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哲学教授の教え 読書の醍醐味

 大学生のとき、僕は哲学を専攻していた。周囲の人間は、アルバイトやサークル活動に精を出すなか、図書館で本を借りては家に持ち帰って読書に精を出していた。気づいたら就職活動の時期になっていた。
 大学3年生になると、就職活動が始まる。就職活動のガイダンスや説明会のチラシが目立つようになる。周囲の人間も、お互いの就職活動の様子を伺い始める。「サークル」や「アルバイト」という言葉は減り、「説明会」や「企業」という言葉が使われる。学内でスーツを着た学生が目につくようになる。
 そんな雰囲気のなか、僕は大学院へ進学するための勉強をしていた。無事に大学院へ進学することになり、大学院では2年間の研究生活を過ごすことになる。

 6年間を哲学の研究に費やしたことになる(研究といっても、教授ではないので高が知れているが…)。哲学の研究は、ひたすら何かを読む作業から始まる。哲学書と呼ばれる本から、哲学に関する論文、過去の偉人を知るために宗教、地理、歴史に関する書物を読むこともある。それらを土台にして、あれやこれやと考えたことを文字に起こして、レポートや論文にまとめる。
 研究のほとんどが読むことだといえる。しかし、大学では「哲学書の読み方」のような秘伝の技を教えてもらうことはなかった。そんなものはないのだろう。

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当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集

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