下の記事は生徒と教員がグーグルクラスルームのアカウントを持ち、それぞれのネット環境が整っていることが前提になっております。
●1日の流れ●
オンライン授業がコンテンツを配信するだけになりますと、生徒は「後でまとめてやればいいや」になりがちです。起きる時間・学習する時間・食事の時間・寝る時間、が出来るだけ固定できた方が望ましいでしょう。
ここでは「ホームルーム」的な何かを含み、できるだけ生徒の1日の生活リズムを固定させられるような「オンライン授業」のあり方を提案します。
①HR
HRは1日1~3回ほど。最大で9時ごろの「始まる時間」、13時半ごろの「午後プログラムを開始する時間」、15時ごろの「本日の質問受け付け時間を終了する時間」の3回です。
具対的な方法としては、各クラスで「zoom」を利用した「出席」確認が理想的ですが、難しい場合には「グーグルクラスルーム」や「LINEグループ」に全員がコメント(「はい」程度)を書き込む、という方法でも良いかもしれません。
まずは情報伝達よりも、「生徒が来たくなる場」の作成を目指しましょう。zoomが使えるならそれがベストです。ブレイクアウトルームを使い、「教員がのぞいていないおしゃべりの場」を作ってあげると良いと思います。生徒が学校に来る理由の多くは「友だちと会うため」。その代理手段を教員が用意してあげられれば最高です。
「場作り」の方法について考察してみました。
https://note.com/kotenyomouze/n/na4a2c77d5a0a
教員・生徒双方がなれてきたら、「学習範囲表と時間割を基に、その日の学習内容(予定)を報告する」という活動を朝に義務化するのも手です。こちらは「Googleフォーム」がオススメです。フォーム内の質問形式で「チェックボックス」を選べば、複数回答も可能です。心配な生徒の報告にはきちんと目を通し、アドバイスを送ることができるでしょう。
②授業
授業は「時間割に沿って日々コンテンツを配信する」という方法は、少なくともすぐには不可能だろうと思います。下記の方法を利用し、体育等の実技も含め、室内で実施可能な「課題」を与えて作業させ、「成果」を提出させる、という方法がほとんどだろうと思います。
各教員は、月ごと、または週ごとの学習範囲一覧を書き出し、教材を郵送し、オンラインで解説、質問と課題提出を受け付ける、という流れになるかと思います。
それではいくつかの「オンライン授業のパターン」を、以下に提示します。
授業パターン
(1)オンデマンド型(非同期型)
動画をあらかじめ撮影しておき、生徒はいつでも視聴できるタイプの授業などはこれにあたります。オンラインで解説&指示を出し、提出物を集めるのも、広い意味ではオンデマンド型と言えるでしょう。
パターン1)ノート作り
授業を通じて良いノートを作り、学力をつけることが目的なら、オンラインでも再現が可能です。具体的には「教員がノートを作成している動画」を撮影し、グーグルクラスルームで配信するだけです。
もちろん「ノートを作成する」ことが達成目標ですので、黒板の前に立ったり芝居っぽくしゃべったりする必要はありません。顔出しすら必要ありません。教員が教科書、資料集等を机の上に広げ、ノートをカキカキしている手元を、映してやれば良いだけです。
必要に応じて、書きながら声を出して解説を加えることもできるでしょう。一本の動画で5~10分ほどが妥当です。それ以上になりますと、視聴者の集中力が持たないでしょう。
ノート作成者と撮影者の二人が必要ですが、カメラを固定すれば最低一人から作成が可能です。
パターン2)小テスト
漢字テスト、単語テストのような一問一答式の問題(別解無し)の場合は、グーグルフォームが使えます。ただしこれは答えをキーボードで打ち込むことになるので、「答えをペンで書く」ことは出来ません。
似たような取り組みではMoodleを使用する先生も多いようです。こちらは多くの問題を作っておけば、そこからランダムで出題されます。いわゆる実力チェックの為には有効かもしれません。
パターン3)動画配信①
いわゆるユーチューバ―先生になる方法です。
黒板やホワイトボードの前で授業をし、その様子を動画で撮影して、グーグルクラスルームで配信します。
この場合、ユーチューブ等に競合が多くありますので、比べられていじめられるかも知れません。
それでも、生徒は先生の顔を見て安心するところがあるのはメリットと言えるでしょう。
パターン4)動画配信②
教室で撮影するのではなく、PCやタブレット上でプレゼンアプリ等を動かしながら、音声を付ける方法です。
数多くの方法があります。
1、iPadの「画面録画」機能を使う。
画面録画機能を使うと、その3秒後から画面上の動きが録画されていきます。マイクをオンにするのを忘れずに。録画を始めてからパワポやグーグルスライドに移行して、スライドを一枚ずつめくりながら声を出して解説します。
2、パワポの録画機能を使う。
上記の方法を、パワポに搭載された録画機能を用いて行います。
3、Google meetの録画機能を使う。
Google meetに一人で入室し、画面共有などを駆使しながらプレゼンします。その様子を、meetの録画機能を使いながら記録します。
パターン5)ブログやnoteの活用
説明記事をブログやnoteにアップして、要所要所で動画や画像を埋め込む方法です。パターン5)までと重なる部分も大きいですので、どちらかといえば「総合的なアプローチ」ということになるかと思います。
プラットホームをグーグルクラスルームに設定し、そこからリンクで飛ばせば良いかと思います。理科や地理のオンライン受業には向いている形式です。
パターン6)グーグルジャムボードでのラクガキ的コミュニケーション
グーグルジャムボードは、ウェブ上に用意されたホワイトボードです。ペンで書き込んだり、付箋を貼ったり画像を貼ったりできます。同時接続人数は無制限?かもしれません。
レポート等の課題に入る前の解説、ブレストなどでは効果を発揮しそうです。
グーグルクラスルームには置いておけますので、ストレスのたまった生徒の落書き帳として放置しても良いと思います。
(2)生中継型(同期型)
zoomなどを使った授業です。「教室と同じ事をオンラインでも」を求める先生方は、こちらの方法を追求されています。
パターン1)コメント合戦(グーグルドキュメントの同時閲覧とコメント)
グーグルドキュメントは、同時に編集する人数は限られますが、閲覧とコメントだけでしたら(おそらく)200人まで接続可能です。これを利用し、古文や英語のテキストを学年、クラスで共有し、気になったところにひたすらコメントを書き込む、という活動が可能です。
これもレポートや「全訳活動」の準備運動として使えるかもしれません。
パターン2)生配信
ライブ中継、とも言います。「ZOOM」等を用いた授業となります。PC等に付属するカメラを用いて、「テレビ電話」状態を作り出します。
黒板を用いて講義するより対話型の授業をされる場合には有効です。
注意すべきは機材です。
まずはマイク。生徒は画像が荒いのは許せるけれども音声が不快になると視聴を止める、という報告があります。
続いて動画を撮影するカメラ。タブレットやスマホでもOKでしょう。
zoomで生徒の様子を確認するためのタブレット。
更にチャットを確認するためのタブレット。
これくらいをそろえると完成形です。設備投資もかなり必要ですね。
その上で、気恥ずかしさを抑えてテンションを上げ、オーバーリアクションで画面に動きをつけてあげると、生徒の集中力が保たれるようです。
なお、「zoom」単体で授業をされるより、「zoom」と「ジャムボード」、「zoom」と「ロイロノート」など、双方向性が確保できるアプリと併用して授業展開される先生も多いようです。
パターン3)zoomで集合→ブレイクアウトルームでのワールドカフェ的活動
教員、生徒が慣れてきた場合の授業案です。
多人数の接続には問題が残るzoomですが、少人数に分けてしまえばインタラクティブな取り組みが可能になります。そこでまずはクラス全員をzoomに参加させ、音声・動画はミュートさせ、教員から課題を与え、その解説・指示を示します。
指示が行き渡った段階で、ブレイクアウトルームに移行。そこでは生徒同士のみでディスカッションし、課題を仕上げ、提出します。
手分けしたり相談したりしながらの現代語訳・解答作成や画像・プレゼン資料作成などの授業が向いているでしょう。
パターン4)E-Lectureを利用した授業配信
E-Lectureというアプリを利用すると、教員の顔を出しながら解説し、資料を共有し、チャットを確認する、が一画面で行えます。
パターン5)問題集の配付とLINEグループ
こちらはもっともイメージしやすい「オンライン授業」になるかもしれません。決められた時間にLINEグループに出席して点呼。そこからの50分は、あらかじめ配付した問題集に取り組む時間とし、質問は随時受けつけます。
提出物を課す場合には、オンライン提出の他、郵送も認めてもよろしいでしょう。
(3)課題配信と回収型
これはいわゆる「オンライン授業」の中では動画配信と並び最もスタンダードな方法といえるでしょう。それだけに、多くの手段があります。いくつかを紹介します。
パターン1)グーグルドキュメントのやり取り
Googleクラスルームでは、先生が作ったドキュメントのコピーを生徒一人一人に配付することができます。そのコピーに問題を載せておき、生徒が解答を打ち込んで「提出」するというやり取りが可能です。
パターン2)ノート画像の提出
学習指示等は「Googleスライド」にまとめておくと良いでしょう。
回収は「課題」から画像のみを提出させる方法、画像をドキュメントに貼り付け、提出させる方法、フォームで画像提出を求めて提出させる方法が主です。
数学の予習&チェック等には有効です。「次の画像」へは1クリックで移動できますので、チェックはしやすいです。実際のノートよりも楽でしょう。
課題の配付と回収については現役中学生たけとも君による解説動画がわかりやすいです。ご参照ください。
パターン3)ロイロノートの活用
こちらはGoogleとは無関係です。
ロイロノートは画像や動画の提出が直感的で、楽です。有料ではありますが、生徒にとっては一番ハードルが低いかも知れません。zoom等と併用することで、同期型授業(アクティブラーニングスタイル)が実施できるのも魅力です。
ロイロノートについてはこちらの動画が分かりやすい説明、実践報告になっていると思います。
(例えば)問いとレポート
場合に寄りますが、オンライン授業は、教員から生徒への知識伝達、という目的には合わないのかも知れません。ネットにつながれるのであれば、生徒が持つべき知識は、生徒自身が調べる方が適しているからです。教員の仕事は「答えを教える」から「問いを設定する」に変わります。
具体的に言うと、例えば「伊勢物語とは、平安期に創られた歌物語の一つであり、その最初のものである。全125段。そのほとんどで名前を持たない「男」が登場するが、この男は平安時代の読者にとっては「在原業平」のことを指すと思われていた。・・・」という文章をつらつら書いて生徒に送っても、読みませんし定着しません。
そうではなく、「『伊勢物語』についてウェブで調査せよ」という問いを設定し、グーグルクラスルームの「課題」において、ドキュメントで提出させる方が意味のある学習になるでしょう。そのためには
①基本となる資料
②問いの分割
が必要となります。
①の基本となる資料は、例えば
(『まんがでわかる 日本の古典 大事典』より)
このような資料を配付することになるでしょう。その上で問いを分割し、登場人物や歌物語の説明などを求め、書かせることになります。説明の際にはウェブや辞書で更に調べることを推奨します。
パターン1)なら、ドキュメントに「人物について」「歌物語とは」など、目次的な項目を用意して配付すれば良いでしょう。生徒はその項目ごとに、文章を書いて提出することになります。
パターン2)なら、学習指示や資料をGoogleスライドにまとめてGoogleクラスルームに掲示します。その上でそれらの内容を整理したノートを作成させ、撮影して提出させる、という流れになるでしょう。
パターン3)は、ロイロノートの中でいくつかの「資料箱」を用意し、それぞれの資料箱に合致したカードを作成させて提出、という流れになるかと思います。
とりあえず以上です。