マガジンのカバー画像

いしばなし

インストバンドtoconomaのギター石橋がお届けするよもやま話。バンドにまつわること、デザインのこと、コラムなど。SNSでは書ききれない話をします。
月に2-3回更新予定です。購読いただいた方は過去の記事もすべて読めます。
¥500 / 月
運営しているクリエイター

#トコヒストリー

トコノマヒストリー第5話:ボロボロのオーディション

前回はコチラ。 というわけで活動限界を感じた3人は、原始時代よろしく張り紙方式でベーシストを募ったのだった。偉そうに書くとオーディションだ。あの張り紙本当に効くの?と思う方もいらっしゃるかもしれない。当時は僕らも半信半疑というか…本当に連絡してくる奴いるのか不安だったが…なんと3人も応募してきてくれた。さすが原始の時代。 3人目はいわずもがな矢向さんである。弊ベーシスト! ということはtoconomaのベーシスト候補は他に2人もいたのだ。 …ぶっちゃけると1人目は自分

トコノマヒストリー第4話:ベーシストを募集してみた

前回はコチラ。 そんなこんなで、toconomaと名乗り出した生まれたてのバンド(らしきもの)。そのネーミングには誰も納得はしていないが……まずはバンドが前進した手応えがあったのも事実。翌週には西川と旧ドラムKとで渋谷のスタジオに再度集まり、なんとなく曲を作り始めたのだった。 ところで2007年当時、流行っていたのはいわゆる「クラブジャズ」と言われていたシーンだった。完全なジャズっていうより「ジャジー」くらいのメロディ、洒落たコードに四つ打ちのビート…勘の良い方はお分かり

トコノマヒストリー第3話:バンド名toconomaに決まる

前回はコチラから。 さてはて新入社員研修で出会った若造3人。ギター石橋、キーボード西川、旧ドラムのKはバンドを組むことになった。当時24歳。気持ち的にはまだ蒙古斑が残っててもおかしくない若造だ。この生まれたてのバンド、6年後にはPOOLというアルバムでデビューすることになるのだが…それはまだ先のお話。とりあえずカタチから入る僕らはバンド名を決めよう!と渋谷のカフェに集合したのだった。 ここで皆さんに問いたい。「もし自分がバンドを組むとしたらどんな名前にする?」……即答でき

トコノマヒストリー第2話:スペアザ先輩をコピーする

前回はコチラから。 さて、グループ会社研修で意気投合したメンバー。ノリでスタジオに入ってみたが、ベースがいない上にギターが3人もいるという編成だった。基本的にギタリストって人種は掃いて捨てるほどいるのだ。課題曲は前述の通りSPECIAL OTHERS先輩のAIMS。 超有名な曲ですね。大好き。でもこれバンドでコピーするとわかるんだけど…めちゃくちゃに難しいのだ。一聴すると「練習すれば弾けそうじゃん??」って思うでしょ。確かに譜面はわりと優しいと思う。でも譜面に書けない「ノ

トコノマヒストリー第1話:春〜入社と出会い〜

2007年春。働きたくねえぇぇ〜ッ!と学生生活に後ろ髪を引かれながら、僕は某広告会社に入社した。なで肩にピカピカのスーツ。カカトが痛い安物の革靴。親父のおさがりのネクタイ。見た目はフレッシュマンらしく整えてみたが、中身はミュージックラバーな美大生のままである。一ヶ月前に有終の美を飾った軽音楽部の卒業ライブが忘れられない。これから社会の荒波にモミモミされ、音楽からも遠ざかり社畜になるのか……不安9割と希望1割が混じり合った4月。満開の桜が恨めしく見えたのを覚えている。咲き誇るっ